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【2019修学旅行】やっぱ枕投げしなくちゃね!

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【2019修学旅行】やっぱ枕投げしなくちゃね!

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 部屋の片隅で観戦を決め込んでいたミスティア・ジルウェ(みすてぃあ・じるうぇ)アルフ・グラディオス(あるふ・ぐらでぃおす)であったが、それは突然起こったことだ。
 流れ弾である枕が、アルフの顔面を直撃したのである。
「……戦わなければ、やられるだけだったな。売られた喧嘩は買うぜ!」
 そういって、自分の顔面に当たって落ちた枕を掴んだアルフは、その枕を投げてきた生徒たちに向かって、枕を投げ始めた。
 その様子をミスティアは体育座りをしたまま、眺める。
 そうしていると、携帯電話の着信音が小さく響く。
「あ。メッセージを受信、発信先はマスター」
 ミスティアは中を確認して、部屋を出て行く。
「……ん?」
 アルフはそれに気付き視線を部屋を出て行くミスティアに向ける。
(まさか野郎の部屋に来るんじゃ!? 来たら説教だな……)
 そんなことを思い巡らせてる間に一度にたくさんの枕を投げつけられてしまった。
「おい! そんなに一辺に来たら流石にかわしきれねぇぞ!?」
 怒ったアルフが仕返しと言わんばかりに枕を投げ返していると、ミスティアが戻ってきた。出て行ったときとは別のパジャマを着ていて、彼のパジャマはというと、彼の後ろから一緒に入ってきた生徒の1人が着ているようだ。
「混ぜてよ、アルフ!」
 案の定、ミスティアのパジャマを着てきたのは、彼とアルフのパートナーである飛鳥 桜(あすか・さくら)だった。一緒に着ているのは、アメリア・レーヴァンテイン(あめりあ・れーう゛ぁんていん)で、彼女のパートナーであるクルード・フォルスマイヤー(くるーど・ふぉるすまいやー)がそれに気付いて、慌ててこちらへと駆け寄ってきている。
「お前らな! 何、危ないとこに来てんだ!?」
「細かいことは気にしないの! 面白い事の為ならどんな事でもする!」
 始まりそうなアルフの説教を遮ったアメリアが「そうよね?」と桜の方を見た。
「そうそう! 気にしたら負けだよ、アルフ。さあ、始めるよ!」
 大きく頷いた桜は、片っ端から枕を集め出す。
「さあ、暴れるわよ! あははは! さあ、掛かってきなさい! ふっ……私は、強いわよ?」
 アメリアも駆け寄ってきて説教を始めそうなクルードにまず1つ枕を投げつけて、得意げな様子で、そう告げた。
「……おい……お前ら……少し落ち着け……暴れるな……俺を巻き込むな……」
 クルードは、投げつけられた枕を手にして、止めようとするけれど、それでは桜とアメリアは止められない。
 アルフは半ば諦めて、逆に彼女らを守ってみせようと構えた。
「頑張れー兄さんたちー」
 枕投げを再開した皆を見て、ミスティアは煎茶をすすりながら、応援するのであった。

 温泉から戻ったリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)は、男子制服を着て、男子部屋へと入ろうとした。
 けれど、通りかかった女将に引き止められてしまう。
「何でっ!? 僕、男だよ!?」
「貴方のような可愛らしい子が男なわけ、ないでしょう!」
 リアトリスの主張は女将に聞いてもらえない。
 それもそのはず。
 洗い立ての青い髪は長く背中に流れ、顔立ちも小顔、更に男だと主張する声は高く、リアトリスのことを知らない人が見れば、ほぼ女性だと答えるであろう。
「さあ、貴方の居るべき部屋に戻りなさい!」
 そう言って、女子部屋へと放り込まれるリアトリスであった。

「顔面は5P、体で顔面以外は3P、キャッチされた場合は1P、自分が場外へ出た場合は−10P、で双方よろしいですね?」
 ソルラン・エースロード(そるらん・えーすろーど)の確認するような念押しするような口調に、向かい合う布団にそれぞれ座した風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)風祭 隼人(かざまつり・はやと)は頷いた。
「では、第一次蒼空(枕投げ)大戦、開始!」
 ソルランの掛け声と共に、まずは隼人が枕を投げつけた。優斗は昼間の疲れで一方的に攻撃されているように見せかける。
 そうしている間にも隼人にポイントが溜まるのであるが、枕は優斗の方へと溜まっていった。
「このまま行くと、明日の食事のデザートはいただきだな!」
 そう声を上げる隼人に、優斗は「そんなことはないです」と言って、時間を確認した。
 消灯時間もすぐそこに迫ってきている。
「疲れてなどないのですから」
 言って、優斗は溜まった枕を一斉に投げ始めた。
「ちょ! ずりぃぞ!」
「これも作戦のうちです」
 キャッチした枕で防ごうとするけれど、1つを防ぐと次に飛んでくる枕に顔面を狙われ、追い上げるように優斗のポイントも溜まっていった。
「そこまでです!」
 あと数分もすれば消灯時間になる。枕投げの後のまま寝るわけには行かないので、周りが片付けだしたのだ。
 それを確認したソルランがタイムアップの声をかけた。
「惜しくも1点差で、隼人の勝ちです。作戦は良いと思いましたが、時間が少し足りませんでしたね」
 ソルランの言葉に、隼人は喜び、優斗は悔しがった。
「さあ、片付けましょう」
 寝具として使う枕以外を他の人に返したり、余った分を押し入れに片付けていく。
 そうして、綺麗になると、3人は眠りにつくのであった。