天御柱学院

リアクション

　
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「敵イコンの接近を許すな。甲板上のイコンで弾幕を張りつつ、カタパルトキャノンの第二射急げ！」
　天貴彩羽の命令で、フリングホルニ各所に配備されたヤークト・ヴァラヌス・ストライカーが一斉にショルダーキャノンでブラウヴィント・ブリッツを攻撃する。
　
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「きゃっ」
　携帯していた帝国製魔導銃ごと右腕を吹き飛ばされて、サツキ・シャルフリヒターが小さく悲鳴をあげた。これでは、ファイナルイコンソードも使用できない。今は、後退するしかなかった。
　
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「よし、敵は怯んだわ。第二射、発射！」
　すかさず、天貴彩羽がカタパルトキャノンの第二射を発射する。
　狙い違わず命中し、シュバルツガイストが大きくかしいだ。
「シチュエーションに合った戦術を組まないと勝てないわよ」
　それを見て、天貴彩羽が勝利を確信する。
「勝機は見えたわ。一気に止めを刺すわよ！」
　天貴彩羽が、第三射の命令を発した。
　
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「うおおお、サツキの奴、何やってるんだ！？」
　直撃を受けて激しく傾く司令室内で、新風燕馬が叫んだ。
『要塞内、ジョイント部ロック。チャンバー内、正常加圧中』
　シュバルツガイストが形状を組み替え、主砲の発射時の反動に耐えられるように砲塔部ユニットを固定する。
『加速リング回転開始』
「急げ、急げ……」
『撃てます』
「よしっ、撃てっ！」
　満を持して、新風燕馬が起死回生の要塞砲を発射する。ほぼ同時に、フリングホルニからもフィールドカタパルトキャノンが発射された。
　
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「急速回避！」
　射軸を敵要塞に合わせていた両機動要塞が、即座に回避運動に入る。
「調子に乗って、強気に出すぎたかしら」
　シュバルツガイストから発射された砲弾が、フリングホルニの右舷をかすめた。直撃ではなかったものの、バリアブルシールドが根こそぎ吹き飛ぶ。
　
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「ちょっ、動きが鈍い。うわっ！」
　すでに損傷していたことと、弾速の差もあって、シュバルツガイストがジェネレータコアを撃ち抜かれた。爆発したコアの周囲のユニットが、次々に誘爆していく。
『燕馬、今助けに行きます！』
　新風燕馬の窮地に、サツキ・シャルフリヒターが、まだ白煙を上げている被弾したブラウヴィント・ブリッツを駆って戻ってきた。
「だが、断る！」
　ドきっぱりと新風燕馬が答えた。
『ちょっと、なんで拒否するんですか』
「サツキ、お前、この前俺が助けたようにして、この俺を助けるつもりだろう」
『当然です！』
　それは、つまりお姫様だっこして、キャッキャウフフと助け出すと言うことだ。
「だから、断固断る！」
『なぜですかあ！』
　せっかくのチャンスだというのに、なぜと、サツキ・シャルフリヒターがちょっと悲しい声をあげた。バンバンと、ブラウヴィント・ブリッツの残った方のマニピュレータでシュバルツガイストの外壁を叩く。
「こんな人目のある場所で、お姫様だっこなんてされてたまるか……」
　そうつぶやくと、新風燕馬はイレイザーキャノンを取り出して司令室の壁をぶち抜いた。外気と共に、黒煙が室内に流れ込んでくる。すでに、司令室の機械類も火を噴き始めていた。
「脱出！」
　ダークバルキリーの羽根を広げると、新風燕馬はシュバルツガイストを脱出していった。背後で、司令室がついに爆発を始める。
『ちょ、ちょっと……きゃあっ！』
　さっさと逃げていった新風燕馬の後ろで、ブラウヴィント・ブリッツが司令室ユニットの誘爆に巻き込まれて吹っ飛んでいった。
「こ、これは、ヤバいかも……」
　
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　試合終了と共に、シミュレータのコックピットから新風燕馬が飛び出してきた。
「いいか、お前の力で勝ったのではないぞ、フリングホルニの性能のおかげだということを忘れるなよ！」
　しっかりと捨て台詞を吐くと、死に物狂いで新風燕馬が観客の人混みの中に紛れ込んでいった。
「やむをえないな。夜になってからサツキとは合流するか……」
　勢いよくコックピットから飛び出してきたサツキに見つからないように身をかがめながら、新風燕馬は会場を去っていった。それまでにほとぼりが冷めていればよいのだが……。
　
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「第２試合は、天貴彩羽さんの勝利となりました！」