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第四師団 コンロン出兵篇(第1回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第1回)

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「一瞬、暗くなったが」
「コンロンは常に闇に閉ざされた土地。ずっと暗いさ」
「……フ」
 それから、旅の仲間は、ボーローキョーを離れ、砂漠を迂回する。
 コンロンの闇にまぎれて、その一行をじっと見つめるのは……?
「ふはは、教導団め。西王母を狙っている、か。しかし」
「魔王様〜」
 魔王……ここでも、第一章が思い出される。
 「ふふ。しかし、聞いたぞ。西王母。なるほど。ふむ。騎凛先生の捜索は、ルイーゼに任せるとしよう。俺は、西王母……ふふ、ふははは、く、く」
 ジークフリート・ベルンハルト(じーくふりーと・べるんはると)。こうして、魔王は本性を露わにした。魔王軍のシオン・ブランシュ(しおん・ぶらんしゅ)ノストラダムス・大預言書(のすとらだむす・だいよげんしょ)クリームヒルト・ブルグント(くりーむひると・ぶるぐんと)を連れ、しっかりと西王母を口にした教導団員の後を追ってきた。
「やつらに、西王母は渡せんよ。な?」
「教導団。コンロンを治める名目で動くのだろうが……対エリュシオンを想定した前線基地を作るのが目的だと考えられる」クリームヒルトが言う。「あいつら、教導団生徒の意識はどうあれ、実質的な植民地化も兼ねているかもな」
「だろう? ふはは、やつらに世界樹は渡せん。西王母はこの魔王のものだよ、くく」
「魔王様、魔王様、魔王様ぁ〜〜〜〜〜〜」
 シオンが歓喜する。
「しっ。聞こえるぞ」ノストラダムス大預言書は、しかしジークもストレートだなぁ、と思いつつも。「コンロンの未来か。預言しがたきことだな。どうなること、か……」
 
 
 教導団の仲間たちを脅かす存在は、魔王軍だけではなかった。
「く、メニエス。おまえも、西王母に……」
 思わぬ人物と遭遇した。
 メニエス・レイン(めにえす・れいん)。これまで、寺院の手先として数々の戦いで教導団を敵にしてきた。
「西王母? まさか、あたしがそんなものに関心があると思って?」
 と言い、挑発的な笑みで返してくる。
 イレブンは、剣を抜いて対峙している。やはり、知っているのだろう。メニエスも、コンロンの世界樹の情報を。必ず、教導団の邪魔をしてくるはずだ。厄介な相手。ここでいっそ始末してしまうべきか。
「ふん。アンタらに構う気はさらさらないわ。ただし、そっちから干渉するというなら、後で後悔するわよ」
 メニエスは法衣をひるがえし背を向ける。
「行くわよ、ミストラル! ロザリアス!」
 ミストラル・フォーセット(みすとらる・ふぉーせっと)ロザリアス・レミーナ(ろざりあす・れみーな)。勿論、この二人のしもべも健在だ。
「く、メ、メニエス」
 イレブンは剣を構え、ナインは銃を抜き、撲殺シスターズは鈍器を手にとる。
「野蛮な方々ね。メニエス様に触れないでいただけるかしら?」
 見下したように、ミストラル。
「きゃははハは!! 楽しませてくれるのかよぉ屑どもがァぁぁ!!」
 ロザリアスが醜い様相を表し、牙と爪をむき出しにしてくる。
「ロザリアス」メニエスが半ば振り向き、鋭い目で言う。「相手にする必要はない。言ったでしょう、教導団のお方々。あたしは、西王母なんぞに興味はない。構わないでいただけるかしら! それとも何、つくづく戦争をふっかけるのがお好きな連中ね。だけれど、あんたら兵個人個人の力で、あたしに勝てる?」
 メニエス、ミストラルも、化け物の様相を見せ、おぞましい妖気を放つ。
 たじろぐ、教導団員ら。
「一万、二万くらいは呼んできなさいよ。その間に、西王母はどうなっていることやら……?」
 ハハハハハ! 不気味な笑い声を残し、メニエスらは去った。
「しまったな。世界樹の力をメニエスのような輩に使われては、本当にどうなることかわからないぞ。
 これは、世界滅亡の危機! あれ?」
 皆は、真剣な面持ちだ。マリーはしょんぼりとダリ髭さすり、
「ふむぅ。弱ったでありますな。これなら最初に騎凛に進言って兵を出させるべきでありましたなぁ。はっはっは、こりゃ軍師マリーもお手上げであります」
「何を言っているでありますぅ!」珍しく、メイベルが強気に言う。「それより早く、メニエスさんより先に、西王母に到着することですぅ。まだ打つ手はありますぅ、きっと……」
「そうだな。行こう。騎狼で一気に砂漠を抜けるぞ」
 イレブンの後ろにナイン、マリー、カナリー、道満が乗る。
「く、な、何故私の後ろに全員乗る……!」
 そこへ、またコンロンの闇から声が響いた。
「いいなぁ、うっふっふ、そんなに可愛い女の子たちに囲まれてぇ……いいなぁ」
 薄気味悪い声だ。
「誰だ? 姿を現せ!」
「ふふふ、でもさぁ、ボクが姿を現したらさぁ、ボクをかわいそうだと哀れんでさぞ君は気分がいいってことになるんだろうね。うふふぅ」