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【ざんすか内乱】だいこんらんのだいこうや【第2話/全3話】

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【ざんすか内乱】だいこんらんのだいこうや【第2話/全3話】
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■□■2■□■「じゃた様のおっしゃる通りじゃた! ケンカは良くねぇじゃた!」

 しゃんばらだいこうやの前に、
 駿馬にまたがったクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)が颯爽と現れる。
 「へい、彼女! 俺と縁側でお茶しない!?」
 クロセルはバラの花束を差し出しつつ言う。
 「縁側?
 シャンバラ大荒野に縁側などないぞ」
 「そんなもの、言葉のあやですよ」
 クロセルは笑う。
 「しかし、庭先で暴れられてご立腹なのは理解しますが、
  いちいち地祇は乱暴でいけませんねぇ。
  俺のようにスマート&クールに攻めないと!
  正面から衝突するだけが能ではないのです。
  しゃんばらだいこうやさんはこのバラのように麗しい方。
  それに、シャーマンといえば、知恵で人々を導く存在ではありませんか。
  このバラの香りで落ち着かれてください」
 「それはナンパのつもりか?」 
 「ふっ、お茶の間のヒーローがあまりにもカッコイイからって惚れてはいけませんよ」
 クロセルはかっこつける。
 「まあ、貢物を受け取らなくもないぞ。
  我は寛大なのだ」
 しゃんばらだいこうやは悪い気はしないらしい。
 戦意がないことを示すためちぎのたくらみで10歳くらいになった
 七尾 蒼也(ななお・そうや)は、しゃんばらだいこうやに言う。
 「争いを止めようとしたんだがうまくいかずにすまなかった。
  今は地祇同士が争ってる場合じゃない。
  戦いは土地を荒らすばかりだ。みんなで協力して街を守ろうじゃないか」
 「うむ、土地を荒らすのは我の本意ではない」
 しゃんばらだいこうやはうなずく。
 「よし、農地開拓をしよう!
  荒野にも潤いが必要だ! 開拓すればオイルもでるかもしれないぞ」
 「オマエ、スキ」
 蒼也はひらにぃの興味を引く。
 「何を植えたらいいかな?
  だいこんらんだけに大根?
  きまくはどんな作物を作ってるんだ?」
 「オラは、パラミタトウモロコシが好きだよー」
 「フッ、パラミタトウモロコシはチャンの好物だぜ」
 アーデルハイト連続殺人事件の犯人だった元暗殺者の少女、
 朝臣そるじゃ子はハードボイルドに言う。
 蒼也のパートナーの地祇イリヤ・アブクマ(いりや・あぶくま)は言う。
 「水を引くならまかせてよ、こう見えても川の地祇だよ♪
 でも荒野だといまいち力が……森の地祇の力を借りられればパワーアップするんだけどなあ」
 「そういうもんだっただか?」
 「フィーリングだよ、フィーリング!
  ところで、きまくはさくらんぼやだんご作ってるってほんと?」
 「オラ、たまに記憶なくなるんだけど、
  その後にまわりに落ちてることがあるだよ。
  誰か、くれるやさしい人がいるんだべなあ」
 「それって……刃物持って狂戦士になったきまくが干し首狩って作ってるか、
  きまくをおそれたパラ実生が貢物として置いてってるんじゃないだろうか……。
  いや、深く考えないことにしよう」
 きまくとイリヤの会話に、蒼也は言う。
 「ひらにぃ、鋤!」
 「オマエ、スキ」
 イリヤは鋤を見せて反応を楽しんでいるだけなのだが、ひらにぃは好意全開になる。
 そこに、レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)
 パートナーの剣の花嫁カムイ・マギ(かむい・まぎ)がやってくる。
 「農地開拓って面白そうだね。ボクも混ぜてよ。
 ボク、花の種や野菜の苗を持ってきたんだ。 
 これならきまくと一緒に植えられるし、
 美味しい野菜が育ったらひらにぃにあげられるよ。
 ひらにぃはどんな野菜が好き?」
 レキはにっこり笑ってひらにぃに言う。
 「オマエ、スキ」
 「え、ボク? ボクは野菜じゃないよー。
  ところで、荒野が荒野じゃなくなったら、
  『しゃんばらだいこうや』が
  『しゃんばらそうげん』とか
  『しゃんばらはなばたけ』とか呼ばれるようになるのかな?」
 「この大荒野に花や野菜を植えるというのか。
  それも悪くないかもしれないな」
 しゃんばらだいこうやは言う。
 「お茶とお菓子を用意しました。
  みなさん、農作業の後に一緒に食べましょう」
 カムイは穏やかな笑みを浮かべて言う。
 「ちなみにお菓子はチョコレートだけど、
  じゃたはもう克服したから食べても大丈夫だよね?」
 レキは言う。
 「じゃたー! また遊ぼうぜー!」
 さらに、佐伯 梓(さえき・あずさ)が走ってきた。
 「しゃんばらだいこうやは悪いやつじゃないじゃたって言ってるなー。
  じゃたのいう事信じるよー。
 チョコ好きの争いを好まない優しい子でなんだか親近感を覚えたから。
 甘いもの好きに悪い子なんていないんだ。
 【大の甘党党首】として、俺、思ったんだー」
 「おお、梓、このあいだチョコくれたじゃた。
  いいやつじゃた。
  あれ、チョコくれたけど、チョコ食べられなかったじゃた?」
 梓は悪気はなかったのだが、チョコをじゃたの目の前にぶら下げて暴走兵器と化させたのであった。
 「みんなで遊ぼうよー。
  前回からちっとも空気を読めてない気がするけど、
  あえて、くうきを、よまない、AKYも必要だと思うんだー。
  しゃんばらだいこうやは、ざんすかやつぁんだが戦争してるのに、
  仲間に入れてもらえなくて怒ってるんだよなー」
 「いや、そうではなく、我の領域で……」
 「よーし、じゃあ、しゃんばらだいこうやも一緒に遊ぼうぜー。
  平和的解決大賛成ー。
  そうだスポーツだよー。
  スポーツは神聖なものだよー」
 「おい、AKYすぎるだろう」
 しゃんばらだいこうやがツッコミを入れるが、梓は続ける。
 「よーし、鬼ごっこしよう。
  最初は俺が鬼でいいよー。
  いーち、にー、さーん」
 梓が、鬼になって目を閉じて数を数えている間に、ざんすかとつぁんだが近づいてくる。
 「しゃんばらだいこうやが油断してやがるざんす!」
 「今のうちに倒すチャンスだ!」
 「しー、ごー、ろーく」
 「ああっ、あぶない!」
 レキは、しゃんばらだいこうやを盾にする。
 「ぎゃああああああああああ!?
  何をするのだ!」
 「あ、つい。ごめんね」
 てへっと笑うレキであったが、しゃんばらだいこうやはマジギレする。
 「しゃんばらだいこうやは、されたことは決して忘れないと言ったであろう!
  許さぬのである!」
 「うきゃあああああああああああ」
 「ぎゃああああああああああああ」
 レキとつぁんだはしゃんばらだいこうやにぶっ飛ばされる。
 「しーち、はーち」
 「ああっ、大丈夫ですか、レキ!」
 カムイはヒールをかける。
 羽高 魅世瑠(はだか・みせる)
 パートナーの剣の花嫁フローレンス・モントゴメリー(ふろーれんす・もんとごめりー)
 同じくパートナーのシャンバラ人ラズ・ヴィシャ(らず・う゛ぃしゃ)
 同じくパートナーの蝙蝠の獣人アルダト・リリエンタール(あるだと・りりえんたーる)は、
 じゃた様のため、つぁんだを取り囲む。
 「ケンカはやめろじゃた!
 じゃた様も争いはよくないっておっしゃってるじゃた!
 あたしらの『説得』を聞くじゃた!
 ちなみに説得の特技は持ってないじゃた!
 パラ実生なら拳で語れじゃた!」
 「ケンカはやめるじゃた!
 何がなんでもケンカを止めて、無理やり茶会に参加させてやるじゃた!
 四対一は卑怯かもしれねぇが、これも平和のためだ、許せよ」
 「うんうん、けんかはよくないよねー。
  じゃたさまのいうことはもっともだよ。
  4にんでどうじにたちむかえば強い敵でもきっとへいちゃらだよー。
  えへへ、じゃたさまよろこんでくれるかなー」
 「魅世瑠達と連携して、平和のために戦いますわよ。
  つぁんだは6大都市の地祇の中で最弱なので、
  4人がかりで殴るまでもない気もいたしますが、
  念には念をいれるべきですわ」
 「うぎゃああああ最弱とか言うなああああ」
 つぁんだは魅世瑠とフローレンスとラズとアルダトに袋叩きにされた。
 「あれ?
  でもなんかラズたちがけんかさわぎを大きくしてるような……気のせいだよね!」
 ラズは言う。
 「争いの元凶のつぁんだをぶちのめしたぜじゃた!
  じゃた様ー、平和希望者がまた一人増えたぜー」
 「これで、着実に平和解決に近づけるってもんだぜ」
 「じゃたさまー、ラズもおかし食べたいよー」
 「うふふ、さざれ石の短刀を使わなかったのはせめてもの情けですわ」
 「おお、平和になったじゃた。
  あれ、でも魅世瑠達とつぁんだはケンカしてたような気がするじゃた。
  ワタシの気のせいか、じゃた?」
 じゃたはなんとなく納得した。 
 「言うこと聞けって言っただろ」
 「ああああああ」
 そるじゃ子は、倒れたつぁんだに銃を突きつけて、無理やり蒼也の提案した農作業に参加させる。
 「きゅー、じゅー!
  よーし、じゃあ、追いかけるぞー。
  あれー、なんで近くにいるんだー?
  もう捕まえちゃったぞー」
 「おまえは空気読まなさすぎであろう」
 梓は鬼ごっこを再開して、しゃんばらだいこうやに突っ込まれる。