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第9章 ガチンコで修行だぜっっっっっっっっ!!

「さあ、いよいよ修行ですねぇ」
 八神誠一(やがみ・せいいち)はそういって、巨大な冷蔵庫を地面に置いて、戦闘の準備を整えた。
「むう、本当にやるのか」
 オフィーリア・ペトレイアス(おふぃーりあ・ぺとれいあす)は、固唾を飲んで、冷蔵庫の中から現れるものを凝視しようとしていた。
「修行ですからねぇ。実戦形式でやらないとねぇ」
 八神はいった。
「小娘は、さがっておれ。修行は、わしらがやることじゃ」
 伊東一刀斎(いとう・いっとうさい)が、オフィーリアに諭すようにいった。
「止めはしないが、くれぐれも気をつけてくれ」
 そういって、オフィーリアはさがった。
「大丈夫、あたしもバックアップするんだからな」
 シャロン・クレイン(しゃろん・くれいん)が、オフィーリアに片目をつむってみせた。
「さあ、開けるぞ」
 八神は、巨大な冷蔵庫の扉に手をかけた。
 八神の自宅の地下にあったという、その巨大な冷蔵庫。
 そこには、オフィーリアの手でつくられた様々な怪料理が保管されていたが、冷蔵庫の中で、それらの怪料理は融合・合体し、巨大な粘性生物と化していたのである。
 毎晩、その生物は冷蔵庫の中で暴れ、地下からはガタガタという音がひっきりなしに響くようになった。
 その音を聞きながら、八神は、いつの日か決着をつける必要があると感じていたのである。
 ガチャ
「うん?」
 ガチャ、ガチャ
 八神が力をこめて揺さぶっても、冷蔵庫の扉は開かない。
「ああ、そうでしたぁ。勝手に奴が出てこないように、鎖を巻きつけておいたんですよねぇ」
 八神は、頭をかいた。
「さがれ。わしが斬ろう」
 一刀斎が、剣を抜いた。
「ああ、はい。シャロも、準備はよろしい?」
「オッケー。いつでも撃てるぜ。ただし、暴発には注意してくれよ」
 後方で銃を構えているシャロンがいった。
「何をおっしゃる。暴発させないように注意しなきゃいけないのは、シャロの方でしょうよ」
 八神は、苦笑した。
「おしゃべりは、そこまでじゃ。いくぞ!!」
 一刀斎は、剣を斬り払った。
 カチン
 冷蔵庫を束縛した鎖が断たれる。
 ギー
 扉が、きしみながら開いた。
「出るよぉ、出ますよぉ」
 八神が、そういったとき。
「アボォオオオオ!!」
 勇ましい雄叫びとともに、緑色の粘性生物が飛び出してきた。
 するすると伸びてきた触手が、八神たちに襲いかかる。
「きえぇぇぇぇ」
 気合いとともに、一刀斎は触手を剣で断ち切った。
 だが。
 しゅううううう
 断たれた触手は、次の瞬間にはもう再生を完了してしまう。
「おお!? 不死身か? まさか!!」
 一刀斎は、戦慄した。
 八神は、咆哮とともに駆け出していた。

「今日こそ、今日こそフィアナに勝ってみせる!!」
 相田なぶら(あいだ・なぶら)は、真剣勝負での修行を開始した。
「気合は評価できますね。面白い勝負ができるのではないかと、期待してますよ」
 フィアナ・コルト(ふぃあな・こると)は、笑みを浮かべながら、なぶらの本気の一撃をこともなげにかわしてみせた。
「申し訳ありませんが、手加減できませんので。生命をなくしたなら、それまでということで」
 フィアナは、大剣を振りあげると、乾坤一擲、一撃必殺の豪快な斬撃を放った。
「う、うわあ!!」
 なぶらは、背筋がゾクゾクと震えるような感触を覚えながら、フィアナの攻撃を間一髪でかわした。
「うん? かわしてしまいましたか。本気で殺すつもりで放ったのですが。なかなかやりますね。それでこそ、闘い甲斐があるというもの」
 フィアナは、凍りつくような笑みを浮かべた。
「こ、こっちも本気でいくぞ!!」
 なぶらは、フィアナに再び斬りかかった。
「やや速くなりましたね」
 フィアナは、さらっとかわしてしまう。
 なぶらは、いつも、模擬線ではフィアナに勝てなかった。
 だから、一度でいいから、勝ちたい。
 その想いで、剣を振るっていた。
「さあ。私も、もう一度いきますよ!!」
 フィアナは、一撃必殺の斬撃を再び放った。
 さきほどよりも、さらに勢いが増していた。
 ずばあっ
「う、くうううう」
 なぶらは、際どいところで攻撃を避けた。
 剣の巻き起こす真空波が、髪を斬り裂く。
「ぎりぎりでかわして、反撃をしようという考えですね。非常に、評価できますね。進歩してますよ。でも、剣の衝撃をじかに感じるので、足がすくんで反撃できないようですね」
 フィアナは、なぶらの硬直を見抜いていた。
「負けないよ。修行だから。生命を賭ける、修行だから。負けるわけには、いかないから!!」
 なぶらの剣が、次々に振られた。
 フィアナを、手数で圧倒しようというのか。
 だが、フィアナに攻撃が達することはない。
 なぶらは、額の汗を拭いながら、さらに剣を振るった。
 フィアナは、攻撃をかわし、なぶらの隙をうかがいながら、今度こそとばかりに、一撃必殺の斬撃を放った。
「とあああああああ!!」
 なぶらは、今度もフィアナの攻撃をかわした。
 だが、それまでと違って、あまり力まずに、無意識のうちにかわしたような風だった。
 剣を振るっているうちに、なぶらは攻撃のリズムを肌に刻んで、自然と身体が動くようになっていたようだ。
 そして。
 フィアナが必殺の大斬りを入れた、その瞬間の隙を狙って、なぶらは攻撃を入れてきたのである!
 今度も、自然な動きだった。
 力むところがなく、リズムにあわせて、入れるべきときに攻撃を入れてきている。
(ま、まさか)
 フィアナは、内心冷やっとした。
 一瞬、なぶらの攻撃をくらってしまうかに思えた。
 だが。
 フィアナの戦闘本能が、とっさに身をひねらせて、絶妙のタイミングで入ってきたフィアナの攻撃をかわすことに成功させる。
「ふう。そう、自然な動きには、こちらも自然な動き、本能で反応すればいいのですよね。生命がかかっているので、あまり無意識に頼るのもよくないですが」
 フィアナは、考えをあらためるべきだと悟った。
 なぶらの相手を「してやっている」というような意識では、フィアナの方も成長しないのだ。
 あくまで、真剣勝負。
 フィアナも、修行のつもりで、自分を本気で成長させるつもりで闘わなければならない。
 そうしなければ、闘いの世界は厳しいので、いつか、なぶらにやられてしまうだろう。
「なるほど。私自身に素晴らしい気づきを与えてくれるなんて、なぶら、ある意味一本とられましたね」
 フィアナは、笑った。
 今度は、心底からの充実感を受けての笑いだった。
 だが、なぶらは、フィアナのいう「一本」の意味がわからない。
 なぶらにとって、勝利とは、フィアナと実戦で勝つことを意味しているのだ。
 剣と剣のぶつかり合い以外での精神面での「勝負」というのは、なぶらがまだ認識していない世界だった。
 フィアナは、なぶらに一本取られたと感じることができた。
 だが、なぶらにはフィアナの心境がわからない。
 なぶら側に進歩があったとはいえ、二人の力量の間には、まだまだ大きな開きがありそうだった。

「どりゃあああああ!!」
 猪川勇平(いがわ・ゆうへい)の裂帛の雄叫びが、荒野に響きわたる。
 こちらも、真剣勝負。
「フンッ」
 ウルスラグナ・ワルフラーン(うるすらぐな・わるふらーん)は、こともなげに勇平の攻撃をかわしていた。
「くっ、まだまだ!!」
 勇平は、どんなにかわされても、諦めずに、ひたすら攻撃を放つ。
 だが、ウルスラグナも、英雄であった過去を持つ英霊である。
 そう簡単に、倒せる相手ではない。
「やはり、筋はいいな。だが、体格のよさとセンスという、もともと持っているものだけでは、我に勝つことはできない。もっと技芸を磨かなければな。むろん、そのための修行だが」
 ウルスラグナは、ときおり反撃を繰り出して、勇平を圧倒した。
「う、うわあ!!」
 防戦のため、剣を振りあげる勇平。
 チン!!
 二つの刃がかちあって、火花を散らす。
「実戦では、一撃必殺の攻撃を入れられなければ、意味がない。全ての敵と斬り合いをしているわけにはいかないであろう。基本は、一撃で倒すということだ」
 ウルスラグナは、要所要所で勇平を指導した。
「わかっている。わかっているさ!!」
 勇平とて、一撃で決めるつもりなのだが、相手が相手だから斬り合いになっているだけである。
 むろん、ウルスラグナは全てを承知のうえで、あえて指導していた。
 その背景には、ウルスラグナが勇平に抱いている、大きな期待があったのである。
(勇平。期待にこたえてみせてくれ。まっすぐに斬る、というのはどういうことか、考えるのだ)
 ウルスラグナは、内心で、勇平が悟るのを、いまかいまかと心待ちにしていたのである。
「俺は、斬る!! ひたすら、まっすぐに、斬る!!」
 勇平は、剣を振るい続けた。
「では、純粋に、心の赴くままに斬るがよい」
 ウルスラグナはいった。
 その言葉に、勇平はピンときた。
「心が赴くままに。そうか!!」
 まっすぐ斬るとは、必ずしも、「正面からそのまま振り下ろす」という攻撃を意味しているわけではないのだ。
 心をまっすぐにして斬ること。
 それが、まっすぐ斬るということなのである。
 そして、心をまっすぐにするということは、自分の心の声に耳を澄ませて、心の赴くままに動いていくことなのだ。
 それこそ、雑念は入れず、自分の心の奥底からの発動にあわせて動く。
 それが、まっすぐ斬るということ。
 勇平は、走った。
 ウルスラグナは、それまでとは違う気迫を感じ、身構えた。
(オーラが、いきいきとして、激しく熱く燃え上がっているぞ。不自然に力む必要はないとわかったか)
 ウルスラグナに向かって斬りつけるとき、勇平は、ただ心が促すままに動いた。
 すると。
 勇平は、つま先で地面を蹴って跳躍し、剣を横薙ぎに斬り払ったのである。
 鋭い角度での跳躍であり、剣の先は、ウルスラグナの首を鋭角に狙っていた。
「むう。いいぞ!! その攻撃、まさに自由自在の境地。型にとらわれず、本質をとらえて『まっすぐ斬る』ということに気づいたな。そうだ、剣とは、人それぞれがかたちを持っているものなのだ」
 ウルスラグナは、勇平が、戦場で指揮官クラスとわたりあえるだけの動きを手に入れたと評価した。
 だが。
 ウルスラグナは剣を微妙な角度でゆらめかし、勇平の跳躍からの鋭い攻撃を、軽く弾いてみせたのである。
「あっ!!」
 着地した勇平は、信じられないといった顔でウルスラグナをみやった。
 いまのは絶対決まると思っていた勇平であった。
「気にするな。相手が相手である。指揮官クラスとわたりあえる技量になった程度では、まだまだ我を倒すことはできぬ。だが、自信を持つがよい。いまの攻撃を防げる者は、そうめったにはいない」
 ウルスラグナの境地は、心を自由自在にし、自分のかたちでまっすぐ斬り込んできた相手を、相手の動きに剣を合わせながら、肩すかしのような軽い攻撃で押しのけるという、非常に高度な「いなし」の領域に属するものだった。
 普通は勇平の迫力にのまれるところを、相手の気を否定せずに、合わせながら打ったのである。
 相手の呼吸に自分の呼吸をとっさに合わせるという力量は、そうそう会得できるものではない。
 それこそ、単なる剣聖を越えた、神技の世界である。
 勇平は、最強の教師を得ていたが、まさに相手が最強の教師であるがゆえに、それこそ、一勝とれれば既に英雄、という高いハードルの修行をすることになったのである。

「さて。わしらも、始めるとしようかのう」
 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)は、ギャドル・アベロン(ぎゃどる・あべろん)と向かい合っていった。
「組み手だろうと練習だろうと遠慮はしないぜ!!」
 ギャドルは、ガシガシと拳を打ち鳴らしながらルファンに襲いかかっていった。
「ふっ。遠慮なんかされたら、わしも困ってしまうわい」
 ルファンは笑って、ギャドルの熱い攻撃を受け流した。
「おう。もっと、攻めてこんか!! 修行らしくやろうぜ」
 ギャドルは、ルファンを誘った。
「修行らしく、か。ここの生徒たちのように、ガッツくタイプではないからのう」
 ルファンは肩をすくめてそう答えると、落ち着いた動きで、ギャドルに迫っていった。
 最小限の動きで、最大の効果を出す。
 ルファンは、静かだが、無駄のない動きだった。
「なるほど。それはそれで、真髄をとらえている、か」
 ギャドルはルファンの舞うような攻撃をおおげさな身振りで避けると、口から火を吹いて攻撃を仕掛けた。
「むう。それは、邪道というもの。武術ではなかろう」
 ルファンは顔をしかめて、高く跳躍した。
「ハハハハハ! お前に大きな動きをさせてやりたいんだよ!!」
 ギャドルは空中のルファンに向かって跳躍すると、豪快な蹴りを放った。
「俺様にとって、火を吹くことは、息をするのと同じ、自然なことだ。相手に合わせて変えるつもりなどはない!」
「それでは、結果的に無差別格闘戦になってしまうではないか。まったく、手前勝手なことを」
 ルファンは、空中でひらりと身をひねって蹴りをかわすと、ギャドルの頭頂を軽く踏んで、さらに高く跳躍した。
「おう、空中戦か。なかなかオツなことを!!」
 ギャドルは、着地すると、火を上空に吐きかけて、ルファンを追いつめる。
 と。
 ルファンは、炎の中を突き抜けるように、下降してきた!!
「な、なに!?」
 ギャドルの目には、炎をまとったルファンが、そのまま手刀を使って攻撃を仕掛けてきたようにみえた。
 何とか避けたつもりだが、ギャドルの衣に裂け目が生じる。
 ルファンの素早い手刀が、真空波を生み出したのである。
「おう、2人とも、なかなか素晴らしい技だ。みている側も、ついていくのがやっとだぜ」
 審判役のウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)が、感嘆の声をもらした。
「やっと? 審判がそれじゃ困るな。しっかりみてて、俺様の勝利をジャッジしてもらわないと! ……うん、あれは何だ? とりあえず、いってみるか!!」
「あっ、おい」
 突然、勝負を投げ出して他の修行者のもとに走っていったギャドルをみて、ウォーレンは呆れたといった表情になった。
「うん。行ってしまったか。まったく、熱くやれといいながら、ちっとも真剣勝負ではないのう」
 ルファンも、肩すかしをくらったような表情だ。
「まあいい。とりあえず、審判してみよ」
「ああ? まあ、それは、相手が戦闘を放棄したので、ルファンの不戦勝、ということになるか?」
 ウォーレンは、しかし、審判よりももっと気になることが出てきてしまった。

「ブオオオオオオオ!!」
 八神誠一(やがみ・せいいち)たちは、冷蔵庫から現れた、怪物化した料理と激闘を展開していた。
「くそっ、くらえ!!」
 シャロン・クレイン(しゃろん・くれいん)は、銃を乱射して、怪物に弾丸をめりこませる。
 だが、粘液質の相手には、さほどのダメージを与えられない。
「むう。剣も効果がないとあっては、のう」
 伊東一刀斎(いとう・いっとうさい)は、何度も斬りつけて、疲労困憊といった体である。
 そこに。
「おい、面白そうだな。俺様も混ぜろ!!」
 といって、ギャドル・アベロン(ぎゃどる・あべろん)が乱入してきた。
「おやおや。誰ですかぁ? これでも真面目に修行してるんですけどねぇ」
 八神は、眉をしかめた。
「こんな怪物、お前たちの手には余るってもんだぜ!! みてろよ。どらああああ」
 ギャドルは高熱火炎を吹いて、怪物の身体を焼き焦がした。
「どうだ。あれ?」
 得意そうにいったギャドルは、身体が何かに絡めとられているのに気づいた。
 怪物の放った、触手である。
「嘘だ。火炎が平気なのか? 何で? 粘液質の相手は、炎に弱いはずだけどなー!! うわー」
 触手に身体を締めつけられ、ギャドルは悲鳴をあげた。
 と。
「失礼!!」
 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が、音もなく忍び寄って、ギャドルを縛める触手を手刀で斬り裂いた。
「ちっ、油断したぜ」
 ぐたっと倒れこむギャドル。
「はい、すみませんでしたねぇ」
 ルファンは八神たちに頭を下げると、ギャドルの身体を引いていった。
「やれやれ。もともと料理だったわけですから、火を通されるのには慣れてるんですよねぇ。だから、難しい相手なわけで。単純な攻撃ではダメということです。じゃ、やっぱり、修行だから、僕が自分でやらないといけないですかぁ」
 八神はため息をつくと、料理の怪物に正面から立ち向かっていった。
「グムムムムムムム!!」
 怪物は、くぐもった唸り声をあげると、複数の触手を伸ばして、八神をとらえようとした。
「あーあー、だーかーら、そうくるなら、こうやるしかなくなりますしね」
 八神は、想念鋼糸を放って触手を追いやると、さらに想いの糸を編み広げてできた巨大な網に怪物を封じこめた。
「いきますよぉ。轟雷閃!!」
 八神の一撃で、網の内部に電撃がはしり、怪物に苦悶の悲鳴をあげさせる。
「まだまだ序の口。爆炎波!!」
 次の一撃で、今度は爆炎が怪物を包み込む。
 同時に、八神は、想念鋼糸の網を狭めて、怪物をいよいよがんじがらめにしていった。
「とどめは。アルティマ・トゥーレ!!」
 さらに放った氷の一撃が、怪物を凍てつかせ、その動きを止めた。
「封滅陣三重奏・鬼獄!! 逝って下さいな!!」
 八神は、凍りついた怪物の身体にくいこんでいる、想念鋼糸をひといきに引き抜いた。
 みしみし
 ぱりん!!
 怪物の身体は、バラバラに砕け散ってしまった。
「見事じゃ」
 一刀斎は、八神を讃えた。
「困りましたねぇ。倒しちゃったんで、修行ができなくなりましたよぉ。まっ、技は完成しましたけどね」
 八神は、空をみあげて、困ったような顔でため息をついてみせた。