なし

リアクション

第4章　高級食材、大盤振る舞い


「テメェらくらいやがれ！！！」
　どさくさに紛れて呼び出した小型飛空挺から飛び降りてきたのは、巨根モッコリブーメランの青空　幸兔（あおぞら・ゆきと）くん。
「オラの熱い汁をぶちまけたるわぁ！！！」
　空中ですかさず股間の松茸に手を添えたかと思うと、何やら白い液体が会場に飛び散っ……………？！！！！！！！！
　え…と、これってまさか青空くんの精ピーーーーーー！！！！！！！！！！！
「天音ーーー！！！！」
　松茸モロだし状態であるにも関わらず、鍛え上げられた脚力で観客席に飛び込んできたのは、ドラゴニュートのブルーズ・アッシュワース（ぶるーず・あっしゅわーす）くん。愛するパートナーである黒崎　天音（くろさき・あまね）くんの身体をその胸に抱き込むと、卑猥な液体から彼の身体を守ります。
「嬉しいけど、馬鹿だね、キミは」
　アッシュワースくんの漆黒の身体にかかった白い液体を見やった黒崎くんは苦笑いが隠せないご様子。まぁ、当然ちゃぁ当然の話ですけど。
　阿鼻叫喚が渦巻く会場に向かって、騒動の発端となった青空くんは胸をそらします。
「特性の練乳弾だ！　驚いたか、テメェら」
　腰に手を当て、仁王立ちになった青空くんの股間から出ているのはアサルトカービン？！
　巨根。と、思いきや、それって虚根？！！！！
　場内が呆然とする中、なぜかここで場違いなほどに軽快なギターの音が聞こえてきましたよ。
　そして、どこからともなく飛んできた一輪の薔薇の花。まるで生け花の如く青空くんの股間のアサルトカービンに突き刺さります。
「この不埒者を薔薇の学舎に相応しく、美しく更正させてみせましょう！」
　華麗な舞とともに、一輪の薔薇をくわえて登場したのは、ドラゴニュートのファル・サラーム（ふぁる・さらーむ）。ギター演奏は薔薇学生の早川呼雪（はやかわ・こゆき）くん。見苦しい悪漢を美しく生まれ変わらせるその手管、まさに薔薇学生に相応しい行いです！
「僕も一緒に踊っても良い？」
「折角だし、俺も混ぜてもらおうかな」
　呼雪くんの奏でるギターの音に釣られるように剣舞を舞い始めたのは、同じく薔薇学生のサトゥルヌス・ルーンティア（さとぅぬるす・るーんてぃあ）くんと雪催　薺（ゆきもよい・なずな）くん。サトゥルヌスくんはいつの間にか黒地に白い蝶が入ったアオザイに着替えてきた様子。軽いステップを踏みながら、たくみに青空くんの退路を塞いでしまいます。
　対して雪催くんは白いパーカーを脱ぎ捨て、瑞々しくしなやかな肢体を衆目に晒します。成長途中の少年ならではの肉体美は、女性客の熱い視線を集めずにはいられません！
「無粋なマネは止めてもらおうか」
　雪催くんが投げたナイフは、薔薇で彩られた青空くんの虚根へまっしぐら。見事に一刀両断で去勢終了ー。
　男性にとっては偽物だと分かっていても、目を背けずにはいられない光景でしょうが、女性客の視線は釘付けです。
「うわぁ…あれ、本当に大丈夫なのかしら？」
　レースのハンカチで顔を隠しつつも、審査員の一人、メニエス・レイン（めにえす・れいん）さんの目は興味津々。心なしか笑っているようにも見えます。隣に座る百合園生のメイベル・ポーター（めいべる・ぽーたー）さんとセシリア・ライト（せしりあ・らいと）さんも同様に苦笑を噛みしめています。
「予想以上に下品なショーですね。面白いですけど」
　男性にすれば笑い事じゃすまないと思いますよ、お嬢さん。
　しかし、異なる感想をお持ちの方もいらっしゃるようです。蒼空学園の荒巻　さけ（あらまき・さけ）さんです。
「コンテストのテーマは知・美・勇ですわ。彼らの演技こそ、それらをすべて兼ね備えていると思うのですけど。皆さんはいかが？」
　いや…演技じゃなくて、あれはただの乱闘ゆえの暴走ですから…。
「別に理屈はいいじゃないですかー。健康な男子を堪能できれば、私は満足です！」
　拳を強く握りしめ、断言して見せたのはイルミンスールの晃月　蒼（あきつき・あお）さん。ある意味、筋の通った漢気あふれるコメントをありがとうございマス。