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シナリオガイド

村の存亡をかけ魔女と一先ずの決着を付けよう
シナリオ名:ミナスの願い / 担当マスター: 河上 誤停

 
「手段は問いません。この村を救ってください」
 ニルミナスの村。依頼があると持ちかけられた熾月 瑛菜(しづき・えいな)アテナ・リネア(あてな・りねあ)の二人に前村長からそんな言葉がかけられます。
「祭も終わったばかりだというのにやけに物騒だね」
「そうですね。ただ、もうあまり猶予はないんです」
 瑛菜の感想に前村長はそう言います。
「もしかして恵の儀式?」
「はい。それほど時を待たずしてこの村は破産に巻き込まれて死に絶えるでしょう」
 アテナの質問に前村長は頷きます。

 恵みの儀式。それは端的に言うなら力の貸し借りシステムだ。借金と同じように借りる力が返す力を大きく上回れば破産する。
 そしてもし破産したとすれば、儀式の対象になっていた村や町は『遺跡病』と呼ばれる病であり呪いでもあるそれにより死にいたしめられる。

「けど救ってくれと言われても、具体的にどうすればいいかよく分かんないんだけど」
 村を救ってくれと漠然と言われてもと瑛菜。
「そうですね。こちらから提示できる方法は二つです」
「それは何?」
 身を乗り出してアテナは聞きます。
「一つ目はミナホを……私の娘を殺すこと。
 もう一つは私を殺した上で粛清の魔女を殺すことです。
 それで儀式は終了します。破産が起こる前にどちらかの方法をとればこの村は救われます」
 淡々と告げる前村長。
「……冗談だよな?」
「私が今嘘をついていないのはあなたがよく知っているでしょう」
 瑛菜の問いかけに前村長はそう返します。
「……ミナホちゃんはなんて言ってるの?……ううん。そもそもミナホちゃんはこのことを知っているの?」
 ミナホ・リリィ(みなほ・りりぃ)。この村の村長である彼女がこのことを知っていたら……アテナはそう思います。
「知らないはずですよ。私はあの子に何も言っていませんから」
「……なら、早まったことはしないか」
 話さなかった前村長に思うところはあるが、自分たちが先に知れてよかったと瑛菜は思います。
「……あんたはどうするんだ?」
 娘や自分の命がかかっていることを他人事のように話す前村長に瑛菜は聞きます。
「私も私で動きますよ」
「どう動くかを聞いてるんだ」
「……そうですね。まだ分かりません。私は私の判断をある人に預けています」
 その答え次第だと前村長は言います。
「とにかくこちらが提示できる方法はその二つだけです。どちらも気に入らないというのであれば三つ目の方法……自分たちで行動を決めてください」


「――――♪」
 静かな村をほんの少しだけ見下ろせる丘でミナホは歌っていました。やさしくも悲しい……そんな歌を。
「さてと……死ぬ覚悟はできたか?」
 歌うミナホに遠慮なく、かつての野盗たちのボス、ユーグは声をかけます。
「……はい。ですが……」
 ユーグの言葉に驚くことなくミナホは頷きます。自分が死ぬことでどうなるか、彼女は知っているのです。
「ああ、自分で死ぬ勇気はないんだろ? 安心しろ。約束どおり俺が殺してやるから」
「それと……」
「ああ、分かってる。別に今すぐ殺さない。まだ猶予はある。お別れする時間くらいだが」
 そこで一旦ユーグは言葉をとめます。そして一つだけ息を吐き、続けました。
「……謝らないからな?」
「分かっています。あなたは何も悪くありません。こちらこそ謝らせてください。……辛い役目を任せてしまってごめんなさい」
「謝る必要はないさ。自分の目的のためならどんな悪い事でもする。それが悪党って奴だ」
「……正直、私はまだあなたのしたことを許せません。でも、どうしてあなたが防衛団の人たちに今なお慕われるのか、なんとなく分かった気がします」
 そう言ってミナホはまた静かな丘で歌い始めます。
「……ま、あれだ。俺がこれ以上手を汚さなくてすむといいんだがな」
 その可能性は藁をつかむような確率だろうがとユーグは呟くのでした。


『くすくす……あなたたち、調子はどうかしら?』
 どことも知れぬ場所。粛清の魔女と呼ばれる女性、ミナは周りにいる男たちにそう聞きます。
「ああ、あんたのおかげで自分の体とは思えない」
 男たちの一人―黄昏の陰影と呼ばれる傭兵団のリーダー―は魔女の質問にそう答えます。
『分かっているとは思うけれど上がっているのはあくまで傷つける力だけよ? 守る力に関しては何も変わらないわ』
 それでも速さや攻撃力だけは熟練の契約者並みに引き上げられていました。
『くすくす……とにかく早く準備を終わらせなさい』
 魔女の言葉に従い、戦いの準備を進める傭兵団。
『――――♪』
 その横で魔女は歌い始めます。悲しくもやさしい歌を。静かな丘で今なおミナホが歌っているのと同じ歌を。

『♪――あら、準備は終わったみたいね』
 傭兵団が準備を終えたことを確認してミナは歌を止めます。


『それじゃあ、滅びの宴を始めましょうか』



担当マスターより

▼担当マスター

河上 誤停

▼マスターコメント

初めての方ははじめまして、前回参加してくれた方はお久しぶりです。河上誤停です。
今回は問題発生シナリオになります。恵の儀式によって村が滅びるのを防ぐのと、粛清の魔女の襲撃から村を守ることが目的となります。
今回のシナリオはPLの皆さんのアクション次第で大きく結末が変わります(村滅亡からNPC死亡等)。
シナリオの難易度もこれまでと比べるとかなり難しくなっています。

■恵の儀式の終わらせ方について

1:ミナホ・リリィを殺すこと
2:前村長と粛清の魔女、その両方を殺すこと

儀式を終わらせる方法はこれ以外には存在しません。(なぜ終わるのかはリアクション中で説明します)
仮に儀式を終わらせる事で村を救おうというならこれ以外のアクションは全て失敗判定となります。
従ってこの方法以外で村を救うのなら儀式を終わらせないことが前提条件です。
現状が続くと三日ほどで村が滅亡します。(魔女の襲撃や契約者のアクション次第で前後します)

■ミナホ・リリィについて
ミナホは全てを知っている状態です(粛清の魔女が誰なのか、自分が何者なのか、恵の儀式の概要とその終わらせ方)
PLが何も彼女に対して何もアクションを行わなかった場合、瑛菜やアテナたちに別れを告げた時点で死にます。
彼女が死ぬことが一番確実な村の滅びを防ぐ方法です。

■粛清の魔女の襲撃について
粛清の魔女ミナは傭兵団である黄昏の陰影とともにニルミナスへ直接襲撃をかけてきます。
真正面からの襲撃となりますが複数個所同時の襲撃であり、村のあちこちが戦場になります。(こちらはPL側で村の戦場を指定できます。戦いやすい場所、守りたい場所などアクションでご指定ください)
今回は魔女も傭兵団と一緒に襲撃へと参加していますが、基本的に傭兵団が全滅するまでは姿を隠しており、先に倒したり殺したりは不可能に近いです。
逆に傭兵団全滅後は姿を現し、殺そうと思えば簡単に殺せます。魔女本人と戦うということはありません。
傭兵団はミナホが死んでいない場合攻撃力や素早さのみレベル80以上の能力値で、防御力は常人より少し優れる程度となっています。ただ、魔法や超能力といった契約者の攻撃は効きにくいです。また、痛みを感じない体になっています。
ミナホが死んでいる場合はレベル20程度の能力になり、魔法や超能力も普通に効きます。
どちらの場合も傭兵団は1人から5人程度で集まって襲撃してきます。

■ニルミナス防衛団について
防衛団も村の各所で応戦します。彼らは指揮するものがいると動きがよくなります。
襲撃の防衛に当たる場合、彼らをアクション中で利用しても大丈夫です。

■ユニコーンについて
村に住むユニコーン、ラセン・シュトラールは今回の襲撃で傷ついたものを癒して回っています。

■ゴブリン・コボルトについて
普段は森を守っているゴブリン・コボルトたちもまた彼らの目的をもって行動しています。傭兵団が全滅するまでは彼らも一緒に村を守るため戦ってくれます。

■瑛菜・アテナについて
ひとまずミナホと合流しようとします。その後、結果はどうあれ村の防衛に回ります。

▼サンプルアクション

・村を防衛

・ミナホを殺す

・三番目の方法を探す

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年11月30日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年12月01日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年12月05日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年12月17日


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