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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

リアクション

 
 クィクモにたどり着こうとしていた。
 雲海を抜ける、空路組。
「現地の香取からの報告が……来た!」
 クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)は、待ちに待っていた一報に歓喜を表す。
 艦長室に主だった者らを集め、クィクモ到着前の最終臨時会議を開くことを呼びかけた。
 クレーメックはパートナーたちに、至急、受け取った資料から分析を開始してくれ、と命じた。
 ――島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)
 「コンロン内海地方を担当、分析致しましたわ。
 ヴァルナ、判断を申し上げます。
 親教導団二軍閥の内、ミカヅキジマはコンロン南部の内海に位置し、攻撃の拠点として理想的ですわ」
 ヴァルナは、クレーメックにすっと体を寄せ、耳元で案を囁く。
「……うむ。ご苦労! ヴァルナ」
 ――島本 優子(しまもと・ゆうこ)
 「コンロン南西部を担当、分析致しました。
 島本優子の判断を述べます。
 親教導団二軍閥の内、クィクモはシャンバラからコンロン入りする際の要所であり、補給のための拠点として最適です」
 島本優子はクレーメックにそろりと近付き、案を託す。
「ふむう。ご苦労だ、島本優子」
 ――三田 麗子(みた・れいこ)
 「コンロンの地歴を担当、分析致しました。
 三田麗子より判断を述べさせて頂きますわ。
 今の所わかっている限りでは、コンロンは常時夜の如き闇に包まれた土地。中央には聳え立つ山々。そこから東の国境にかけて平地が広がっている以外は、砂漠や荒れ地が多い。北部はこの数百年で足を踏み入れた者の声を聞くことはないが以前のままならば雪原が広がっているとのこと」
 三田麗子はクレーメックにするりと近寄り、その耳に呟く。
「ほう、わかった。ご苦労であった!」
 クレーメックは、皆の集う艦長室に駆け足で戻る。
「間もなくコンロンに到着する。
 現地調査を行っている香取から幾つかの報告があった」
「クィクモに着いたら、今後どう動くか。その目算は立てておいた方がよいな。
 先遣隊の情報を元に、クィクモ及びクレセントベーズ(三日月島)方面の状況をまずは把握せねば」
 クレア中尉は言う。
「私のパートナーたちの分析結果からすでに幾つかの判断が可能である。

 ミカヅキジマは立地的に、他の軍閥へ働きかけていくための拠点として理想的であるが、同時に、他の軍閥に周囲を囲まれているとも言える。
 だから、彼らが連合して攻撃を仕掛けてくる前に、分断し、各個撃破を目指すべきだ」
 それには勿論、外交を通じて、無血で親教導団側に引き込めればそれに越したことはないが、と付け加える。
「また、これから到着するクィクモであるが、軍閥と協定を結んで、我々教導団部隊を駐屯させるべきだ。
 防御に適した地形であるものの、軍事力は弱体である以上、あちらもそれを受け入れるのではないかな。
 教導団が都市の防衛を担当する代わり、クィクモ側にはミカヅキジマ(又は結べれば他の都市)との間の物資輸送を行う、という取引を行っても良いではないかな?」
 最後に、実際の各軍閥の分布等については、現在、入手できる情報量自体が少なく、その多くは伝聞によることになる。
 すでに、現地調査班が出されたものの、クィクモからも、到着後、なるべく早期に情報収集要員を送る必要がある、と提案を行った。
「現在、教導団側の軍閥はご存知の通り、この二つ。
 コンロンには既に帝国の手が入っている――おそらく、コンロン東部の軍閥はエリュシオン帝国の影響下にある、と考えるべきである。
 彼ら、帝国影響下の軍閥とすぐに戦端を開くのは時期尚早であり、まずは中立系の軍閥や中小勢力を、外交で切り従えて、戦力を蓄えるべきである、と私は思う」
 これら中立系に関しては外交で無理な場合は武力ででも、とクレーメックは付け加えた。
 クレアは、
「空路も当面は、潤沢な補給が期待できるというわけでもない。陸路も、さきの会議で話に出たように、そうだろう。
 コンロンでの物資確保も重要になってくるだろうが、これも未知数。であれば、それを節約するために、"なるべく戦わずして勝つ方法"を考えるべきではないか」 
 と述べる。
 クレアの部下ハンスは「戦わずして勝つ方法とは、すなわち、」とそれを補足して述べる。
「味方につけられるものはつける。敵同士争わせる。あるいは敵同士が連携するのを防ぐ。
 というような事からでしょうね。当たり前ながら、情報を元に、どの相手に対してどう対処するか、あるいはどういう選択肢があるかを慎重に見極めることがやはり重要となるでしょう」
 
 一方、現地の香取中尉は、ノイエ・シュテルンの隊長クレーメックに報告を送ると同時に、本校の団長宛にも、
 発:香取翔子/宛:金鋭峰/緩急区分:緊急/機密区分:極秘・親展
 として「コンロン現地報告書」を送った。団長は内海での教導団海軍設立を視野に入れているだけに、現地で収集した最新の情報は喉から手が出るほど必要としている筈。との香取の見解。
 それに現状からすると、海軍設立のため、それにクレセントベースを強固なものにするためには、香取の記した三日月島の技術や産業の水準からしても更に本校に協力を仰がねばならないだろう。
 安定はしないとは言え、空路・陸路ともルートを確保できたことで、今後少しずつでも現地への兵や設営のための投入を続けることも可能となった。
 
 しかしこの後、香取は、更に危急の報告をせねばならないことになる。
 調査班が、帝国の龍騎士に接触したという。情報は未だはっきりとしない。囚われになって教導団ということがばれたのか、秘密裏に接触することに成功したのか。設営もこれからという今の状態で、基地が敵に知られるところとなってしまうことなどは非常にまずいだろう。
 それにまた、香取ら教導団の知らないところで、幾つかの波紋がコンロンの闇に広がりつつもある。何れにしてもそれが黒い渦となってコンロンを飲み込むことは、避けられない運命とも言えたのかもしれない。(続)
 

担当マスターより

▼担当マスター

今唯ケンタロウ

▼マスターコメント

 ご参加頂いた皆様大変お待たせ致しました。
 教導団キャンペーン第一回のリアクション公開させて頂きました。公開が遅くなり、申し訳御座いませんでした。
 
 序回から大幅に遅延することになってしまい、今後の執筆体制を見直さねばと思っております。
 それに関連してくることですが、今回未だ、コンロンの公式設定が未だ確定していない状態でのスタートになりまして、これは特に現地におけるアクションのかけ辛さや、判定にも響いてしまったかなと思う次第です。
 次回に向け、公式マップを鋭意制作していく予定! ここは今後、このコンロンのシナリオに参加されるお楽しみにして頂ければと思うと共に、少々その準備期間頂きたく思います。
 他、以前に別のマスターシナリオで触れられておりましたシナリオとの連動は、事情により今の所なしになりました。
 
 今回、キャンペーンということもありますし、新しい方や初の方にも多く参加して頂きました。
 ありがとうございました。
 続けて参加頂いている方にも勿論、感謝の気持ちを込めつつ、毎度、個別コメントがろくに書けない上遅延の為、ますますコメント書けないマスターになってしまっていますが、基本的には伝えるべきことはすべてリアクションとして伝えることができていれば……と思うばかりです。
 今回招待枠は非常に少ないです(7人)。もしよろしければまた皆様にご参加頂きたいと思います。
 感想やご指摘等は、掲示板に書いて頂いたり、誤字脱字やまたリンクのミスは見つけましたら気兼ねなさらず修正依頼のメールをお送りください。
 
 それから、今回含めマスタリングに関することや、リアクションにおける判定結果について等、幾つか記しておきたいことはありますので、次回(未定)までにマスターページをもし思い出されたらチェックして頂き更新されていればご一読お願い出来ればと思います。
 
 今回についてざらっと述べますと序回ということもあって特に登場シーンやキャラの配置に時間も文量もえらく割いたこと。登場シーンや交流シーンメインになっている方はアドリブもかなり多用してあると思います、一方で、キャラの心情や思想や「」付の発言といった部分は極力手を加えず、なるべく採用してシーンの中に盛り込むようしています。
 後は、マスターページで出来る限り近日…………
 
 *今回シナリオ上重要な点として、今後、特別な変化のない限り、シャンバラ各地域に後方を脅かされることなく、空路・陸路を確保でき、コンロンにおける活動に集中できる状態になりました。交渉に動かれた方々お疲れ様です。
 
 *最後に教導団キャンペーンシナリオ担当として言及すべきこととして 今回、尉官称号を付与しています。これまでの教導団での活動も勿論、考慮に入れています。今回は特に、これまでの活躍や活動から部隊を統括・指揮するに至っている方ということに主眼を置きました。ただ、ここからしてもですが、必ずしも、能力の有る無いが尉官称号につながっているかというと決してそうではありませんし、これは実際にしてもそうだと思います。尉官称号を受け取ったということには確実に意味はありますし、それまでが反映されてのことですし、素直に喜んでみていいこととも思いますし、また(貰ってる人貰ってない人・貰いたい人貰いたくない人含め)尉官になるとはどういうことなのかというのを考え込んでみるのもいいと思います。そんなのに関係なく活躍できる道も無論ありますし。(その、能力があって有名で評価されていても、称号とは無縁で、というのがカッコ良い!とも思ったりしますしね。称号貰っても要らんと蹴っ飛ばすというのもカッコ良いですね。個人的に描きたい教導団はそういう教導団でした。勿論いかにも教導団らしい部分があって、一方で逆に教導団からはみ出ていくような部分があってという。)
 *尚これまでのキャンペーンですでに得ている方は、リアクションにある通りその尉官を引き継いで扱わせて頂いております。
 
 この度は、ご参加ありがとう御座いました。
 
 
 11/29 台詞関連のミス修正致しました。ご指摘ありがとう御座いました! 他、誤字脱字修正。