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華麗なる体育祭

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華麗なる体育祭

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開会式

 すっかり夏の日差しも和らいだ9月下旬。薔薇の学舎では体育祭が開かれると言うことで、他校からも参加者が集まった。
 各々がグラウンドに集まり準備体操をする姿を教員特別テントの中から見守るジェイダスは、集められた参加者の書類を手に取る。
「さて、この中から何人が生き残るかな?」
「……それほど、危険な競技は用意していないはずだが」
競技は、ね」
「…………」
 クスクスと笑いながらイエニチェリの少年を呼びつけると、開会式の準備をするよう言付けて席を立つ。
「なぁに、素直な子には優しいんだよ?」
「俺には関係のない話だな」

 ――ポン、ポンポンッ

 開会を告げる花火の音と共に沸き上がる歓声。それを制止するように役員を名乗り出た比島 真紀(ひしま・まき)が放送で呼びかける。
「一同、静粛に願うであります! これより、開会のお言葉をジェイダス・観世院校長より承る。貴殿達の活躍を期待してのお言葉、拝聴するであります!」
 教員テントから出てくる姿が見えるや否や、生徒たちは拍手で迎え入れた。
 遠くからでもよく見える姿だが、それ以外にも校長となるだけの技量を感じさせるオーラは、壇上に上がると倍増するようだ。
「我が愛しの薔薇の学舎の生徒、そして他校よりご足労頂いた敬愛なる生徒たち。私がジェイダス・観世院、この薔薇の学舎で校長を務める者だ。今日は天候にも恵まれ、諸君等も力を存分に発揮出来ることだろう」
 1人1人のやる気を確認するように生徒たちの顔を眺め、ゆっくりと口を開く。
「これより……抜き打ちテストを開始するッ!
 ――抜き打ちテスト!?
 自分たちは体育祭に参加するはず、そう思いたいがジェイダスは間違いなくテストだと言った。
 一体どういう事なのかとざわつく生徒達を代表して、マイクを持ったままの真紀が恐る恐る質問をした。
「じ、自分は本日体育祭が開催されると聞いて本部役員に立候補しましたが、テスト……とは体育の?」
「いや、副教科まで全て含めた実力テストだ。ノートの持ち込み、図書館の利用をしてくれても構わない。健闘を祈るよ」
 言うだけ言ってテントへと引っ込んでしまうジェイダスを呆然と見送る生徒達。
 突然のことで言葉もないが、驚いてばかりもいられない。
 よくあんな大きな羽飾りのついた服でテントに出入り出来るな……ということではなく、テストの対策について考えなければいけないからだ。
「さて、どの競技から始めようか。……おや、組体操は人気が無かったようだね。では――」
 動き出した時間は止められない。
 どのように出題されるかは分からないが、テストをしながらの体育祭が、今始まった。