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パラくる!!

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パラくる!!
パラくる!! パラくる!! パラくる!! パラくる!!

リアクション

空京駅。

地球とパラミタをつなぐ新幹線の発着駅があるこの駅は、
地球からやってくる者、
そして、パラミタから地球に行く者が通過することになる場所である。

「海京を経由すれば、
軌道エレベーター天沼矛でもパラミタに来られるようになったけれど
僕にとっては、パラミタといえば、空京新幹線って感じかな」
黒崎 天音(くろさき・あまね)が、駅の雑踏を背景に、カメラに向かって語る。

「魔法のトンネルをくぐって空間転移してくるわけだから、
一番最初にパラミタらしい
大掛かりな魔法を体験するルートでもあるよね。
特殊な空間を通るから、外の景色が楽しめないのは残念だけど」

天音は、駅前の様子を指し示す。
「もっとも、駅に着いたとたんに、あの巨大なシャンバラ宮殿をはじめ、
いかにも異世界のような光景が広がっているから、
そういう意味では、トンネルの中に入っている時間も含めて、
お楽しみを演出する大事な部分なのかもしれないよね」

「天音も、初めて空京に来た時はわくわくしたの?
なんだか、いつも何を考えているのかわからないんだけど」
「ふふ。もちろん。
ああ、別の世界に来たんだな、とすごくわくわくしたよ。
どんな冒険や謎が待ち受けているのか。
これから、どんな存在に出会えるのか。
そして、実際に、予想以上の経験ができたと思っているよ」
理子の率直な問いに、底の知れない笑みを浮かべつつ、天音はうなずいた。

ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)が、
そんなパートナーの様子にため息をつく。

「女王の在位が長く続くほど、
これから先も色んな古代遺跡の復活があるだろうし
それを探索できるかも知れないのも、すごく楽しみだ」

「いい笑顔を振りまくのは良いが……
お前の無茶はほどほどにしておいてくれ」

ブルーズは、これまでの冒険の様々なことを振り返る。
しかし、きっと、これからも、
いや、これまで以上に、たくさんの困難が降りかかるに違いない。

そんな会話をしていると。

「ねえ、今のって」
理子が、人混みの中を指さす。
一瞬だけだったが、変熊が歩いていたような気がしたのだ。

「ん、どうかしたかい?」
「えっと、なんでもないわ!」
天音は本当は気づいているのかも、と思いつつ、
理子は番組を進行させるべくうなずいた。

ブルーズは、頭痛をこらえている。



そして、一気にところ変わって。

コンロン主要都市のひとつ、ヒクーロ。

「コンロンは、数年前は紛争地帯だったけれど、
今は、協力し合って、復興に力を入れているよ。
いずれは、地球人も観光に訪れる事が出来るようになるのかもしれないな。

ほら、見て。
シャンバラとはまた違うデザインの美しい飛空艇が飛んでいるだろう?
ヒクーロの飛空艇団だよ」

「そういえば、天音にとって印象深い思い出はあるの?」
「思い出か。そうだね。
……ヲガナ様って可愛いんだよね」

「どういう意味?」
理子の問いに、天音は意味ありげな笑みを浮かべ、
ブルーズは黙って首を振る。

「でも、コンロンとも
こうして平和に行き来ができるようになったのはいいことですね」
ジークリンデが、空を見上げ言った。

「そうだね。
これからも、パラミタ大陸のまだ知られていない場所や、
古代の遺跡を存分に巡ってみたいな」

天音が言うバックでは、変熊が肉まんを食べている。

ブルーズが、そっと、前に立ち、
変熊が画面に映らないようにするのだった。