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リアクション
●役員
生徒会長 羽高 魅世瑠(はだか・みせる)
副会長 シアル
書記 南 鮪(みなみ・まぐろ)
会計 ―
番長 吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)
●一般
風紀委員 ジュリエット・デスリンク(じゅりえっと・ですりんく)
●教師
主任教師 高木 圭一(たかぎ・けいいち)(国語)
講師 ゼスタ・レイラン(ぜすた・れいらん)(体育)
講師 リーア・エルレン(魔法)
●協力
生徒会嘱託 キャラ・宋(皇甫 伽羅(こうほ・きゃら))
●理事長
総長 神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)
役職は以上のように決定した。
うち、生徒会長は後任が決まり次第、辞任の予定だ。
「今後もよろしくお願いしますぅ」
キャラは役員皆に握手を求め、アピールしていく。
「頼んだよ。助けてあげてほしい」
優子もキャラと握手を交わしてそう言った。
「それじゃ、私はそろそろ帰るが、皆役員に従って勉学に励……いや、楽しい学生生活を送ってくれ。何か連絡がある時には、ゼスタを通じて行うと思う。彼は、私のパートナーだ」
さらりと優子の口から出た言葉に、亜璃珠はひどく驚いた。
「優子さ……」
亜璃珠が口を開くが、彼女の言葉は分校生達の歓声に消されてしまう。
「てめぇら、これからもこのオレについて来てくれるかァ?」
歓声の最中、再び番長となる竜司が分校生達に問いかける。
「おおー!」
「リサイタルとカラオケ以外ならー、どこでもー!」
「よっ、トロール番長ォォ」
分校生達からわーっと声が上がっていく。
「トロールって呼ぶんじゃねェ!」
「イケメン番長ー!」
そして、楽しそうな笑い声があがっていく。
竜司はその頭(の悪さ)や、外見(の悪さ)が、不良である分校生達に素直に気に入られているのだ。
神楽崎優子を惚れさせた男であり。
そして、何よりも舎弟を大切にする漢であるから。
ちなみに、優子が恋愛的に竜司に惚れていることはないのだが、一連の事件での彼の活躍を聞き、深い信頼は寄せているようだった。
「番長、よろしく頼むぞー!」
一際大きな声を上げたパラ実生に、優子が目を留める。
「国頭、キミも何か分校の運営に力を貸してくれると助かるんだが」
相談には加わっていなかったその男……国頭 武尊(くにがみ・たける)は首を横に振る。
「オレはまだ、君の部下を纏められるほどの力はない」
武尊が優子に近づいてくる。
「オレは君に謝らなければならない。離宮に向う前に『痛いのも辛いのも苦しいのも全てオレが引き受ける』と大言を吐いて置きながら、結局、神楽崎に辛い思いをさせてしまっている」
武尊は苦笑をし、優子は真剣な目で彼を見る。
「オレが功を焦らずに、ほんの少し慎重に立ち回っていれば、或は違った結果になったかもしれない」
「それは違う。報告を聞く限り、キミは最善を尽くした。慎重さが必要だったのは、先遣調査時だ。誰かが地雷を踏まなければ、地雷があることさえ判らない。キミは嫌な役を引き受けてくれた。国頭が仲間の為に、救助隊を結成し救助に向った時のように、キミ達が危険な状態にある時にも、危険を承知で現場に向うことを志願する者がいれば……私にもっと指揮能力があれば、違う結果は得られたかもしれない」
「だが、そうして自分の責任だと神楽崎に言わせてしまっている。辛い思いをさせてしまっている」
迷いのない真剣な彼の言葉に、優子は首を横に振った。
「皆の前に立ち、そうして皆が負うべき責任を自らのものとし、背負っているところ、向上心のあるところ、全てにおいて、キミは尊敬に値する人間だよ」
そう言った後、軽く笑みを浮かべる。
「しかし、謝罪の言葉は受けとっておこう。自分に反省すべきところがあるというのなら、それが自分にとって真実だしな。ありがとう。また助けてくれると嬉しい。……本当に、助かった」
目を細めて心からの言葉を述べて。
それから、優子は武尊から貰った青い薔薇の花束に目を向けた。
「そういえば、ずっと助けてもらったり、こうして贈り物を貰ってばかりだな。私からも何か贈りたいんだが、パラ実生のキミの好みは全くわからない……何が欲しい?」
「もちろん、パン……」
武尊はそこで言葉を切った。
優子と真面目な話をしながら――謝罪をして気持ちを切り替えることに成功したのなら優子との関係を進めることも出来るはず、そしたらはにゃほにゃ等と不埒なことを妄想していたのだ。
「ジー……」
「パン……ジー? 三色菫か。意外と可愛らしい花が好きなんだな」
くすりと笑う優子に、武尊は「ああ」とだけ答える。
優子が帰った後、武尊はがくりと膝をつき、拳で床を叩くのだった。
(せめてパン2つ……いや、パンケーキとか言っておけば! 美味かったまた作ってくれとか、手取り足取り作り方教えてくれとか次に繋げられただろう、オレ!)