シャンバラ教導団

　空京の一角に、冒険好きの学生達が集る店があります。
　ミス・スウェンソンのドーナツ屋、通称ミスド。
　オーナーの地球人、ヨハンナ・スウェンソンは、ジュース１杯、ドーナツ１個で長時間居座る学生達にも、温かく接してくれます。
　夏の終りのことです。
　その冒険の情報が集る店に、事件の情報が持ち込まれました。

　その日、百合園女学院の生徒会執行部、通称白百合団の副団長である神楽崎優子（かぐらざき・ゆうこ）は、パートナーのアレナ・ミセファヌスを含む団員を数人引き連れて、空京にとある事件の調査に訪れていました。
　その事件についての情報は殆ど得られなかったのですが、気になる事件が彼女達の耳に飛び込んできました。

　ここ、空京の北西には、幾つかの大きな島が存在します。
　空京との間でも便は少ないながらも、飛空艇による輸送が時々行なわれています。
　その島の外れ。
　荒野の中に存在する石造りの洋風の建物の中に――パラミタの各地から拉致された女性や子供、ゆる族が捕らえられており、地球やヴァイシャリーの貴族に売られているというのです。
　故郷、もしくは第二の故郷と愛する地である、学び舎のあるヴァイシャリーの名前が出ては、優子達白百合団員は黙っていられませんでした。
　信憑性が薄かったため、まだシャンバラ教導団は動いていません。
　白百合団員は様々な施設を回って、その島についての情報を集めました。
　そうして作り出した資料を前に、他校の生徒達と共に攻略について話し合いを始めます。
「門は恐らく２箇所。正門と裏門。敷地内の建物は３階建ての館が１棟だけのようだ。運ばれている物資の量から、１００人以上の人物が暮らしていると思われる。うち何人が被害者かは判らんが、売買目的の人物を長い間離島に留めておいては、食費などがかかるからな、そう人数はいないものと思う、が……」
　優子も白百合団も軍人ではありません。学友を護る為に、武器を取ることも多々ある彼女達ですが、こういった組織を相手にすることは本当に稀であり、中心になって作戦を打ち出すほどの知識はありません。
「危険な作戦になると思いますが、力を貸してくれませんか？」
　百合園女学院の白き乙女達は、集まっている冒険好きな学生達に声をかけて回りました。

　窓１つ無い、冷たい部屋の中で、少女は一筋涙を零しました。
「お父さん、お母さん……」
　彼女は明日、売られてしまうのです。小型の飛空艇で少しずつ、捕まった人々は連れていかれます。
　彼女の身体には、生々しい痣があります。抵抗した時に、何度も何度も殴られたものです。
　売り物にならないからと、目の前で殺されてしまった娘もいました。
　彼女達は同じ地下の階で、１人、１人、隔離されています。
　暗い部屋の中で、涙が涸れるまで泣いても誰も助けには来てくれません。

　誰も――。

こちらのシナリオは『相談推奨』の『協力型』のシナリオです。
必須ではありませんし、強制もしませんが、オープン掲示板での交流が苦手な方も、出来れば挨拶と自分の行動について軽くであっても掲示板でご発言いただければと思います。

今回の作戦では、集まった皆で１つの結果を求めて協力します。
無論、ＰＣ自身の目的や、独自に得たい結果が他にあっても構いません。

シナリオの目的としては

・捕まっている人々を全員救出すること。
・犯罪者達を捕らえること。

この二つが大きな目的になります。
敵側は犯罪組織であり、武装しています。種族も様々でパートナー契約を結んでいる人物（要するに強い）もいると思われます。

※神楽崎優子は以下のように班を編成しようと案を出します。

参謀班（全体的な作戦を担当、現場では伝達の役も）
斥候班（少人数が望ましい）
正門突破班（派手な戦闘が予測される）
裏門、裏口侵入班（隠密行動、奇襲）
上空撹乱班（飛ぶ手段のある者）
救護班（少し離れた位置で、怪我人の治療）
人質救出班（先行班に続き、侵入し人質の確保に努める）
遠距離攻撃班（遠距離攻撃が出来る者）
敵飛空艇破壊班（敵の逃走、輸送手段を断つことだけに専念）
追撃班（機動力のある人物）

必ずしもこの案に従う必要はありませんが、この案をベースに作戦を立てていただければと思います。
優子（剣士）は参謀班と共に待機し、全体の指揮を担当予定です。
アレナ（プリースト、剣の花嫁、形状『弓』）は、手薄な班に加勢予定です。

※注意事項
ヴァルキリー、守護天使は飛ぶことが出来ます。レベルによって飛行速度などは変わりますが、大体スクーターくらいの速度が出せると考えて下さい。
火、雷、氷術は、レベルにもよりますが、近距離向けの魔法です。
ＳＰはある程度まとまった休息をとれば回復いたします。
現在ＰＣが所持している飛行系の乗り物は、空飛ぶスクーター程度の性能です。
目的の島へは空京から飛空艇の定期便で皆で向かいます。現地に携帯基地局はありません。
軍事作戦ではないため、所持していない武器防具、機材道具類の貸し出しは出来ません。資金もありません。
白百合団員に限り、優子達に同行していたとして、団専用の純白の甲冑を装備しているとしてアクションをかけていただいても構いません。
その他、普通にコンビニで買えるようなものであれば、常識的な範囲で持っているとして行動してＯＫです。
実は捕まっていた。実は知り合いが敵の中にいる。別の理由で先に到着している。などといった、設定を勝手に作るのはＮＧです。

こちらのシナリオは相談推奨ですが、掲示板の書き込みについては、リアクションに反映させることが出来ません。相談の結果につきましては必ずアクションにお書き下さい。

※最後に
このシナリオは『シリアス』です。判定は幾分シビアです。
イベントシナリオですので、個々の描写量にはそんなに期待しないで下さい。
負傷者が続出すると思われます。怪我をしたくない方は、怪我をしない行動に努めて下さい。
難易度の高い依頼ですが、皆様の協力でより良い結果を導き出していただければと思います。

・正門突破班として、突入する

・救護班として皆を治療する

・上空撹乱班として、敵を撹乱をする

・追撃班として、逃げる敵を追う