シャンバラ教導団

　２０２４年１月上旬。
　冬休みが終わり、百合園女学院では今年最初の白百合団総会が行われました。
　団長の風見　瑠奈（かざみ　るな）は檀上に立ち、既に夏の合宿の時に参加者には話してある、白百合団の今後について、全ての白百合団員の前で語りました。
　瑠奈が動けない間に、改革の為に動いてくれた団員がいたこともあり、事件を経て、ヴァイシャリーに警察が設けられることは議会で決定しています。
「現状を踏まえまして、白百合団の今後について私は次のように考えています」

　百合園には現在、ヴァイシャリー家直属の警備団体による警備が行われいますが、警察が発足した際には、こちらは警察官の管轄になります。
　生徒会組織としての白百合団解散後、警察下部組織として社会人の百合園警備団（新白百合団）を結成し、現在白百合団が担っている任務も以後はこの警備団が請け負うこととします。
　百合園の生徒も、任意でボランティアとして警備団に加わる事が可能とし、生徒達には指揮官として警備団員がつきます。学生は警察官ではなく、警察から警備団に任務が下された場合も、学生に関しては受けるか受けないかは本人の意思で決められるとします。

「以上が、私の考えです。この方針で、ヴァイシャリー家、市民の方々と話し合っていきたいと思っています。
　……ですが、現状のままを望まれる方もいるでしょう」
　瑠奈は団員達を見回して、こう続けました。
「私は３月で百合園を卒業します。これまで白百合団を担ってきた先輩たちの多くも３月で卒業をします。
　その後も、団長としてこの体制の白百合団を率いていきたいという方がいましたら、団長に立候補し、来月行われる臨時生徒総会で、皆の前で意見を述べてはいただけないでしょうか。
　生徒達の多くが現状維持を望み、且つ次期団長として相応しいと生徒達に認められた方がいるのなら、警備団とは別の組織として、生徒達の白百合団を存続させても良いと思います」

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　ダークレッドホールから異空間へと向かった者達が、白百合団員のシスティ・タルベルトのテレポートで戻ってから１カ月が経ちました。
　意識不明のまま、システィ――シスト・ヴァイシャリーは、集中治療室で治療を受けていました。
　彼が入院している病院については、明らかにされていませんが、瑠奈は退院してから週に２度くらいのペースで、彼の家に彼宛ての見舞いの花束を送っていました。
　彼の意識が戻ったという知らせが瑠奈の元に入ったのは、戻ってきて１カ月と少し経った時。
　同時に、瑠奈はシストに呼び出されました。

「こんにちは」
　瑠奈は少しぎこちない微笑みを、シストに向けました。
　男性の姿で、シストはベッドに横たわっています。自力で起き上がることも出来ない状態のようです。
　病室にはヴァイシャリー家の執事や、ガードマンの姿が沢山あります。
　部屋にいる人々に会釈をしてから、瑠奈は彼の傍らに近づきました。
「元気そうで、良かった」
　瑠奈の姿が視界に入ってすぐ、彼はごく淡い笑みを見せてそう言いました。
「ありがとう。助けに来てくれた……皆と、あなたのお蔭です。
　無理させてしまってごめんなさい。無事で本当によかった……早く良くなってね」
　優しい目で瑠奈はシストを見ていました。
　姿は違っていても、彼女にとって彼はやはり白百合団員の仲間で、友達のシスティなのです。
「仲間達は皆、あなたに感謝しているし、誇りに思っているわ。あなたの背を押した人達のこともね」
　瑠奈の言葉に頷いてから、シストは瑠奈を真剣な目で見つめました。
「瑠奈……一つ、頼みがある」
　シストのその言葉に、瑠奈も真剣な表情になり、頷きました。
「俺と、契約してくれないか？　それ以上に、キミを困らせることは言わない。
　付き合って欲しいとも、もう思っていない。嫁にとも考えていない」
　ただ、地球人の中で、自分が最も好意を抱いている人物は、瑠奈だと。
　契約を考えられる地球人は、瑠奈以外いないから。
　自分と契約してほしいと、シストは瑠奈に言いました。
「キミが契約をするのは、システィ・タルベルトだ。システィの正体がシスト・ヴァイシャリーであったことも、俺が百合園に通っていたことも、世間に広まらないようにする。
　……俺の命を狙おうとする者が現れた時、キミが巻き込まれることのないように」
「……システィ」
　瑠奈は、彼の本名ではなく友人の名前を口に出しました。
「実は、私も戻ってからずっと、同じことを考えてたの。
　私、あなたと契約がしたいです」
　瑠奈の言葉に、シストの表情が驚きの表情に変わりました。
「元々、システィのことは友達として好きよ。ただ、正体を知って、騙されてたような気がして、寂しくもなったけれど」
　そして、皆の為に命を賭してくれたあなたのことが、ますます好きになったと、瑠奈は言いました。
「今、私達はお互いが必要だと思うの。あなたが契約をして成したいことと、私がすべきことは一致している。
　私に、団長としての責務を果たさせてください」
　瑠奈は彼の手に自分の手を添えました。
「システィ、私達、一生の親友になりましょう。……私と、契約してください」
「……ああ、ずっと親友でいよう、瑠奈」
　そうして、２人はパートナー契約を結んだのでした。

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　１月下旬。
　風見瑠奈とシスティ・タルベルトが契約をしたことにより、システィの回復が早まり、異空間へのテレポートが可能になりました。
　その知らせは、ヴァイシャリー家により政府に届けられました。
　ダークレッドホールに突入し、行方不明になったもののうちシャンバラに戻ってこれた人物はそう多くはありませんでした。
　異空間には、突入で命を落とした者の亡骸が残っています。そのため、近親者から調査を望む声が多く出ています。
　また、所属立場関係なく、調査に向かいたいと政府に申し出る契約者も後を絶ちません。
「損傷はかなり激しいと聞いている。身元は判明しない可能性もあるが、遺体や遺品全てとシャンバラに戻れたらと思う」
　ロイヤルガード隊長の神楽崎　優子（かぐらざき・ゆうこ）は、契約者を中心とした調査団を結成し、自らは遺体、遺品の回収の指揮を担当することにしました。
「聞いた話では、その世界の建物は古代の建物のようだったという話だ」
　言って優子は、パートナーのアレナ・ミセファヌス（あれな・みせふぁぬす）を見ました。彼女には古王国時代の知識があります。
「はい、私は魔力増幅の杖を使ったお手伝いと、空間の調査を手伝います」
　また、もう一人のパートナーである、ゼスタ・レイラン（ぜすた・れいらん）も同行するとのことです。
　異空間の調査については、瑠奈が指揮をとる予定です。イングリット・ネルソン（いんぐりっと・ねるそん）を始めとする、白百合団員も数名同行予定です。
　その他調査団には、有事に備え、ツァンダ家やザンスカール家が手配した、陰陽師、テレポートの使える魔術師も数名同行します。

　調査期間はシャンバラの時間で２週間までとし、調査が終わらずとも２月半ばには切り上げる予定となっています。
　百合園ではその後に、生徒総会が行われます。
　バレンタインデーが近いこともあり、生徒総会の後には一般の方や他校生をも招いての、ささやかなお茶会が開かれます。
　白百合団員で異空間に行かない者は、総会での演説やお茶会の準備をしながら、皆の帰還を待ちます。

こちらのシナリオでは『白百合革命』の後日談のシナリオとなります。
白百合革命にご参加いただいた方には、シナリオに招待させていただいております。
白百合革命に参加していない方、他校の方も御気兼ねなくご参加ください！

こちらのシナリオでは、事件後、新年を迎えた皆様の姿が描かれます。
異世界につきましては、政府と敵対している方以外はどなたでも同行できますが、白百合革命同様、ＰＬ情報とＰＣ情報の違いにご注意ください。
ガイドや白百合革命のリアクションに書かれていましても、ＰＣが知り得ないことについては知っているとして行動することも、知ることもできません。

参加キャラクター数の制限はありませんが、ＬＣはＭＣと一緒に行動し、同じことに関わる場合にのみの追加でお願いいたします。
ＬＣのみでの参加を希望される方は、ＭＣのアクション欄をＬＣのアクション用に使っていただいて構いません。
経験値目的の追加は問題ありません。アクション欄に描写不要とご記入ください。

このシナリオでは、白百合団の信任に関わる方は、掲示板の確認が必須になります。
最終的な判断は、投票結果を踏まえ、現白百合団役員とラズィーヤの話し合いで決定されます。

●生徒会での演説につきまして
百合園生で、白百合団解散案に対しての対抗意見がある方、現制度の存続を望み白百合団の団長へ立候補をする方には、臨時生徒総会で演説をしていただきます。
現制度の団長への立候補は、白百合団に所属しており、現時点で昇格をしたことがあるもしくは、２年以上白百合団員として活動している方、及び素行に大きな問題がなく、且つ現時点で中学生以上、短大１年生以下（実年齢、実性別は問わず）の方のみ行えます。
立候補する方、応援演説を行う方、対抗意見を檀上で述べる方は、シナリオ掲示板（アクション締切２４時間前までに）とアクション欄に演説内容をご記入ください。

●信任投票対象者
活動中の百合園生にのみ（過去２ヶ月以内にリアクションの返却がある）、投票の権利があります。
風見瑠奈を支持するか、意見や立候補があった場合（掲示板で確認）その人物を支持するかどうか、理由も併せてご記入ください。
理由がない場合や理由がＰＣとは関係のないＰＬ事情だった場合は投票自体が全て無効となります。
名前が書かれていない候補者や、支持、不支持が記入されていない場合は、準不支持となります。
信任投票について一切記載がない場合は、投票を棄権したという扱いになります。
投票は無記名です。

【記入例】
風見／不支持／白百合団は今のまま存在してほしい。
ＰＣ名／支持／実績があるから。現体制の白百合団を率いてほしい。

●ダブルアクションにご注意ください
ダブルアクションが原因で、良い結果をお返しできないことが多々あります。
ただし、今回は、信任投票に関しましては、アクションとしてカウントいたしませんので、百合園生は是非投票にご参加ください。
生徒総会で演説（応援演説者も）をする方は、他の行動はせず演説１本に絞り、魂を込めてください！

●ＮＰＣについて
シナリオに登場する可能性のあるＮＰＣは『白百合革命』のリアクションに登場した人物に限ります。

その他、今後の予定や、川岸の考えについて興味がある方は、マスターページをご確認くださいませ。
白百合革命の個別につきましては、このガイド公開後に公開予定です。

それではアクション楽しみにお待ちしております！

・茶会でのんびり

・異空間の調査に行く

・○○を手伝う！

・システィに告白する！