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【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】

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【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】
【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】 【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】 【ざんすか内乱】ざんすかの森、つぁんだの町【第1話/全3話】

リアクション

■□■3■□■「……これが戦争……くだらねぇ愚かな行いだ」

 全員、スク水姿の、
 羽高 魅世瑠(はだか・みせる)
 パートナーの剣の花嫁フローレンス・モントゴメリー(ふろーれんす・もんとごめりー)
 同じくパートナーのシャンバラ人ラズ・ヴィシャ(らず・う゛ぃしゃ)
 同じくパートナーの蝙蝠の獣人アルダト・リリエンタール(あるだと・りりえんたーる)は、
 チョコを求めて走り回るじゃたを発見した。
 「ジャタの森にはいつもお世話になってるからじゃた様を守るじゃた!
  これ以上の理由はいらねぇじゃた!
  別にざんすかに義理はないから、どっちサイドでも第三勢力でも全部まとめてぶっ倒すじゃた!
  戦場でロリ暴れん坊とスク水集団が走り回ってれば幻覚だと思って
  近寄ってくる奴は多分いねぇじゃた!」
 「じゃた様に危害を加える奴はゆるさねぇじゃた!
  さあ、お前らも「じゃたファング」の餌食になるじゃた!」
 魅世瑠とフローレンスが煽り立てる。
 「じゃた様が心配だよー。
  こないだのちりょうでは治せなかったから、ラズよりちりょうのうまい人はかんげいするよー」
 ラズは、【じゃた様の呪医】らしく、じゃたの心配をしていた。
 「じゃた様に近寄ってくる地祇マニアなんてただのロリ、このわたくしのロリ顔で悩殺してやりますわ」
 アルダトは、大きな胸を強調するポーズをとりつつ、
 走り回るじゃたに付き従う。
 
 「やるじゃん羽高、ただの露出バカだと思ったけど見直したじゃん!
  カテリーナ・スフォルツァの故事を知ってるとは只者じゃないじゃん!
  こんな戦術、クトゥーゾフもびっくりじゃん!
  確かに意表をつかれるじゃん!
  よおし一肌脱ごうじゃん!」  
 英霊アンドレ・マッセナ(あんどれ・まっせな)も、スク水姿で同行する。
 シャンバラ人ジュスティーヌ・デスリンク(じゅすてぃーぬ・ですりんく)は、
 赤面しつつも、スク水部隊に組み込まれていた。
 「中世イタリア・フォルリの女領主で、反乱軍に子どもを人質に取られた際、
  スカートを捲りあげて『子どもなどここからいくらでも出てくる』と啖呵を切り、
  反乱軍を唖然とさせてその隙に鎮圧された。
  なお、結局はチェーザレ・ボルジアに攻め滅ぼされた……って、
  おかしいですわ、カテリーナさんとか!」
 説明口調で歴史の解説をしつつ、ジュスティーヌがツッコミを入れる。
 「さすがにプールでもないのに水着というのはどうかと思いますわ。
  かなり恥ずかしいのですけれど」
 人目を気にして、ジュスティーヌが身体を縮こまらせる。
 アンドレとジュスティーヌのパートナーのジュリエット・デスリンク(じゅりえっと・ですりんく)も、
 スク水姿で仁王立ちしていた。
 「ジュスティーヌ、もっと堂々となさい。
  貴族たるもの、大衆の視線を受けるのもまた責務ですわよ。
  半万年の遺恨だかなんだか知りませんけれど、
 それで地祇同士の抗争を起こして学生を巻き込むなんて馬鹿馬鹿しいですわ。
 ですから戦争の馬鹿らしさを身をもって示してみせますわ。
 マッセナ大元帥のお墨付きですもの、きっとうまく行きますわよ」
 「がるるるるるじゃた」
 かくして、狂乱状態のじゃたの周りを、7人のスク水娘が走り回るという、
 非現実的な光景が展開されていた。
 こうして、じゃた様近衛隊がじゃたの周りで大騒ぎしていると、
 カルナス・レインフォード(かるなす・れいんふぉーど)が、つぁんだの前に現れる。
 「やはり時代はスク水!
  つぁんだはまったく正しい!
  ミルザム・ツァンダが女王候補になった今、シャンバラ6大都市の地祇の長は
  君だ、君こそが長にふさわしい!
  人間達もその意見に賛同してくれるはずだ。
  君が演説すればきっと、人間達も君を支持するだろう。そうすれば、ざんすかもイチコロだ」
 カルナスは、スク水7人衆を見て、楽園化計画をさらに進める決意を固めているのであった。
 「そうだよな!
  僕のカリスマの前に、すべての地祇はひれ伏すべきなんだ!」
 つぁんだはすでにボロボロであったが、
 カルナスにおだてられて胸を張る。
 「そしてこれを着れば君の存在感は更に増すだろう。
  これを着さえすれば、人間の心を掴むのもたわいも無いこと。さぁ是非!」
 カルナスは、白いスクール水着を取り出した。
 「つぁんだのカリスマを轟かせるには、
  この『特別なスク水』こそふさわしい!
 これを来て、人々に、その美しい姿を見せつけてやるんだ!」
 「ジャタ・ダルメは世界最強ォォォォォォ!」
 アンドレの叫びが聞こえてきた。
 「……たしかに目立ってるよなあいつら」
 つぁんだが、じゃた様近衛隊を横目に、白いスク水を前に迷いを見せる。
 そこに、鳥羽 寛太(とば・かんた)が現れ、
 アシッドミストをつぁんだに放つ。
 「こんなに濡れて……着替えないと風邪を引きますよ」
 「何するんだ君は!?」
 弱酸性アシッドミストにより、つぁんだの服は全身ボロボロになってしまった。
 「さあ、この『特別なスク水』を!」
 「さあさあ……ハアハア」
 カルナスと寛太が迫る。
 「し、しかたないな……あ、こっち来るなよ!」
 つぁんだが、荒野の茂みの影で、白いスク水に着替え始める。
 「そんなこと言われたら、のぞき部的にはのぞかないわけにいかないじゃないですかがふう!?」
 寛太は、つぁんだの右ストレートを食らい、鼻血を噴いた。
 「よし、じゃあ、ポスター作りのための写真撮影を開始だ!」
 「ロリのスク水もなかなか良いものですね。
  は! これはもしや、全てを解決するヒントでは……?
  ロリは世界を救う!
  地祇とか……自分がロリになっても仕方ないから興味無かったですけど……。
  地祇を普及させて世の中の女の子が全員ロリになれば……世界は平和になるのかもしれない!」
 カルナスがカメラを取り出し、寛太がなぜかつぁんだを威圧する。
 「なんなんだ君たちは……。
  君はショタにはなれるかもしれないがロリにはなれないだろ!
  しかし、地祇の長になるためだ、しかたない」
 白いスク水を着たつぁんだが、なんだかんだ言いつつ、のせられてポーズを取り始める。
 そこに、寛太のパートナーの守護天使伊万里 真由美(いまり・まゆみ)と、
 同じく寛太のパートナーの機晶姫カーラ・シルバ(かーら・しるば)が現れた。
 「つぁんだ……調子に乗ってんじゃないわよ。
  時代が味方? 女王とか興味ないのよ。
  あんたみたいな勘違いの図に乗った奴が大嫌いなのよね。
  そりゃあざんすかも『ぶっ飛ばしてぶっ殺す』って言うわよね」
 真由美は冷徹な視線をつぁんだに向けつつ、カーラにパワーブレスをかける。
 「ゆけ! 大量破壊兵器カーラ・シルバ!」
 「私は「悪のラリアット機晶姫」カーラです」
 カーラが、つぁんだにラリアットする。
 「ぐはあ!? な、何をするんだ、ぎにゃあああああああああああ!?」
 倒れたつぁんだを、真由美が足蹴にする。
 「ほら『調子に乗ってごめんなさい』は?」
 「何するんだよ、やめっ……あううううううう」
 「なんかこれ楽しいわね。ふふふふふ」
 真由美がつぁんだをぐりぐり足蹴にする。
 その間に、カーラは、つぁんだ軍の地祇たちをラリアットしていた。
 「大体……地祇とか……LC追加させて儲けようという運営の黒い罠だと気付いてないのです?
  ふ……『【くろい部最高顧問】蒼空運営』の思う壺ですね。
  馬鹿な地球人達。
  けっして、私が機晶姫として凡庸な性能であるために、
  地祇の能力がうらやましいとかではありません。機械はウソつきません。ホントです」
 「うわあああん、やめろおおおお、どうしてこんなことするんだあああ」
 「楽しいから。理由なんていらないでしょう?」
 真由美は、その間も、つぁんだを足蹴にしていぢめるのであった。
 「なんだかすごくマニアックな構図だな……!」
 (あれだけのことを言ってたんだし、つぁんだがそんなに弱いはずないもんな。演技だよな)
 無類の女好きだが、女性を悲しませるような事だけはしない信念を持っているカルナスであったが、
 つぁんだが本気でやられてるはずがないと考え、カメラのシャッターを切りまくっていた。
 「つぁんだたん、あんなに屈辱を味わってる表情を……ハアハア」
 寛太は、その様子を、そばでのぞき続けるのであった。

 一方そのころざんすか。
 毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)が、ざんすかに提案する。
 「ふむ、つぁんだに対抗するには、イメージアップが必要であるな。
  写真集を出してみることを提案するのだよ」
 大佐は、大量の服と、カメラを手にしていた。
 「何言ってるざんすか?
  ミーは今のままでもつぁんだに容姿の上で負けてないざんす!」
 「そうは言っても、つぁんだ軍の人数がかなりのものであることは、
  ファッションの問題もあるかもしれないのであるよ」
 適当なことを言いつつ、大佐はざんすかを着替えさせようと説得を続ける。
 大佐のパートナーの魔道書水神 クタアト(すいじん・くたあと)が、
 そこにいきなり割り込んだ。
 「はじめまして! 
  いきなりだけど僕のにくどれい……
  じゃなかった、ペットになって下さい!」
 「何言ってやがるざんす!?」
 「うわああああああ」
 「ああー」
 クタアトと大佐は、ざんすかのラリアットでぶっ飛ばされた。

 ぶっ飛ばされたクタアトは、じゃたの前に落下する。
 寛太も、じゃた達に気づく。
 「やだなあ、じゃたたん、スク水部隊をはべらせているのに、
  自分だけスク水着てないじゃないですか。
  そんなのおかしいですよ。
  すぐ着ましょう、今着ましょう」
 「がるるるるじゃた」
 「ヒャッハー! ロリショタ狩りだー!
  思う存分調きょ……もとい教育してあげるよ!
  よい子には見せられないよ!」
 寛太がじゃたにスク水を持って迫り、クタアトもすぐに復活してじゃたに襲いかかる。
 「じゃた様に近づこうなど1万年早いですわ。
  わたくしの身体を見て興奮すればよいですわ」
 アルダトが迫る。
 「あなたはちょっと成長しすぎです。
  今、世界はロリによって支配されるべきなんですよ!」
 「顔だけロリでも、きょぬーは邪道かもね。
  真のロリはつるぺたひんぬースキーだよ。
  まあ、じゃたを教育した後でなら相手してあげてもいいけど?」
 寛太とクタアトにスルーされて、アルダトがブチ切れる。
 「……わかりましたわ、ご存分にじゃた様の禁断症状を抑えるための
  チューインガムになってくださいませ」
 「がるるるるるじゃた」
 「ぎゃあああああ!?」
 「え、だめ、そこは……ああああああああ!?」
 寛太とクタアトは、じゃたに全身噛まれまくるのであった。
 
 そんな中、ジャタ族の一部族、オマタゲ・ソルデス一党が、
 でっかいステージを担いで走ってくる。
 「じゃた様!
  俺が使ってたステージですっ!
  これの上で踊れば瘴気発生間違いなしです!」
 「オマタゲたちは歓迎するじゃた……って、あれは破壊されてなくなったはずなのになぜあるじゃた!?」
 「オマタゲ、てめーらもスク水着て出てくる必要はないじゃた!」
 「瘴気、じゃた様の本来のごはんだから、ちりょうにやくだつかもー」
 魅世瑠とフローレンスとラズが、スク水姿のジャタ族たちに驚く。
 オマタゲ・ソルデスは、かつて、ステージの上で踊ることで瘴気を発生させ、
 30メートルに巨大化して暴れていたのである。

 「気になった人は『ざんすかの森、じゃたの森』を読むといいよ」
 桐生 円(きりゅう・まどか)が言う。
 「桐生組、チギドルプロジェクトを発動するよ。
  説明しよう。
  チギドルプロジェクトとは、
  地祇であるじゃたとざんすかをアイドル化してイメージUPして平和に解決することを目指すという、
  建て前の元に生まれ、桐生組の名をとどろかすために生まれたアイドル育成プロジェクトである」
 「あら、それは金になりそ……もとい、じゃた様のためになりそうですわ。
  わたくしたちじゃた様近衛隊も、バックダンサーとして参加いたしましょう」
 「お姉様、この格好で踊るんですの!?」
 「ここで大騒ぎしてればじゃた様の安全は保たれたようなもんじゃん!」
 ジュリエットの提案に、ジュスティーヌが悲鳴を上げ、アンドレがノリノリで言う。 

 「さあ、着替えましょうねぇー、
  おねぇさんは怖くないわよぉ〜」
 円のパートナーの吸血鬼オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)が、
 無理やり連れてきたざんすかとじゃたを着替えさせはじめる。
 「前、似たようなことをしたら敵に勝てたから、しかたないざんす!」
 「がるるるるじゃた」
 
 円が、プロモーションムービーを流し始める。
 「曲と振り付けを覚えさせてる際の映像だよ」
 しかし、当然合成であり、ざんすかとじゃたの顔を別の人の身体にくっつけただけの映像であった。
 歌い踊っているのに、表情が固定しており不気味である。
 「私達桐生プロに任せてくれれば、万事解決なのですっ」
 桐生 ひな(きりゅう・ひな)が言う。
 映像はすべて【桐生組】による制作であった。
 「いえー、『GEKOKUJO』登場だよー」
 円のパートナーの英霊ミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)が、
 ショルダーキーボードを手にステージに上がる。
 ひなに歌と踊りを適当に覚えさせられたざんすかとじゃたもステージに上がる。
 とはいえ、じゃたは狂乱状態だったので、クタアトをがぶがぶ噛んでおとなしくしているだけであったが。
 オリヴィアも、エレキギター担当であった。
 「うんたん、うんたん。ぽてんぽてん」
 円が、カスタネットとタンバリンを担当する。
 ひなが、ボーカル担当として、ゴスロリ衣装で歌い始める。
 「数多の戦いをー
  乗り越えた
  その先に在る
  輝く大地の果てー
  掴み取る日までー♪」
 その様子を、ひなのパートナーのアリスナリュキ・オジョカン(なりゅき・おじょかん)がビデオ撮影する。
 「みんなのかわいい所から面白おかしい部分までくまなく撮っちゃうのじゃっ」
 バックには、
 桐生組制作のCGによる映像が流れる。
 一緒に海にいった思い出とか、
 一緒にお風呂に入った思い出とか、
 一緒に滝にうたれた思い出とか、
 一緒にチャカもってカチコミ行った思い出が流れた。
 当然、すべて捏造である。

 エレキギター担当のオリヴィアが、すごい勢いで指を動かして演奏し、
 自分のパート終了後も弾きまくって悦に浸る。
 「こんな大人になるんじゃないわよぉー!」
 「どかーんばこーん」
 ミネルバは、ショルダーキーボードをステージに叩きつけて破壊するパフォーマンスを始めた。
 「ちょっと待つです、
  あなたたちは主役じゃないのですよー!
  私の歌を聞けーですっ!」
 ひなが対抗する。
 「って、全然ミーたちが目だってないざんす!」
 「がじがじがじじゃた」

 「なんだかよくわからないけど、まどかちゃんたちが楽しそうだから、
  私はチギクラするよ!」
 牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)が、つぁんだに迫る。
 「つぁんだちゃん、アイドルなど、歌って踊れるだけ!
  私のチギクラは歌って踊って接待する!
  そう、接待……政治的要素を含んでいるのよ!!」
 「何言ってるんだ、君は、僕が接待など……、
  がふうううううううううううううううううううう!?」
 アルコリアの試作型星槍が、つぁんだの頭にヒットした。
 「おねぇちゃん大好きです、おねぇちゃんのために頑張ります……はい、言ってみて?」
 「ふざけんな、そんなこと僕がぎゃああああああああ」
 かわいく小首をかしげて言うアルコリアに逆らうつぁんだの頭に、
 またしても試作型星槍がヒットした。
 ぐったりしているつぁんだに、アルコリアのパートナーの機晶姫シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)が、
 一角獣の角を使用して復活させ、SPリチャージをかける。
 「ああ、早く帰りたい……」
 シーマがつぶやく。
 「おねぇちゃん大好きです、おねぇちゃんのために頑張ります……はい今度は言えるかなあ?」
 「やらないっていってんだろぎゃあああああ」
 
 その後、アルコリアによる「お願い」とシーマによる復活が10回ほど繰り返された。

 「うーん、そろそろ『お願い』するの飽きてきちゃったなあ?」
 「おねぇちゃん大好きです、おねぇちゃんのために頑張ります……」
 がくがく震えながらつぁんだが言う。

 かくして、つぁんだとつぁんだ軍地祇による、「チギームクラブ」が作られたのであった。

 「さあさあ、こうなったら地祇のご当地自慢対決ですわよ!」
 狭山 珠樹(さやま・たまき)が言う。
 「歌と踊りの対決は平和的でいいですわね!
  暴力なんて地味な戦いじゃ地祇のキャラが廃りますわよ!
  「チギチギチギ当地自慢大会」開催ですわ!
  シャンバラの仲間同士が殴りあっている場合じゃありませんわ!
  エリュシオン地祇がシャンバラの土地を狙ってます!
  5000年も張り合ってる間にご当地ネタをゆるキャラに持って行かれてるのにも気づいて下さい!
  自分の個性を自覚して、地祇力を磨くのですわ!
  優秀なネタや名物はきっとシャンバラ中で流行りますわ!」
 珠樹が宣言する。
 「司会は我、男だけどモヒカンシスターの狭山珠樹。
  審判は、ローゼンリッターのクライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)様ですわ」
 「お互いの出身の蒼学生とイルミン生は公平さを欠くからアウト!
  昔一緒にリンチしたと言う、ヒラニプラとキマク出身の2校も真に公平とはいえない。
  その点2人の口から出ていないタシガン出身の、
  薔薇学生徒である僕なら中立なジャッジが出来るはず!
  名前さえ出ていないタシガンだから、きっとお互いの味方になってないからね!
  そうだよ、名前さえ出ていないんだから……。
  え、別にタシガン住人だからってそのことを気にしているわけじゃないですよ!
  たしがんに伝えてこの場に一緒に乱入しようとしたけど
  そもそもどこにいるのかさえわからなくて1人でここに来たわけでもないですよ?」
 クライスが、なぜか必死な様子で言う。

 さらに、そこにエリザベートとアーデルハイトを連れた、
 鈴原 沙希(すずはら・さき)
 パートナーの機晶姫トリア・アートルム(とりあ・あーとるむ)が現れる。
 「いくら後から出てきた魔道書に、
  あっという間に契約数追い抜かれた可哀想な地祇たちとはいえ、争いはよくありません。
  そんな凶暴な姿を知られれば地祇たちの悪い噂が流れてますます以下略な事に。
  そんな悲しみばかりが続く世界にしてはいけません。
  日本には古来より歌の力で争いを止める物語が伝わっています。
  争いを止めるには歌なんです。
  そして私たちには小さな体に納まりきらないカリスマを持つ
  エリザベートさんに、かわいくおめかしして歌っていただくことで、
  この争いを止めることができると思うんです」
 「沙希様、なんだかまた少しずれていらっしゃる気がいたしますけれど、
  ここは私が全力でフォローします」
  沙希の言葉に、トリアが言う。
 「なんだか知りませんけどぉ、これで歌を歌えばいいんですねぇ?
  メニエスのせいでお洋服汚れちゃいましたからぁ、
  ちょうどよかったですぅ」
 「ふむ、どうしてもというのならばしかたないのう」
 エリザベートとアーデルハイトも、ざんすかやじゃたとお揃いのゴスロリ衣装に着替えていた。
 「トリアさん、私、アーデルハイトさんは誘ってないです」
 「しーっ、沙希様、ご自分だけ仲間はずれにされたとあっては、
  アーデルハイト様がご機嫌を損ねられてしまいます」
 きょとんとしている沙希に、トリアが耳打ちする。
 
 「あのつるぺったんを堂々と吹き飛ばせるざんすかと、
  ちくわの友じゃたの連合なら全力で協力するよ!
  って、アーデルなんとか復活してる?
  ぺったんこのくせに!
  ぺったんこのくせに!
  許せん!」
 望月 あかり(もちづき・あかり)が、エリザベートの写真を取りまくりつつ言う。
 「つぁんだだか五反田だか知らんが、
  わしの友人を貶めようたぁええ度胸じゃ。
  わしの目が黒いうちにこの学校で暴れたけりゃぁ、
  この学校の最長老なババアをぶっとばしてから来んさい。
  本当にぶっ飛ばしてくれたら……好きかも。
  そしたらあかり手製のエリザベート様人形、抱き枕用を一個分けてあげるよ!
  あ、口調が戻っちゃった」
 あかりがつぁんだを誘惑する。
 「いらないですお客様」
 つぁんだが、アルコリアに怯えつつ、接客マナーを守って言う。
 「では、このあかり二等兵、エリザベート校長陛下のため、挺身突撃してまいります。
  この背中に背負ったエリザベートさま寝顔アルバムを失うのは身の張り裂けん思いでありますが、
  これさえあれば全ての地祇は自ずとエリザベート校長陛下に傅かざるを得ないのであります。
  あかり、逝きます!
  エリザベート校長陛下に栄光あれ!
  はいる、エリザベート」

 「おおっと、エリザベート様大好きなことで知られるあかりさんが、
  つぁんださんの「チギームクラブ」に突撃されましたわ!
  どう見ますか、解説のクライスさん?」
 「僕は審判なんだけど、いつのまにか解説に?
  そうですね、珠樹さん、
  ここまでいくと、見苦しさも極まって、一周回って美しいのではないでしょうか!?
  僕は高評価です!」

 「エリザベートさんの写真集ですって!?」
 「ダメです、沙希様」
 トリアが、沙希を止める。

 「さっきから私を愚弄しおって!
  誰がぺったんこじゃ!
  許さんぞーっ!!」
 「いつのまにそんな写真とってたんですかぁ!?
  焼却処分ですぅ!!」
 「ぎゃあああああああああああああああああ!?
  ……エリザベート校長、大スキですっ!!」
 あかりは、アーデルハイトとエリザベートの本気の魔法により、ぶっ飛ばされた。

 「ああっ、エリザベートさんの写真が!」
 「沙希様、あれはわるい子の遊びだからダメです」
 トリアは、沙希を引き止めるのであった。

 「わぁー。すごいのー」
 アルコリアのパートナーのハーフフェアリー樂紗坂 眞綾(らくしゃさか・まあや)が言う。
 「まぁや、あいどるもほすともみたことないからかんどーなの。
  じゃったんもつぁんつぁんもざんすーもがんばれー」
 眞綾が、銃をステージに向かって、ペンライトのように連射する。
 「がるるるるじゃた」
 「ぎゃあああああああああああああああやめろおおおおおおおお」
 「ふざけんなざんすー!!」
 「よろこんでくれてるのー。
  まぁやねいろんなところにいきたいからちぎさんとなかよくするのー。
  ちぎさんをふむとそこへいったことになるってアルママがおしえてくれたんだよ、すごいのー
  ふんでもだいじょうぶかな?
  ってきいたらまぁやは10kgしかないからだいじょうぶって!」
 トライポッド・ウォーカーで、駿馬に乗っているアルコリアとともに、
 眞綾は、ステージ上の地祇たちを踏みつける。
 「がるるるるじゃた」
 「やめるんだわあああああ」
 「なにしやがるざんすー!?」
 
 「むむっ、誰かをぺったんこにすることで、
  私より上の人はいないのですっ!」
 ひなが対抗心を燃やす。
 「振り付けで巨大化なのですっ!」
 「なにっ!? そういえば、このステージには巨大化属性が!!
  ひなに負けてたまるか!」
 ひなと円が争い、巨大化する。
 「ちょ、何やってるですぅ!?」
 「いかん、エリザベート、避難するのじゃ!」
 「恐怖の潰し屋ひな、ふたたびなのですっ」
 「ヘルジャッジメント円、みたびっ!!」
 「ふふふ、スカートの中もばっちり撮影なのじゃー」
 巨大化して30メートルになったひなと円のスカートの中を、ナリュキが撮影する。
 「ふむ、なかなかであるな」
 ステージを撮影していた大佐が、カメラのシャッターを切る。

 「いかがですか、クライスさんっ?」
 「美しくありません!
  今回からの新規参加者に不親切な展開です!!」
 珠樹とクライスが実況する。

 アルコリアのパートナーの魔道書ナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)が、
 「チギマス」の破壊工作を試みる。
 「マイロード・アルコリア様の為にっ!
  名づけてドーピング・カカオ・ソース、略してDCS!
  じゃた様恨みは御座いませんが、確実な勝利の為暴走していただきますわ。
  DCSは食べることでカカオ99%チョコの数倍、
  血管から注入(たべ)る事で更に数倍の効果を及ぼしますのっ!
  注射器でぶちゅー、ですわっ!」
 「じゃたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
 「ああっ、暴走したじゃたは、物理法則を無視するのです!
  こうなったら、分銅するしかないのです!」
 「ちょ、なにするんだやめろおおおお」
 ひなが、円を巻き込んで巨大分銅ダイブする。
 「えへへ、聴いてくれてどうもありがとなのですーー……むぎゅっ」
 「こ、今回も巨乳になれなかっ……ぎゅう」
 「お星様は予想してましたが、これは想定外でしたわ……ぎにゃ」
 「こんな状態でぺったんこは恥ずかしいですわ……ぐにゅ」
 「あたしはつぶされるくらいならつぶすほうが好きじゃん……ぐにょ」
 「やばいじゃた、じゃた様をお守りするじゃた……じゃったん」
 「じゃた様を分銅されるわけにはいかないじゃた……じゃたーん」
 「ラズはおさないけど「ちぎ」じゃないよー……にぎゃ」
 「まだわたくしの悩殺が……ぎゅにゅ」
 「あでぅーなのよぉー……にゅぎょ」
 「ぶっ壊しちゃうんだからー……みゃぎゃ」
 「え、なんで、私、華麗に撤収する予定、みょぎょ」
 「お待ちになって、マイロード……むにゅ」
 「あかり負けないっ、ど、どうせなら校長先生と……ぎゃは」
 「おお、ダイブによってスカートの中が近く……ぬぎゃ」
 ひなと円だけでなく、
 ジュリエット、ジュスティーヌ、アンドレ、
 魅世瑠、フローレンス、ラズ、アルダト、
 オリヴィア、ミネルバ、アルコリア、ナコト、あかり、大佐もぺったんこになった。

 「にゅふふ、潰れた後の裏面も撮ってやりゅー」
 ナリュキは、分銅の光景を一部始終撮影し、
 潰れた者を空気入れで膨らまし始めた。

 「どうですか、解説のクライスさん?」
 「だから、僕は審判なんですけど……ここまでやったらいっそ美しいかもしれませんっ!!」
 珠樹とクライスが実況する。

 そこで、ミネルバのステージに仕掛けた火薬が爆発した。
 【アホの子さん】である、ミネルバは、
 「女の子らしく目分量だよー」
 と言って、ステージいっぱいに火薬を仕掛けていたのであった。

 「え、妾まで!? ぎゃにゃあああああ」
 ステージがふたたび破壊される。
 ナリュキが吹っ飛び、風船状態になった者たちがふわふわ浮かぶ。


 「リリス、わかるか。
  ……これが戦争……。
  ……くだらねぇ愚かな行いだ」
 鬼崎 洋兵(きざき・ようへい)が、
 パートナーのハーフフェアリー鬼崎 リリス(きざき・りりす)に、
 離れた崖の上から話しかける。
 「お前は、こんなくだらねぇことに加担するような大人になっちゃ、だめだぞ」
 「うん、おじさん、あたし、戦争なんかしないの」
 リリスは眠そうな顔で、洋兵の腕を抱き、
 色っぽく言う。
 「……ならいいんだ」
 娘ラブの洋兵は、リリスの頭をなでる。
 洋兵は、娘に戦争の愚かさを伝えるためにやってきたのだが、
 リリスは、正直、戦争などどうでもよく、洋兵と一緒にいれば満足なのであった。
 
 「しかし、こんな戦い、それなりに修羅場抜けてきてるとは思っていたが……。
  見たことねえな」
 「戦争はおそろしい、なの」