【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回) リアクション公開中! |
シナリオガイドエリヤ救出のため北カナンへ! しかしそこに隠された真意とは――
シナリオ名:【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回) / 担当マスター:
寺岡 志乃
* * * そっとしのびよる人の気配を感じて、バァルは目を開きました。 いつの間に眠ってしまったのか――窓に寄せた椅子から立ち上がり、侵入者の方に向き直ります。 「しっ…」 口元に指を立て、月の光の中に出てきたのは七刀 切(しちとう・きり)でした。 「切、来てくれたか」 「来るって言ったでしょ。ワイは、した約束はきっちり守ります」 おどけた口調で言いながらも、切の表情はいまひとつ冴えません。 「どうした? 軍の方で何かあったのか?」 まさかネルガルかアバドンが動いたのか? やはり反乱が芝居であると気づかれていたのか? 詰め寄るバァルに切は首を振ってそれを否定すると、とりあえず、隣の部屋から回収してきた彼のバスタードソードを差し出しました。 鎧等装束は救出部隊に持って行かれてありませんでした。おそらく武器は愛用の物がいいとして、剣だけは置いて行かれたのでしょう。 「手間をとらせてすまない。逃亡も計画のうちとはいえ、体裁は必要だからな」 扉を開け、部屋を出た彼は階下に向かいます。見張りについていた兵士はことごとく、椅子に掛けたまま眠り込んでいました。 彼らを見て、バァルは訝しみました。ざっと館内を見渡します。 昼間はあれほどあった人の気配が薄い……ほとんどない。まだ夜も更けたわけではないのに? 「これは一体どういうことだ?」 切は、どうやったらうまく伝えられるか、ずっと考えていました。しかしこのことを伝えるのに、いいタイミングも言葉もあるはずがありません。 正直に言うしかない――彼は重い口を開きました。 「――セテカさんが、みんなと一緒にエリヤくんを救出に北カナンへ向かった、って…」 「なんだと…?」 バァルは身を固くし、切を見返しました。 「セテカさんは……その……裏切ったようで…」 「ばかな!? あいつがわたしを裏切るはずが――」 『おまえの最大の欠点は、ひとを信用しすぎるところだ』 バァルの脳裏に、かつてセテカとしたやりとりがひらめきました。 『一度懐へ入れてしまえば無条件で、盲目的に相手を信頼してしまう』 『それは欠点なのか?』 『おまえの立場ではな』 なぜ気づけなかったのか……あいつのたくらみに。 そのためにあいつは最初から、反乱を装うなどという芝居を持ちかけてきた…? 親友の裏切りを悟った瞬間、胸に生じた激しい痛みにバァルはよろめき、壁に手をつきました。 今このとき、死んでいておかしくないほどの苦しみ…。 (――――いいや、死ぬのはわたしでなく、セテカの方だ) バァルは、ぐっと剣を握る手を強めました。 「バァルさん……でもほら、考えてみたらさ、エリヤくんが救出された方が――」 「あいつの目的は救出ではない。エリヤを殺すために向かったんだ」 「えーーーっ!?」 だからわたしはあいつがいないときを狙ってアバドンに託したのだ! 「切! おまえ、飛空艇を持っていたな!」 「あ、うん…」 「借りるぞ!」 バァルはもはやとりつくろうこともなく靴音を響かせホールを走り抜け、扉を大きく開け放ちました。 何事かと、ばたばた起き出してくる館内の足音も無視して、通りに走り出ます。 (あいつがもしエリヤに指一本でも触れたなら…………わたしはあいつを斬る!!) 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。 ▼サンプルアクション ・宮殿に潜入する ・宮殿の外で待機する ・アバドンの隊と戦う ・ネルガルの隊と戦う ・バァルと行く ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2011年02月28日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年03月01日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年03月05日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年03月24日 |
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