壊獣へ至る系譜:その先を夢見る者 後編 リアクション公開中! |
シナリオガイドそれは手段であり、目的ではない。その先に求めるべきは、嗚呼、ただ……。
シナリオ名:壊獣へ至る系譜:その先を夢見る者 後編 / 担当マスター:
保坂紫子
…※…※…※… 《クロフォード。俺はお前と同じことができるだろうか》 幼い日に聞いた独り言。 今にして思えば、その人は、 来たるべき日を夢見て、そして、恐れていたんだと思う。 …※…※…※… 手引書キリハ・リセンから連絡が入ったのが、その翌日、現場に到着したのはそれから更に半日かかりました。 其処には、太陽の下、山一つ分はある巨大な機晶石の洞窟がその肌を晒して、燦然と輝いています。 「でけぇな。おい、シー、見ろよ」 見上げた王 大鋸(わん・だーじゅ)は指差します。 「竜、ダ……」 もう洞窟なのかそういう形をした山なのか判別もつかない機晶石の塊の上に横たわる共鳴竜コーズを見つけてシー・イー(しー・いー)は、遠目から見ても動き出さない竜の様子に再び眠っているのかどうなっているのか考えを巡らせます。 「王は此処に残って作業をお願いしていいですか?」 「何をすればいい?」 「権限をお渡ししますので、文字の操作を。クロフォードと速度が違うとはいえタププからの転移は厄介なのでその妨害と、できれば撹乱もしたいのでその命令文の打ち込みも」 「それって俺一人でも何とかなるのか?」 「忙しいですが……大丈夫です。文字の誘導と指示は全て私が。本当は裏技も使えれば楽なんですけど贅沢は言ってられませんよね。 ……鱗一枚分だけの文字数しか使用できませんがクロフォードより複雑ではないので充分追いつくと思います」 「最初が肝心、か」 「はい」 「キリ、ハ」 呼ばれてキリハはシーに、同じく権限を渡しますのでと説明を続けます。 「イーはコーズの元に。時間稼ぎにしかなりませんが、コーズに働きかける文字をこちらで検出しますので、その破壊をお願いします」 共鳴竜の鱗に収まっている古代文字『系図』を引き出しながら準備を進めるキリハにシェリー・ディエーチィ(しぇりー・でぃえーちぃ)は近づきます。 「ごめんなさい。キリハ、我侭を言って」 「どうして謝るのです? 何か悪いことでもしたのですか? 違うでしょう? 主張することは悪いことだと私は思いません。ただ、自分が何をしているのか自覚はしてください」 意識の無い破名に揺さぶりをかけると宣言した少女に、キリハは反論するべき言葉を持っていませんでした。共に今回の騒動の大元手記ロン・リセンの元に行く予定のシェリエ・ディオニウス(しぇりえ・でぃおにうす)に向かって「頼みます」と一言を伝えるだけに留まります。 …※…※…※… 『妹とクロフォードは洞窟の最深部に居ます。 内部は変化無いはずですので、以前に踏破した地図が使えると思います。私は持っていないので申し訳ないのですがそちらでご用意願います』 突入前のキリハの言葉を思い出しつつトロイの機晶石洞窟に侵入して暫くして、シェリエはその異変に足を止めます。 機晶石が鏡のようにシェリエの顔をはっきりと映し出していることに、気づきました。同時にキリハの言葉も思い出します。 『どうぞ、お気をつけを。 あなたを映し出す機晶石の輝きはやがてあなたの姿を取り、抜け出し、目の前に立ちはだかる事と思います。 それは絶対たる、あなたです。 偽りなき、あなたです。 あなたが、あたなである証拠です。 そしてその本質は、あなたがあなたであるということ、あなたがしあわせでありたいと願う心、世界に在りたいと確固たる主張をする存在という、もう一人のあなたです。 負けないでください、受け入れないで下さい。それは妹の理想に賛同したと見做されます。 けれど……』 その説明に、確か「けれど?」とシェリエは問い返した覚えがありました。 『勝つことが正しいのかは、私はわかりません。いえ、どれが正しいのか私はわからないのです。私はあなたではないので……。 斬りつければあなたが血を噴きます。叩けばあなたの肉が窪むでしょう。惑わされるのも、眠らされるのも、身動き叶わなくなるのは、あなたです』 妨害するのは己自身とキリハは忠告します。 「再現度が高いって一言で説明されたけど、厄介だわ」 「シェリエ」 立ちはだかるもう一人の自分を睨みながら思案を巡らせるシェリエにシェリーは、やはり自分だけ排除者が現れない事に不安を覚えているようです。 「ワタシはワタシ……しあわせになりたいの。ならせて……」 シェリエの心を映した、もう一人のシェリエが訴えます。 「ワタシもワタシよ。さぁ、共に……」 生きて死ぬだけの楽園を創りましょう。と投げかけるのでした。 …※…※…※… 洞窟最奥で、ロンは『箱』の中で眠る破名・クロフォード(はな・くろふぉーど)の頬をゆっくりと撫でます。 「起きなさい」 ロンの囁きの声に破名はうっすらと焦点定まらない銀色の両眼を開きます。そんな彼の両手を取って上体を引き起こし、箱から出すと、 「立って。そう、進んで……良い子ね」 ロンはそのまま足元の覚束ない破名を連れます。 機晶姫トロイ・タププの横に移動させ座らせると破名は自分を支えきれずトロイに寄りかかりました。 「わたしの、こ?」 トロイがざらついた音声で反応します。 「違うわタププの子。その子はクロフォードの息子よ」 虚空を見つめる機械的なフォルムをした青白い少女はロンの言葉に一度目を瞬きました。 「次代を担う未来ある子は、これから選び出すの。手伝って頂戴」 「……はい」 破名とトロイの手を、それぞれ右と左で握ったロンの囁きに、トロイははにかんで答え、破名も微かに微笑を浮かべます。 「あなた達は本当に良い子よ。さぁ、研究を続けましょう? 次代の子を礎に、わたし達が繁栄すべき楽園を創りだす為にも」 燦然と輝く機晶石に囲われ、可視化された古代文字の金と銀の色で満たされる空間の中、ロンはとても満足げでした。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
はじめましての方もお久しぶりな方も、こんにちは。保坂紫子と申します。 ▼サンプルアクション ・セキュリティを突破して手記ロン・リセンへの説得を試みる。 ・共鳴竜コーズの苦悩を取り除きたい。 ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2014年06月17日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2014年06月18日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2014年06月22日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2014年07月02日 |
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