百合園女学院

　２０２４年２月。
　冬休み、お正月、新学期に成人式と目まぐるしいイベントも過ぎ、女の子たちがバレンタインの話題に浮かれ始める頃、一枚の張り紙が掲示板に張り出されました。
　白百合会主催・お茶会のお知らせと題されたその張り紙には、卒業シーズンを前にした全校生徒の思い出づくりの一環であること、他校からも親交のある生徒を招くこと、お茶会の最中に、個別相談会が開かれることが記されていました。

　校長室の机を前に百合園女学院の校長・桜井　静香（さくらい・しずか）は、企画書を読み終えると、室内を見渡しました。
「――ということで、当日は宜しくね。僕とラズィーヤさんは相談会の方に忙しくて、あまり顔を出せないと思うけど」
「……あら静香さん。最初からそんな弱気では困りますわね。可愛い妹たちに顔を見せるのも、様子を見ておくのも校長の務めではなくて？」
　ソファから優雅にティーカップを取り上げて応えたのは、ラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）です。
　相変わらず本心の読めない微笑をたたえたラズィーヤに、静香は口を尖らせるように言い返しました。
「分かってるよ。ラズィーヤさんも、相談に来た皆には優しくしてあげてね？」
　側に控える長い黒髪の女性――伊藤　春佳は、微笑みました。
「静香校長も大分たくましくなられましたね、ラズィーヤ様」
「そうですわね。でも、まだまだラズィーヤ様には敵いませんわ。校長にはラズィーヤ様を倒して頂くくらい強くなって欲しいものですわね」
　アナスタシア・ヤグディン（あなすたしあ・やぐでぃん）がプラチナブロンドの髪をかきあげ、口を挟みました。
「倒すって……本気ですか？」
「言葉のアヤですわよ」
　アナスタシアはそっぽを向いて言います。
　春佳はラズィーヤの秘書であり、前生徒会長でもあります。アナスタシアは、文武両道を誇る凛とした印象の強い春佳から比べればいかにも頼りなく思えましたが、れっきとした会長です。企画書を書いたのも彼女でした。
「……ともかく。ラズィーヤ様と校長には、可愛い生徒たちの相談を受けていただきますわ。
　進路相談は勿論、個人的なお悩みも解決して、晴れ晴れとした気持ちで新学年を迎えられたら素敵ですわね。
　お茶会については……村上さん、説明をしてくださらない？」
「はい」
　会計の村上　琴理（むらかみ・ことり）はパートナーのフェルナン・シャントルイユ（ふぇるなん・しゃんとるいゆ）から資料を受け取ると、一歩進みでて口を開きました。
「お茶会のセッティングは白百合会主導。こちらは、認定専攻科の女官コースの教鞭をとるエヴァット夫人もご協力いただく予定です。尚、当日は白百合会メンバーや、好意でお手伝いをしたい、という生徒たちもゆっくりできるようにしました。
　会場は、別校舎です。他校生の男子生徒も入れますので。
　配膳や簡単な調理は百合園の食堂のスタッフが行いますが、商工会議所を通しまして、ヴァイシャリーのレストランや菓子店から、バイキング形式のお食事やお飲み物の手配をしていただくことになりました。
　……下校時に寄り道したお店の、懐かしい味というのもたまには良いかと思いましたので」
　琴理は言い終えると、ふと窓の外に目をやりました。皆もつられて外を眺めます。
　厳しい冬の中にも、梢には小さな芽が見えます。春は――新年度はもうすぐそこです。
　巣立ち、見送り、留まり。
　別離を惜しみ、再会を誓い、或いは共に歩むことを選ぶ。
「どんなかたちでもいいから、百合園でのいい思い出や出会いが、生徒が将来を歩んでいく支えに少しでもなれたら……嬉しいな」
　静香もそう言って、校庭をさざめき歩く生徒たちを優しい目で見守っているのでした。

　こんにちは、有沢です。
　今回は、百合園女学院のお茶会兼、進路相談会です。
　高校や短大卒業後、短大や専攻科、空京大学に進学される方。就職や起業を考えていらっしゃる方。将来的に卒業を迎える予定のある方、転校を希望される方などなど……立場はそれぞれかと思いますが、個人的に進路決定の前に確認しておきたい・相談したい方向けのシナリオです。勿論こちらで進路決定していただいても構いません。
　尚、３月には川岸マスターが卒業謝恩シナリオを公開される予定です。


・お茶会
　小さなパーティ会場で行われます。バイキング形式です。テーブルに、各自に最低一脚は椅子が用意されていますが、移動自由です。
　ガイドにはいませんが、海軍はカレー係、フェルナンやレベッカ・ジェラルディはお手伝い、某守護天使はお呼ばれしています。

・進路相談会
　パーティ会場外の個室で行われ、個人面談形式です。
　相談相手はラズィーヤ・ヴァイシャリー、桜井静香、アナスタシア・ヤグディンの三名です。
　相談内容は、基本的には個人の進路となりますが、その他お悩み相談もお受けしています。
　白百合会や百合園全体に関わる問題もお受けできますが、内容によっては相談・提案レベルになります。
　生徒会執行部・白百合団につきましてはお取扱いできません。
　他校生も相談できますが、百合園以外の個人的なお悩み相談になります。

　また、今回は特別ルールとしまして、ＭＣとＬＣの全員が、各自ＮＰＣに相談する場合のみ、ＬＣ追加の上でダブルアクション可、文字数追加目的のみのＬＣ追加可能としたいと思います。
　以下、考えられるパターンを記します。
　・ＭＣとＬＣが同一ＮＰＣに、一緒に相談……通常のようにアクションをおかけください（ＬＣ追加必要なし）。
　・ＬＣメイン、ＭＣがＬＣ扱い……アクション欄を入れ替えてアクションをおかけください（ＬＣ追加は、メインにしたいＬＣのみ）。
　・文字数追加目的のＬＣ追加……可能です。ＬＣは描写されませんが、ＬＣメインのパターンも可能です。
　・ＭＣとＬＣが、別個に相談……同じＮＰＣでも違うＮＰＣでも可能ですが、相談したいＬＣ１人につき、もう１人ＬＣの追加参加をお願いします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　追加分のＬＣは描写されません。相談したいＬＣのアクション欄としてお使いください。
　・ＭＣは相談、ＬＣはお茶など……ダブルアクション不可です。通常のように、ＬＣは軽い行動説明となります
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ＬＣメインの場合はＭＣの描写比重が軽くなります）。



　それでは、皆さんのアクションをお待ちしています。

・進路相談する

・友人とお茶を飲む