なし

リアクション

■□　エピローグ　□■


『はーい、皆さんお疲れ様でしたー！』

　再び中央エリアに集合した参加者の前に立ったノリコがマイクを片手に拍手を要請すると、ぱらぱらと参加者達から拍手があがる。

『それでは、お待ちかねの結果を発表します！　第４フェーズでかなりの人数が捕まりましたよー。そんな中、最後まで逃げ切ることが出来た方の名前を読み上げます。まずは東チームから！』

　そう言うとノリコは手元に用意した名簿に視線を落として、すぅと息を吸う。

『国頭　武尊さん、騎沙良　詩穂さん、クロセル・ラインツァートさん、緋桜　遙遠さん、佐野　亮司さん、ザカコ・グーメルさん、神代　明日香さん、以上７名でした！』

　紹介された７人へ、惜しみない拍手が送られる。
　その拍手が一段落してから、ノリコは再び名簿へ視線を戻す。

『続いて西チーム！　朝霧　垂さん、日下部　社さん、小鳥遊　美羽さん、コハク・ソーロッドさん、風森　巽さん、赤嶺　霜月さん、ルカルカ・ルーさん、夏侯　淵さん、椎名　真さん、風祭　優斗さん……』

　次々と読み上げられる西チームの参加者の名前に、両チームがそわそわし始める。
　東側の参加者は二倍計算されるとはいえ、逃げ切ったのは７人。１５人以上西側の参加者が逃げ切っていれば、西の勝利となる。

『芦原　郁乃さん、レティシア・ブルーウォーターさん、紫月　唯斗さん、火村　加夜さん、桜葉　忍さん、織田　信長さん、高円寺　海さん、以上１７名！　よって、第一回逃走なうは、西チームの勝利です！』

　ノリコの声に、わぁぁっと歓声が上がる。それは勝利の快哉であったり、負けた悔しさの現れであったりしたけれど、その場にいた百人近くの声が合わさり混ざり、一つの大きなどよめきとなって公園の空に響いた。
　そして、ぱちぱちと誰からともなく拍手が上がり、イベントは無事に幕を下ろしたのだった。



「今日は、本当にお疲れ様！」
　参加者達を送り出してから、一日かけずり回ったスタッフ達は、ルカルカ・ルーが用意した屋台で綿菓子を振る舞って貰っていた。
「まさかこの中に隠れているとは思わなかったなー」
　オニ役として一日走り回ったミーナ・リンドバーグが綿菓子にかぶりつきながら、せっせとみんなの分の綿菓子を作っている夏侯淵をちらりと見る。
「あーくそっ、最後のフェーズまでは逃げられたのになぁ……！」
「あそこでオニが一気に増えたのは辛かったにゃんー」
　参加していた淵とルカの友人、エース・ラグランツが淵から綿菓子を受け取りながら悔しそうに漏らせば、ねこぱんちを付けたままの手で器用に綿菓子を頬張っているクマラ　カールッティケーヤもこくこくと頷く。
「でも、楽しかった！」
「そうね、今日は公園を荒らす奴もいなかったし。」
　その隣でパートナー達と嬉しそうに綿菓子を食べている童子華花と、公園の精・さくらはすっかり意気投合したようで談笑している。
「うーん、でも根性で１００人も集めたスタッフのうち９０人の活躍の場が無かった、ってのはちょっと、バランスの調整しなくちゃねぇ」
　また、こちらでは淵お手製の綿菓子を頬張りつつ、ノリコが他のレク研部員達と早速反省会を始めている。


　賑やかな一日は、もう少しだけ続きそうだ。




−幕−