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開催! 公式ムシバトル

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開催! 公式ムシバトル

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決勝
「たいへんお待たせいたしました! 公式ムシバトル決勝戦を行います!」
 一番大きいメインステージに、激しい戦いを耐え抜いた、2匹の虫が立っている。
「決勝戦! パラミタキイロミツバチの四郎さん対、パラミタノコギリクワガタのデスペラード!」
「四郎さん……頑張って」
 セコンドサイドは四郎さんを信じ、この勝負を黙って見守ることにした。
「デスペラード、根性出せ! 彼女も見てるぞ!」
 リングサイドでは、つい先ほど交際を始めたばかりの紫が、心配そうにデスペラードを見守っていた。
「試合開始!」
 いよいよ決勝の戦いが幕を開けた。
 先制したのは四郎さん。得意の先制連続攻撃だ。
 堅いデスペラードにダメージは小さいが、これが何発も続けざまに決まると苦しい。
 続いてデスペラードは、ハサミを突き出した! 攻撃力の大きい一撃を当て、短期決戦を狙っているのだ。
 ぶん!
 攻撃を見切った四郎さんは、ぎりぎりで攻撃をかわした!
 だが、これが当たれば一撃で四郎さんは沈んでしまうだろう。
 恐れず、攻撃に転じる四郎さん。再び連続攻撃が炸裂した!
 じわじわと体力が削られていくデスペラード。
 今度はハサミを振り回し、打撃攻撃を狙った!
 ズガッ!
 闇雲に振り回した打撃のうち一撃が、四郎さんの身体に当たった!
 ぐらつく四郎さん。辛そうだ。
 だが、気絶寸前で持ちこたえた四郎さんは、最後に渾身の体当たりをぶちかました!
「デスペラードが……飛んでる」
 弾かれたデスペラードは、場外に落ちた。
「ああ、決まった……」
「勝ったのは……」
「優勝は……パラミタキイロミツバチの四郎さん!」
 割れんばかりの大きな歓声が起こった!
 初代公式ムシバトルの頂点に立ったのは、パラミタキイロミツバチの四郎さんだった!
 最後までいい戦いを見せてくれたデスペラード、そして、出場した全ての虫に、大きな大きな拍手が鳴り響いた。
 全員が立ち上がったスタンディングオベーションは、10分以上続いたという。

ディナークルーズ
 オレンジ色の水辺。イルミンスールの森に日が沈む。
 その幻想的な光景を、刀真と月夜は立派なクルーザーの上から眺めていた。
 大会の優勝者に与えられる「パラミタ内海ディナークルーズ」。
 その船上で、改めて表彰が行われるところだった。
「エリザベート・ワルプルギスの名において、ここに【ムシバトル王2019】の称号を、樹月刀真と四郎さんに授与しますわぁ」
 証明書が手渡されると、周辺のスタッフや大会関係者から拍手がわき起こった。
「本当に優勝しちゃったんだな……」
「すごいのは……四郎さん」
 当の四郎さんは、あかね色の空を気持ちよさそうに飛んでいる。
「あ、あれ……」
 月夜が、陸の方向を指さす。
「ああ、すげぇ!」
 ぶううぅぅぅん!
 出場した全ての虫が、一斉に空へと飛び上がり、祝福のダンスを踊っている!
 飛べない虫たちは、陸で楽しそうにくるくる回っている。
 もちろん、ともに死力を尽くしたブリーダーたちも、クルーザーに向かって手を振ってくれていた。
 初秋の空に舞い上がる、戦い終えて友となった虫たち。
 その姿が自然と、夏の終わりを告げているようだった。
 刀真は、陸に向かって、声の限りに叫んだ。
「みんな、本当にありがとな! また来年、絶対に会おうぜ!」

担当マスターより

▼担当マスター

岩崎紘子

▼マスターコメント

 皆様、長いバトル本当にお疲れ様でした。
 マスターをさせていただきました岩崎紘子です。
 皆様が作られた虫、そして作戦、見事なものばかりでしたよ!
 勝敗を判定する際、岩崎の手元のノートは数字に埋め尽くされます。目にしているのは数字ばかりですが、頭の中では虫たちが生き生きと動いている姿が見えるようでした。楽しかったです!
 今年のムシバトル王は、パラミタキイロミツバチの四郎さんに決定しました。
 おめでとうございます!
 この公式ムシバトル、エリザベートちゃんさえ気に入ってくれれば、毎年恒例行事にしてもらえるかもしれませんね。
 次回ムシバトルがあるかどうか分かりませんが、もしもあった場合のヒントとして、今回の勝敗判定方法を、一部だけですが公開しますね。
 まず、パートナーさんを連れてきてくださったチーム。声援が大きくなるということで、クリティカルヒット発生率にプラス修正をしました。
 また、アクションに応援について強く書いている、虫への愛情が特に感じられた場合、それもクリティカル発生率にプラス修正が加わっています。
 攻撃の強さは力、防御は堅さ、連続攻撃と回避判定は速さの数値をもとに行いました。また、攻撃の強さにかかわらず、ヒットするたびに「場外判定」も行っておりました。勝負には運も必要ですものね。
 もちろん、判定に使った要素はこれだけではありませんが、全て書くとかなり長くなりますのでこの辺で。
 もちろん次回があった場合、判定方法は変更・改善されるはずですから、ここに書かれたことをそのまま鵜呑みにするだけでは勝てないかもしれません。
 あくまで、最後まで読んでくださった方へのおまけとして、書き添えておきますね。
 最後に、全ての虫とブリーダーに、心から感謝します。
 生命力溢れる、美しい森が守られますように。
 ではまた遊びましょう! ありがとうございました!

2009年10月26日追記。
一部修正を加えさせていただきました。