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アトラスの古傷

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アトラスの古傷

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終章 エピローグ


「以上が報告になりますっ。あ、これは採取できた機晶石のサンプルです」

 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は小さな機晶石を差し出しながら、満面の笑みをたたえて締めくくった。
 無理もない、今回の作戦は大成功だったのだ。
 坑道内のマッピングデータは全てが完成し、強大な敵性存在の排除も完遂。
 更に、報道陣が戦没者達のために慰霊碑を建設するところを放送したらしく、現地の教導団員もそれに協力したとあって、世間での評判もアップした。
 強いてダメだった点をあげるなら、せっかく見つけた機晶鉱脈が、必要経費だったとはいえ一部崩壊してしまったこと。
 あと、一人侵入者が混じっていたらしいということだ。これは管理者の責任と言えなくもない。
 まぁそれらのマイナス要素を含めても、大成功と呼べることに変わりはない。それほどの首尾だった。
 金 鋭峰(じん・るいふぉん)は小さな機晶石を手にとり眺めながら、「ご苦労だった」と簡潔に応えた。

「君の働きも、現場の調査隊員の働きも、本作戦には大きく貢献してくれた。その調子で更なる調査を進めてくれ。───謎の機晶技術に関しては、まだ判明していないのであろう?」

 謎の機晶技術というのは、ライザーワームが有していた機構のことだ。
 どうも自然に出来た物とは考えにくいので、教導団で本格的に解析することになったのである。

「はい。まだ研究所へ運送する手続きを行っている状態です。なにぶんとても大きいものですから……」
「そうか……ならばよい。何かわかったら、すぐに報告してくれ」

 と、そこで専門家のダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が口を挟んだ。

「失礼、本調査はまだですが、討伐後の簡単な調査で判明した事をご報告させて頂きます」

 立ち去ろうとしていた鋭峰はピタリと足を止めて振り返る。
 ダリルは頭を下げてから続けた。

「どうもライザーワームはとっくの昔に死んでいたようなのです。ヤツを動かしていたのはあの機構そのもので、動力を維持するために機晶鉱脈を喰らっていたのだと考えられます」
「ほう……それはまた奇妙な話だな。あれは延命装置だというのか?」

 延命装置。
 なるほど、的確な表現だが、そんな平和的なものに例えるのは失礼かもしれないとダリルは思った。
 ので、本当は飲み込もうと思っていたある可能性の指摘を行っておくことにした。

「これは俺個人の憶測ですが……何者かがあの化け物を人為的に操ろうとして、あの機構を取り付けたんじゃないかと思っています。それほどに人工的な論理回路で構成されていたのです」
「……その話は詳しいことが判明してから聞こう。現段階では何とも言えないのだよ」

 鋭峰はそう言うと、いつもの難しい顔に表情を戻して去っていった。
 ダリルは神妙な面持ちを崩さないままでいたが、ルカルカは話の規模がイマイチ掴めないでいた。

(そんなにすごいものだったのかな……?)

 確かに不思議な現象だとは思うが、既にイコンなどの技術を扱う今の時世には、さほど珍しくもないように感じる。
 少しだけ考えてみたがすぐに興味を失って、やがてルカルカはいい事を思いつく。

「そうだ。こないだできたお店の新作チョコレートサンデー、確か今日からだったよね! んっふっふ、作戦大成功のご褒美に、食べに行っちゃおーっと。ダリルも来るでしょ?」
「遠慮する。俺はあの機構が運び込まれるのを待っているんだ……っておい、なぜ引っ張る!?」
「いーからいーから♪ たまには息抜きも必要だよ。ねっ」

 ダリルはぶうたれながらも大した抵抗は見せず、ルカルカに引き連れられて部屋を後にした。


担当マスターより

▼担当マスター

水無月へる

▼マスターコメント

▼ マスターより

 水無月へるです。
 ここまでお読み頂いた方、およびご参加頂いたプレイヤーの皆様、ありがとうございました!

 アトラスの古傷は、タイトルにもついているように、『古』を主体にした物語です。
 処女作とあって、何か不備がないかビクビクしております。
 あーじゃない、こーじゃない、なんて一人で頭を抱えてたり(汗)
 プレイヤーの皆様がお楽しみいただける内容になっていれば良いのですが、どうでしたでしょうか?
 ……今度は本文の文字を太くしたり大きくしたりにもチャレンジしたいなー。。
 というわけで、次回もがんばりますので、今後ともよろしくお願い致します!

PS.
 察しの良い方は気づかれたかもしれませんが、本作は物語の引きが伏線になっております。
 次に書かせて頂くシナリオでは、ここから繋がる物語で進行させてもらおうと予定しています。
 もしご興味を抱いてもらえたなら、ぜひぜひチェックして頂けると、へるが泣いて喜びます。
 以上ですっ! ではまた機会がありましたらお会いしましょう〜。