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【帝国を継ぐ者・第二部】二人の皇帝候補 (第3回/全4回)

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【帝国を継ぐ者・第二部】二人の皇帝候補 (第3回/全4回)

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不穏の胎動、加速する状況。帝国の未来は――どっちだ!?
シナリオ名:【帝国を継ぐ者・第二部】二人の皇帝候補 (第3回/全4回) / 担当マスター: 逆凪 まこと




◆◇◆前回までのあらすじ◇◆◇◆

 パラミタ最大の国家、エリュシオン帝国。
 その世界樹ユグドラシルの整備に従事する“樹隷”の少年セルウスは、エリュシオンの龍騎士たちの師“スパルトイ”の一人であるクトニウス(の頭蓋骨)に導かれ、コンロンを目指して帝都ユグドラシルを出ました。
 道中、ドワーフに育てられた少年ドミトリエと出会い、「セルウス捕縛」の命を受けた第三龍騎士団の天才剣士キリアナに追われながら、波乱万丈の旅路の末、ついにコンロンへと辿り着きました。
 しかし、そこでは謎の人物”ナッシング”が暴れさせている遺跡が、セルウスの行く手を阻んでたのです。
 ”もう一人の皇帝候補”と呼ばれている荒野の王によって、遺跡を止めることは出来ましたが、セルウスの力を完全に目覚めさせることはできませんでした。
 そんな最中にアスコルド大帝の訃報が舞い込んみ、セルウスは、選定神の座を狙うティアラ・ティアラを倒すために、妹のエカテリーナと共にカンテミールへ向うドミトリエと別れ、その葬儀に参列することになったのですが、そこでセルウスはアスコルドの遺体に触れてしまい、ジェルジンスクの監獄へと送られてしまいます。
 そんなセルウスを助けに来たキリアナ達の協力もあって、ジェルジンスク選定神ノヴゴルドをテロリストの襲撃から守りきることが出来ましたが、今度はセルウス達が「ノヴゴルドを暗殺しようとしたテロリスト」とされてしまったのでした。


◆◇◆◇◆◇◆


ジェルジンスク



「ウチらがテロリストやなんて……乱暴なことしはるわ」

 ジェルジンスク監獄の応接間で、その報告を受けたキリアナは苦い顔で言いました。
 本来は、囚われのセルウスを助けに来たはずだったのですが、ここ、ジェルジンスク地方の新たな選定神ノヴゴルドがテロリストに狙われていると言うことを知り、見事守りきることに成功した、筈だったのですが、何故かノヴゴルドを狙ったテロリストはセルウスだった、ということにされてしまったようでした。
「その上、ノヴゴルド様がもう死んではるなんて……無茶苦茶や」
 呆れたように言いつつ、キリアナは難しい顔です。
 オケアノス地方の選定神ラヴェルデ・オケアノスが言うには、ノヴゴルドは既にセルウスに殺されており、テロリストに入れ替わられている、ということだ。真相を知るキリアナ達からしてみれば、双方を同時に葬る魂胆は見え透いている。
「あ奴らしいと言えばらしいことじゃがの」
 そのやり口に、ノヴゴルドは動じるでもなく呟きます。
「じゃが勝算が無ければやらぬ男じゃ。確実にわしを亡き者にしようとしておるのだろうの……」
「させるもんか!」
 静かなノヴゴルドに対して、声を上げたのはセルウスでした。
「じいちゃんは俺が守るよ!」
 強い意思の篭ったその言葉に、ノヴゴルドは目を細めましたが、途端に困ったようにセルウスは眉を寄せました。
「でも……これからどうしよう?」
「とりあえず、ここから出るのが先決やと思います」
 首をかしげたセルウスに、キリアナは言います。
 この監獄に勤める、キリアナの同類という青年からの情報によれば、この監獄は堅牢な造りではあるものの、蓄えが余り無く、迎撃用の武器があるわけでもないので、篭城には向いていないのだそうです。地下に脱出用の通路もありますが、その出口はジェルジンスクの中心地に繋がっているようで、待ち伏せの危険が大きいため、顔の割れていない契約者たちが、使用人のふりをして使うのならば兎も角、ノヴゴルド達が使うわけにはいきません。
「突破ならば問題はない」
 そう言うのはディミトリアス・ディオン(でぃみとりあす・でぃおん)です。
「ご老体の力を借りれば、目晦ましは出来そうだ」
 どうやら、ノヴゴルドの持つ能力との併せ技で、突破するための目晦ましをする手段があるようです。ですが問題はそれだけではありません。
「逃亡も大事だけど、どこかに一時的な潜伏先を用意する必要があるわね……」
 言ったのは教導団のスカーレッド大尉です。
「ドワーフの坑道はエリュシオン中にあるって、ドミトリエが言ってたよ」
「でも位置がわからなくては、どうしようもなくてよ」
 セルウスが名案とばかりに言えば、すぐさまスカーレッドは首を振りました。が、これにはディミトリアスが大丈夫だ、と頷きました。
「地脈を探ることぐらいなら、俺がやろう」
 大地のエネルギーの塊だった超獣に仕えていたためか、地の底のことなら幾らか感知できるのだそうです。
 ですがその前に、兎にも角にも、追撃から逃げおおせなければ、坑道へ潜ることは出来ないのです。
 そんな中、キリアナがさっと顔色を変えました。

「……あきまへん。荒野の王が、動きはったみたいどす……!」



オケアノス


「……私が同行する意味は余りないと思うが?」

 その頃オケアノスでは、セルウス討伐のために向おうとしていた荒野の王に、クローディス・ルレンシア(くろーでぃす・るれんしあ)が眉を寄せていました。お互いの思惑がどうであれ、クローディスの立場はオケアノス邸の「客人」なのです。そもそも戦力にならないはずなのですが、何故か荒野の王は、ジェルジンスクへの同行を求めてきたのです。
「貴様はセルウスと面識があるだろう。説得できるのなら、手間が無くて良いと思ったまでだ。他意はない」
 そうは言いつつも、どこか面白がっているような様子の荒野の王を訝しくは思ったものの、やはりそれぞれの思惑の元で同行することとなりました。

 そんな彼らの背中を見送りながら、オケアノスに居残った教導団大尉の氏無は、ふう、と息をつきました。
「一応「クローディスを守らないとだから戦闘に参加しない」って名目にはなるかねぇ……」
 ついでに伝達役にでもなってもらっておくかねぇ、と呟いた氏無に、テレパシーが届きました。
(どうするつもりだ?)
 テレパシーして来たのは、キリアナの所属する第三龍騎士団長のアーグラでした。
(どうもこうも、先手を取られちまったしねぇ。手伝えません、とはいかないよ)
 溜め息をつく氏無は難しい顔です。
 明言はしていないものの、ラヴェルデの含んだところは判っていました。セルウス脱獄に教導団が関わっていないと「したい」なら、正規の教導団として戦列に加われ、と言うことです。関わっている教導団員が独断であるなら、総力を挙げてセルウスを討伐ないし捕縛して、汚名をそそごうとするだろう、というのも見込んでいるかもしれないねぇ、と氏無は溜息を深くしました。
 仮に、たとえ捕縛ですんだとしても、セルウスの身柄は拘束され、次期皇帝擁立を急がれる現在、致命的なマイナスになるのです。それは氏無にとっても望ましい事態ではありませんでした。
(いっそ、傷の赤が教導団に入り込んでいたテロリストでしたってやるかな)
(人身御供か?)
 アーグラが不快気味に言うのに「最悪の場合はね」と氏無は肩を竦めました。
 「今回の件はスカーレッドがテロリストとして、独断を装ってノヴゴルドを強襲し、セルウスに罪を着せようとしたのだ」ということにすれば、少なくとも、協力した者達やセルウスの経歴に傷はつけないですむでしょう。うまくすれば、ノヴゴルドを守ったとしてセルウスの功績となるかもしれせん。ですが。
「ただあの男も一筋縄ではいかないだろうからねぇ。 色々対策は取っておく必要がありそうかな」
 そう言って、氏無は目を僅かに細めたのでした。


カンテミール

 同じ頃、カンテミールの地下坑道では、追っ手が掛かっていないことを確認して、皆が一息ついていました。
『……これからどうするんだぜ?』
 イコンを坑道の隅に隠したエカテリーナが、相変わらずの合成音声と共にモニタに文字を表示させると、ドミトリエは「俺はこのまま坑道を行く」と、オケアノスに通じる坑道の方角を見やりました。
「身を隠す所もいるし、気になることもあるしな」
 どうやら以前使ったトロッコを利用して、オケアノスへ向うようです。その準備を、自身のイコンの工房にいるドワーフ達にしてもらいながら、モニターの向こうでエカテリーナは首を傾げました。
『気になること?』
「ああ。セルウスはジェルジンスクに連れて行かれたらしいが……そこで終わるとも、思えないからな」
 オケアノスには、ジェルジンスクに通じる坑道の入り口がある……というのを、以前セルウスに教えていたことを、ドミトリエは覚えていました。もしそれをセルウス達が覚えていれば、あるいはそこに、セルウス達が来るかもしれない、と、希望的可能性に賭けることにしたようです。
 それに、もしそれが叶わなくとも、荒野の王を推しているオケアノスの実情を知ること、そして帝国の中心へ近付いておく必要がある、とドミトリエは続けます。
「どうも、今回の件はただの覇権争いだけで終わると思えない」
 そんなドミトリエの言葉に、エカテリーナは『判ったのだぜ』と答えました。
『ならボクは、ここに残って情報を集めるのだぜ。何しろこのボクには、ネットの海を駆けるスーパーハカーwwたちがついているのだぜ!』
「……まあ、頼む」
 その言葉に、心強さよりも一抹の不安を覚えながらも、ドミトリエはオケアノスに向けて出発したのでした。



 逃げるもの、追う者。探る者、隠す者。
 それぞれの場所で、それぞれの思惑が入り混じっている中、事態はその速度を上げて、結末へと動き出そうとしていました。


担当マスターより

▼担当マスター

逆凪 まこと

▼マスターコメント

■1月22日追記
【マスターページ】に、これまでの情報まとめが掲載されました。
これまでのリアクションを確認するのが大変な方はもちろん、情報整理したい方なども是非ご参考ください。


はじめましての方ははじめまして
二度目以上の方は再びお目にかかれて光栄です、逆凪まことです

今回もまた、前回に引き続き、陰謀渦巻く込み入った状況となっていますが
これまでご参加頂いた方も、今回初めてご参加になる方も、事情を知っている、いないに関わらず
問題なくご参加いただけますので、是非、挑んでいただけたらと思います

ちなみに今までの状況はこちらのマスターコメント欄等をご覧ください

▼帝国を継ぐ者 第二部

【帝国を継ぐ者・第二部】二人の皇帝候補 (第1回/全4回)
【帝国を継ぐ者・第二部】二人の皇帝候補 (第2回/全4回)



さて今回は、引き続きエリュシオンにて、それぞれの場所で大きく物語が動こうとしています
その為、幾つかの制約がございますので、下記の注意事項をご参照ください
また、今回も全ての登場人物はそれぞれ全く違う理由の元で動いていますのでご注意ください


※注意事項
今回も、行動する場所が大きく分かれることになります
場所を跨ぐアクションや、MC、LCが分かれるアクションの場合は、高確率で不採用となります
下記以外の場所や行動以外のアクションも勿論可能ではありますが、その分判定が厳しくなります
ダブルアクションになるものに関しては、今回は特にバッサリ切られる確率が上がっております
それぞれ該当のアクションをかけられる際は、ご注意ください

前回ご参加頂いた方の場所については、今回は特に制限はないのでご希望の場所で行動いただけます
が、今回のその結果次第で場所の移動などが限定的になる可能性がありますのでご注意ください



【ジェルジンスク】
寒冷地方であるジェルジンスクの中でも、万年吹雪に晒される最極寒の地であり、四方を山に囲まれた、天然の要塞とも言うべき場所がジェルジンスク監獄です
普段は吹雪が吹き荒れ、人を近寄らせない一帯ですが「ある理由」から現在吹雪は威力が弱まっています
山麓まで降りると深い森が広がる、自然豊かな土地であることがわかります

セルウス達は「脱獄してノヴゴルドを暗殺しようとしたテロリスト」として、その討伐隊がジェルジンスクへ向っています
何故か「ノヴゴルドは既に暗殺され、替え玉にすり替わっている」ということになっています

◆逃亡
セルウスやキリアナ達と共に、ノヴゴルドを守りながら逃亡を図ります
ノヴゴルドとディミトリアスの力によって、大規模な目晦ましが可能ですが、その分時間や条件が厳しいようです
一度目は逃亡開始に行われるようなので、麓まで辿り着くことが出来れば、二度目が発動することとなります

◆討伐 Sサイズ以下のイコンのみ利用可
荒野の王 ヴァジラと共に、セルウス達の討伐、あるいは捕縛のためにジェルジンスクに向っています
荒野の王はブリアレオスを伴っていますが、山の中では木々も密集しているため、大型のイコンは使えません
また、荒野の王はその自信からか集団で行動しようとはしないため、討伐隊はばらばらに動くこととなります



【オケアノス】
選定神オケアノスの豪華な邸宅は、様々な来客者に俄かに忙しなくなってきているようです
クローディスは荒野の王に同行しましたが、氏無はツライッツの護衛や小型龍の残骸処理などを理由に、のらりくらりと屋敷に居残っています

オケアノス地方の中心地では、交易で栄えているためもあって、様々な文化が入り混じり、幾つもの商店が立ち並んでいる、非常に活気のある場所となっており、最近ではグランツ教も台頭してきているようで、大きな教会が建っています
その教会では最近、奇妙な信者の姿がよく見かけられ、時折少女のような信者が大きな荷物を持ち込んでいた、という噂もあるようです

◆ラヴェルデ邸
氏無と共に行動し、ラヴェルデ邸とその周辺でのラヴェルデや荒野の王に関する情報収集や、セルウス達を無事に逃がすための水面下の裏工作を手伝うことになります
※裏工作に関しては、基本的には弁論戦なので、難易度はやや高めとなっていますので、ご注意ください

◆オケアノス市街地
幸いにも余り顔を知られてないことを強みに、ドミトリエが坑道の出入り口を見回るように街をうろつきまわっています
グランツ教のある教会は、どうやら坑道の入り口に近い場所にあるようです
合流することもできますが、独自に街を探索することも出来ます



【カンテミール】
高度な機晶技術を有するその土地柄故か、”エリュシオンのアキバ”と呼ばれる程、局地的に都会化したカンテミール市街地では、新しい選定神……というより、アキバ維持かシブヤ化かを廻って、エカテリーナと彼女曰くスイーツ()のティアラ・ティアラが対立し、結果ティアラの勝利によって一時的にティアラの統治下に置かれています

ティアラは龍騎士ディルムッドと共にカンテミールの中央の役所で、戦いの疲れを癒しながら、エカテリーナへの降伏勧告や、荒野の王の承認宣言、各使者への対応等、様々な用件に忙しなくしているようです

その地下の坑道では、エカテリーナ達が坑道に身を潜めています
ただしエカテリーナ自身は引き篭もり体質のため、イコンから降りては来ないようで、工房の中で独自の(ネトゲ)ネットワークを使って情報収集をしています

※前回、エカテリーナサイドで戦闘に参加していたイコン搭乗者は傭兵扱いのため、特にペナルティはありません
また、暗号通信が送られているため、密かに坑道に降りたり、坑道から地上に出る人たちと合流することが出来ます
もちろん、ティアラへの接触も自由です


【その他】
判定はかなり厳しいことになりますが
このシナリオに関係があると思われる場所に限り、上記以外での行動が可能です
ざっくり描写が削られる可能性がとても高いのでご注意ください


※他NPCの詳細は、マスターページに記載しています。 




※【帝国を継ぐ者】第一部、【●】のキャンペーンの詳細につきましては、お手数ですが下記ご参照くださいませ。

▼帝国を継ぐ者 第一部

【帝国を継ぐ者】追う者と追われる者 第一話
【帝国を継ぐ者】追う者と追われる者 第二話
【帝国を継ぐ者】追う者と追われる者 第三話

▼月乞う獣、哀叫の咆哮
【●】月乞う獣、哀叫の咆哮(第1回/全3回)
【●】月乞う獣、哀叫の咆哮(第2回/全3回)
【●】月乞う獣、哀叫の咆哮(第3回/全3回)


本シリーズの扉絵はしいら まさきさんに描いて頂いております!

▼サンプルアクション

・【ジェルジンスク】◆逃亡

・【ジェルジンスク】◆討伐

・【オケアノス】◆オケアノス市街地

・【カンテミール】

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年01月21日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月22日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月26日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年02月18日


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