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水を掘りに行こうよ! ミミズと俺らのメモリィ

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水を掘りに行こうよ! ミミズと俺らのメモリィ

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満天の星空から蛮族が

 満天の星空から、蛮族が振ってきた。竜巻に巻き込まれ上空へと放り上げられたガートルード、凱、ヤード、そして蛮族たちである。
「え……?」
 エラノール・クリアランシェル(えらのーる・くりあらんしぇる)は反応できず、隕石のように落下してきた彼らを呆然と見つめた。この場合、エラノールを責めることはできないだろう。実際、誰一人として空から降ってきたものが人だと認識できていなかった。
「お前たちのプロジェクト、ぶちこわさせてもらうぜ!」
「なぜこんなコトに……」
 砂によって落下の衝撃が和らいだのか、凱がいち早く攻撃を仕掛ける。ヤードは下半身を砂漠にめり込ませたままなげいている。
「敵襲だ! ライトを点灯しろ!」
 志位 大地(しい・だいち)が叫ぶ。テントの中のティエリーティアにいいところを見せようと張り切っているようだ。
「ちょっと、私は敵じゃないですよ!」
 蛮族たちと一緒に空から降ってきたため、大地に攻撃されそうになったガートルードが叫ぶ。味方だと示すために、手近にいた蛮族を斬り付けようとする。
「避けられたっ!?」
 偶然なのかどうか、蛮族はガートルードの斬撃をかわした。
「こいつらの目……透き通っているだと?」
 騎士のルイス・マーティン(るいす・まーてぃん)が蛮族の攻撃を盾で受け流しながら呟く。ルイスに相対する蛮族の目は、決して欲望に濁ったものではない。
「どうだろうと、私たちの敵であるという事実は変わりません」
 ヴァルキリーがサクラ・フォースター(さくら・ふぉーすたー)が、ルイスが引きつけた敵をバスタードソードで吹き飛ばす。
「二人とも、見事な連携じゃぞ」
 英霊のグレゴリア・フローレンス(ぐれごりあ・ふろーれんす)は狼の姿に変化したロボ・カランポー(ろぼ・からんぽー)にまたがって二人の動きをほめる。二人はルイスとサクラの討ち漏らした敵を引き寄せるつもりでいたのだが、蛮族が空から降ってくるという状況ではそれも難しい。
「う……」
 四方を蛮族に囲まれたグレゴリアたちは辺りを見回す。
 いましも拳を振り下ろそうとする蛮族に、背後から火術が叩き込まれる。
「気をつけて」
 ワンドを構えた上宮 佳撫(うえみや・かなで)が蛮族たちを睨みつける。
「私もお手伝いしましょう」
 クロス・クロノス(くろす・くろのす)が佳撫の出現によって注意がそれた蛮族たちに大鎌で攻撃を仕掛ける。クロスの攻撃はかわされてしまったが、蛮族はそれ以上グレゴリアを狙うことをあきらめたようだ。
「近すぎる……」
 大地は機関銃を構えたまま低くうめく。予定では機関銃で蛮族をなぎ払うつもりでいたのだ。誰もが予期していない自体に、学生達は苦戦していた。さらに、蛮族自体も思っていたよりも遙かに手強い相手だ。
「リーダーを潰す……」
 鬼崎 朔(きざき・さく)は隠れ身を用いて蛮族のリーダーを捜す。
 朔のパートナーのスカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)ブラッドクロス・カリン(ぶらっどくろす・かりん)は朔の存在を気取られまいと派手に立ち回っている。。
 朔の視線の先には、一人の老人がいる。戦場において悠然と立っている。少なくとも蛮族のリーダーであることは間違いない。
「貰った!」
 朔の携帯電話から光条兵器が伸びる。剣の花嫁であるブラッドクロスの能力だ。
 光条兵器が突き立とうという次の瞬間、朔の方が大地に伏していた。
「悪くはない……が」
 老人は、傍らに倒れていたスパイクバイクを片腕で持ち上げた。そのまま担いだ。『砂漠の狐がバイクを担いだら用心せい』。朔がその言葉を知るよしもない。ましてや、目の前の老人がかつてバイク闘術でパラ実生にこの人ありと言われた人物であるなどとわかるはずもない。
「冥土の土産に見るがいい……秘剣・星なぎゃああああああああああああああ」
 バイクを担いだ老人は、突然出現した直径2メートルほどの砂の柱に吹き飛ばされる。
「大ミミズが再び出現しました!」
 アシャンテが超感覚でいち早く大ミミズの出現を察知する。
 蛮族と学生達の戦いの音に苛立ったのか、大ミミズは口からすさまじい勢いの砂のブレスを吐き出してくる。
 誰彼の区別なく、砂のブレスは襲いかかる。