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狙われた学園~シャンバラ教導団編~1話/全2話

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狙われた学園~シャンバラ教導団編~1話/全2話

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 守屋 輝寛(もりや・てるひろ)は、フラッグを目指してひたすら突き進むことにした。白地図に書き込みをすることが何よりも好きで、手製のパラミタ大陸全図を埋め尽くすのが彼の夢だった。その地図が役に立つときがやってきた。
「自前の白地図を充実させるチャンスです!」
 説明図を貰ってすぐに軍用バイクに乗り込み、そこでさっと市販の地図と自前の地図を取り出しそれらを照らし合わせ、フラッグの緯度と経度を割り出す。
「結構地形って変わっているもんですね」
 輝寛のパートナーで、豊かな胸と美しい髪をした美形のセイバー、ナディア・ウルフ(なでぃあ・うるふ)もその軍用バイクの後ろにまたがる。
「この軍用バイクってサスペンションが硬くてお尻が痛くなってしまいます。座りたくありませんわ…」
「仕方ない、我慢してくださいね。それとあやしい奴がいたら見つけてください、ナディア」
「私にばかり押し付けないでください…」
「ナディアを信頼してるんですよ。俺は鈍いからね」
「…もうしかたありませんね」


 湊川 亮一(みなとがわ・りょういち)高嶋 梓(たかしま・あずさ)はとにかく、フラッグを目指すことに決めた。
 二人にとって初の野外訓練。緊張と共に、胸の高鳴りも感じる。
「無理せず確実に行くぜ」
「ええ、亮一さん」
 亮一は事前に訓練地域の地図を用意してあり、配布された説明図と照らし合わせ、地形情報を下調べした。
森林地帯に合わせた装備を用意し、野外活動に備える。
「フィールド上にトラップが無いとは限らないから注意しないとな」
「もしもの時は、私がヒールを施しますわ」

 各自、出発していくなか、そっと物陰から教導団の生徒を伺うものがいた。
 パラ実のガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)、機晶姫のシルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)である。
 ガートルード・ハーレックはローグとしての有用性をアピールし、教導団に雇って貰うためにこの訓練に参加したのだ。隠れ身を利用して教導団作戦参加兵に近づき、不穏な行動をしていないか監視しているのである。
「親分、あやしい奴はおらんかのう」
 美しい機晶姫だが、広島弁で喋る男性人格が宿っているシルヴェスター・がそっと囁く。
「それを見つけるのが今回の私たちのミッション。うまくいって雇って貰えればいいんですけれどもね」
「親分なら大丈夫じゃ! わしがついとる!」

第2章

 フラッグに到達するためには、ワームとゴブリンの森を抜けなければならなかった。どちらも下等生物であるが、凶暴なのには変わりがない。しかし、そこでも目玉焼きの食べ方論争はひたすら続いていた。
「だーかーらー目玉焼きには何も付けないの!」
「七味だってば!」
「ルカルカはもうはやく結婚するといいよ! 宇都宮は怖いイメージを払拭するためにセリエと軍学科にでもなれ! 皇甫が実は今回の黒幕じゃないよな〜!!」
 半ギレのイリーナをルカルカがなだめようとする。
「イリーナ、暴走しすぎ!」
「黒幕だろうとなんだろうと、目玉焼きにはXO醤ですぅ!!」
 伽羅がぷりぷり怒って、最初はシャレだったはずのXO醤を激押し状態。
 それにうんちょう タンもうんうんと頭を振る。
「あら〜言ってくれるじゃない〜シベリアに帰りなさい熊女! ウォッカが切れてるんじゃないの?」
 どすぐろいオーラを背負った祥子がにやり、と笑う。
「祥子ったらそんなこと言わなくても」
「あら、ルカルカ、あんたは食べるの控えた方がいいんじゃない? なに、その胸! おっぱいこのやろう!」
「ひ、ひどい!」
 後方から監視していた面々は、そのヒートアップぶりにどん引き状態だった。
「あれでは囮になりません」
 トゥルペがぼそりと呟いた。
 その時、祥子とセリエが女王の加護を用いて危険を察知する。
「何か来るわ!」
 その面々の前に巨大なワームとゴブリンの群れが出現した。伽羅は光学迷彩や、ガードラインを使い、うんちょう タンがシャープシューターで蹴散らす。
「すまぬが義姉者のためでござる」
 しかし、あまりの数の多さに間に合わない。
 とっさのことで対応が遅れた面々の前に軍用バイクにまたがった褐色の肌のデゼル・レイナード(でぜる・れいなーど)が、ワームに向かって立ちはだかる。
「めんどくせえ…」
 と言いながらも素早く、チェインマストを使う。続けざまに武器を繰り出し、敵をランダムに2体攻撃!即座に4匹ものワームを倒してしまった。
「すげえ…」
 亮司が呟く。
「まだまだ、ワームもゴブリンもいますよ!」
 機晶姫のルケト・ツーレ(るけと・つーれ)がツインスラッシュで次々と現れたワームとゴブリンをなぎ倒していく。ルケトの外見は華奢な感じの少年であるが、男と間違われるとキレて男勝りのべらんめぇ口調で暴れるので、手が付けられない。
 そこにフラッグを目指していた牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)と、シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)が現れる。
「BGMは無いけれど、ワームさん、ゴブリンさん踊りましょう」
 と、華麗にアルコリアがアサルトカービンでワームに近接し、引き金を思いっきり引くと、ワームの体は四散し、飛び散った。
「アル、危ない!」
 シーマがアルコリアの背後から襲いかかってくるゴブリンを、カルスノウトで切り裂く。
 目玉焼き論争チームも負けてはいない。体勢を立て直し、セリエがディフェンスシフトで防御力を上げ、イリーナは、「前は任せた!」とシャープシューターで後方から援護する。
 ルカルカはサーベル状の光条兵器で、ワームを切り倒す。
 ダリルは、左手の甲からレンズ状の部分から光条兵器を取り出して切っ先を伸ばし、鋭くゴブリンを切り裂いた。
 光学迷彩を使い、あくまで目立つことを望まない亮司だったが、それでもアサルトカービンを使ってみんなを援護する。
 目玉焼きの食べ方論争で頭に来ていたエリーズは、
「喧嘩の邪魔すんなー!!お前ら豆板醤で食べられたいのか〜!」
 とツインスラッシュで攻撃をし、レジーヌは「無茶しないで、エリーズ」とたしなめながらも周りを援護し、ランスで攻撃を繰り返す。

 この様子に本能で危険を悟ったのか、集まってきていたワームやゴブリンは退散していった。