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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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リアクション

46)

シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)に誘われて、
セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)は、
空京の夜景の見える場所へとやってきた。

「よかった、来てくれたんですね」
シャーロットが顔を輝かす。
「寒かったでしょ。大丈夫?」
「ええ、セイニィの顔を見たら、寒さが吹き飛びましたから」
「まったく」
セイニィの顔がほんのり赤いのは、寒さのせいだけではないだろう。

「綺麗ですよね。
特別な日に、セイニィと一緒に観れて、うれしいです」
「うん、ありがとう。
誘ってくれて」
冬の空気の中に、夜の街の光が輝いている。
セイニィの横顔をじっと見つめ、
シャーロットは、そっと切り出した。

「ねえ、セイニィ。ゲームをしませんか?」
「ゲーム?」
シャーロットが差し出したのは、細長い棒状のチョコレートだ。
「ちょ、まさか、それ……」
「そうです。両端からくわえて、先に折ってしまった方が負けです」
「なんで、こんなところでやるのよ!?」
「バレンタインの夜景がとっても綺麗で、
セイニィの横顔が、とっても綺麗だったからです」
「……言ってて恥ずかしくないの?」
「……ダメですか?」
しょんぼりして見せるシャーロットに、セイニィが根負けしたように言った。
「わかったわよ! やればいいんでしょ、やれば!」
「ありがとうございます」
シャーロットは、にっこりと微笑んだ。

お互いに、そっと、チョコレートの端をくわえて、
2人は向かい合う。
(セイニィの事だから、食べきる直前で口を離してしまうのでしょうけど)
それでも、シャーロットの鼓動は高鳴った。
セイニィも、それは同様なようで、緊張した面持ちでいる。

ゆっくりと、チョコレートを噛む音が小さく響く。
「……」
「……」
2人の吐息が、ふれ合う距離まで縮んで。

がりっ。

「もう!
なんなのよ、これは!」
シャーロットの予想通り、セイニィはチョコを折ってしまった。
「ふふ、ごめんなさい、セイニィ。
照れている様子もかわいかったですよ」
「まったく……」
ジト目でシャーロットを見るセイニィに、シャーロットが、
本命のチョコレートを差し出す。
「今年も手作りなのですが、受け取ってくれますか?」
6種類のフルーツのフレーバーチョコレートだ。
「今度は、トラップはないでしょうね」
「あった方がいいですか?」
「いいわけないでしょ!」
セイニィは、チョコレートをひったくった。

それから、2人は、夜景を見つめて、ふっと笑った。
「「ハッピーバレンタイン」」
2人の声が重なった。