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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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24)

グィネヴィア・フェリシカ(ぐぃねう゛ぃあ・ふぇりしか)を誘い出した、
ナディム・ガーランド(なでぃむ・がーらんど)は、
セリーナ・ペクテイリス(せりーな・ぺくていりす)とともに、
バレンタインのケーキ作りをすることにした。

ナディムが、グィネヴィアを誘ったのは、
主体性に欠けるグィネヴィアが、
バレンタインにきちんとお菓子を用意できるようにしてあげるためだ。
(当日まで何するか悩んだ挙句、決まんなくて、
もらう側に徹してるか、爺やに用事を頼んじまう気がするんだよな)
だから、お菓子作りの得意なセリーナに協力を頼んだのだった。

イルミンスール魔法学校の調理実習室にて。
数日前からオペラ風ケーキを用意しようとしていたセリーナが、
賢狼・レラとともに待っている。
「こんにちは、グィネヴィアちゃん。
生地はもう焼き上がってるから、
一緒に作業を手伝ってくれる?」
「ええ、喜んで。お菓子作りは経験がありませんから、うまくできるか心配ですけれど……」
「俺達もグィネヴィアのお嬢さんをサポートするからさ。安心してくれよ」
「はい、ありがとうございます」
グィネヴィアはにっこりとうなずいた。

生地にショコラをかけ、パレットナイフでならして重ねていく作業。
それを、セリーナの指示で、グィネヴィアが少しずつ進めていく。
「なかなか面白いですわね」
「でしょう? お菓子作りって楽しいのよ」
「今までやってこなかったのがもったいなかったですわ」
グィネヴィアが楽しんでいる様子を見て、
ナディムは、満足げにうなずいた。
(喜んでもらえてよかったぜ)

そう思い、ふと、ナディムは、グィネヴィアが誰にケーキを渡すのか気になる。
(まあ、このケーキは俺達3人で分けるとして……。
グィネヴィアのお嬢さん、バレンタインチョコを渡したい相手とかいるのか?
爺やに義理チョコ?
……って、そのくらいしか思いつかないな)
だから、ナディムのその心配は杞憂かもしれない。

「ナディムさん!」
グィネヴィアが、鼻の頭にチョコレートをつけて、ナディムに手を振る。
「あーあ、グィネヴィアのお嬢さん。そんなにこぼしちまって。大丈夫か?」
「ええ、エプロンをしていますもの」
「そういう問題じゃないと思うけどな」
そう言いつつ、ナディムは、ふきんでグィネヴィアの顔を拭ってあげた。
「きゃ……」
「チョコ、ついてたからさ」
「まあ、わたくしったら……ありがとうございます」
グィネヴィアは屈託ない笑顔でお礼を言った。

セリーナとレラが、そっと顔を見合わせる。
(2人とも、意識していないみたいだけれど、きっといつか、もしかしたら……)
そう、セリーナは思ったのだった。