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地球に帰らせていただきますっ!

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地球に帰らせていただきますっ!
地球に帰らせていただきますっ! 地球に帰らせていただきますっ!

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 報告 
 
 
 奈良県某所にある神社。
 恋愛成就にご利益があるという噂が立った所為か、若い女性の参拝客の姿が目立つ。
 楽しそうに、あるいは真剣に参拝している人々を横目に、ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は神社の裏手に回った。
 そこにある古びた鳥居を髪紐につけた鈴を鳴らしてくぐると、ウィングは慣れた様子で足を運んだ。
 ここは御影派戦巫女の総本山、御影大社。
 境内では戦巫女たちが今日も鍛錬を重ねている。
 いつもの風景に、帰ってきたのだという実感が湧いてくる。
 戦巫女らに挨拶をしつつ、ウィングは本殿へと向かった。
 今日帰ってきたのは、シャンバラの現状報告と今後の行動についての相談をする為だ。その相手たる天月結姫大神は本殿にいるはずだ。
 頭の中で報告しなければならないことを纏めながら歩いていた……その時。
「お帰り」
 明るい声で迎えられ、と言いたいところなのだけれど、声より何より、挨拶と共に飛んできたとび蹴りにウィングは悶絶した。殺気無しのクリティカルヒットを見舞ったのは御影 千秋だ。
 見た目はウィングとそっくりだけれど、身体のラインは女性のものだ。髪はウィングのようにポニーテールではなくて、ロングの横髪に髪紐を巻きつけている。
「ど、どうし、て……」
 帰ってくるなりとび蹴りなのかと、悶えつつも抗議するウィングに、千秋はだって、と笑った。
「連絡もなしに突然帰ってくるんだもの」
 だからと言って、とも思うけれど、ウィングがどれほど強くなっても、お姉ちゃんは最強だ。
 千秋は嬉しそうにウィングの横に屈みこみ、今度は優しく
「お帰り」
 と微笑んだ。
「ここに帰ってきたってことは結姫ちゃんに用事なのよね? 呼んでこようか?」
「いえ、外で話すことでは、ありません、から……」
「だったら早く動けるようにならないとね」
 起き上がろうともがくウィングを、千秋は楽しげな顔をして眺めた。
 
 動けるようになったウィングは、本殿で待つ天月結姫大神の元へと赴いた。
「お帰り。早速歓迎を受けたようじゃな」
 同席している千秋を視線で指すと、早速じゃが、とウィングに話を促した。
「聞かせてもらおうかの。シャンバラの地で何が起きているのかを」
「はい」
 ウィングはシャンバラ建国にまつわる話を、天月結姫大神に報告していった。
 天月結姫大神はウィングの報告に静かに耳を傾けた。闇龍の話に顔を曇らせ、建国後のことは特に詳しく質問を差し挟みながら聞く。
「わしの予言と基点はほほ同じじゃな。建国が成ったからには、その先のことは見えぬようになってしもうたが……依頼の件は分かっておろうな」
「はい。帝国の神を日本には近づけさせません」
 ウィングはもう一度、天月結姫大神からの依頼を口にすると、ドージェに向いた信仰を女王に戻すこと、帝国勢力を排除すること、女王を救出すること、の方針を確認した。
「報告、ご苦労じゃった。いろいろ大変なようじゃがこれからもよろしく頼むぞえ」
 話はここまでだと、天月結姫大神はウィングをねぎらうと、ここを実家のように思ってゆっくりしていくようにと伝えた。
 それでは一休み、と立ち上がるウィングの腕を千秋が待ちかねたように引く。
「結姫ちゃんとのお話が終わったのなら、今度は修行よ。たっぷり鍛えてあげるからね」
 どうやらゆっくりさせてもらえるのは先のようだと思いつつ、ウィングは千秋に引かれて行くのだった。