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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

リアクション

9)


山葉 加夜(やまは・かや)は、
夫の山葉 涼司(やまは・りょうじ)とともに、
中継基地にある、セントラル・フォレスト・パークへとやってきた。

2人は、穏やかな、新緑の季節を楽しむ。

芝生の上で、野球などのスポーツに興じている人々に、
視線を送っている山葉に気づき、
加夜は、にっこりと微笑み、言う。
「涼司くんはまだ駄目ですよ」
そして、ふと、車いすの涼司のお腹をさわる。

「少し脂肪が付いてます?」
「げっ、マジか!?
早く治して鍛えなおさないとな」
「回復したらトレーニングにもつきあいますよ。
私は少し体重を落としたいので……」
加夜は、そうぽつりとつぶやき、
少し大きくなった胸を見てため息をついた。

「いや、加夜はそのままでも……」
「ダメです、やせたいんです!」
そう、加夜が拳を握りしめたので、
山葉は、苦笑してうなずいた。
「そ、そっか。
でも、おまえはそのままでも、充分綺麗だと思うぞ」
「涼司くんたら……」
加夜は、少し顔を赤らめる。

その後、2人は、芝生に座って、加夜の手作りのお弁当を食べる。
「おかずは家庭の味を詰めてきました。
保温なので暖かいお味噌汁とご飯もありますよ」
「おお、すごく豪華だな!
うん、うまい!」
山葉は、顔をほころばせる。
「喜んでもらえてよかったです。
たくさん食べてくださいね」
加夜も、笑みを浮かべた。

そして、やがて日が暮れ、帰る時間になる。

加夜は、山葉を、ぎゅっと抱きしめた。
山葉は、加夜の頭を、ぽんぽん、となでる。
こうしていると、加夜は、安心して、元気になる気がするのだった。
(涼司くんに元気になってもらいたいんですけどね……)
「加夜、おまえのおかげで、元気になれる気がするよ。
ありがとう」
まるで、気持ちが通じ合ったかのように、山葉がそうつぶやいた。

しばらく、そうして抱きしめあっていた後、
山葉は、加夜の唇にそっと口づけた。

「今日はありがとうな。
ひさしぶりに加夜とデートできて、すげーうれしかった!」
「はい、私もとてもうれしかったです!」
にっと笑う山葉を見て、加夜も笑う。

「またどっか行こうな。次も弁当作ってくれよ」
「はいっ!」
2人は、笑顔を交わした。