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狙われた学園~蒼空学園編~2話/全2話

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狙われた学園~蒼空学園編~2話/全2話

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 倉田 由香(くらた・ゆか)とルークは、ドラゴニュートたちと連携を取りながら、ドラゴニュートの赤ちゃんを探索していた。由香は隠れ身を使って、鏖殺寺院に気取られないようにしている。
「絶対に赤ちゃんを捜し出すんだ。あたしだってもし、るーくんがいなくなっちゃったらと思うと悲しいもん。その子のお父さんとお母さんもすごく心配してるはずだよ!」
「由香、オレ、こっちだと思う。ドラゴニュートの赤ちゃんの気配がするんだ…」
「うん、判った。さっきの無線とも一致するよね。…ねえ! るーくん、あれって『鏖殺寺院』の連中じゃない!? しかも、あの巨漢、手配書にあった『ウィリアム・リリー』って奴だよね!?」
「確かにそうだ! あっちのは、紀 君祥(ジー・ジュインシャン)って奴だよ!! じゃあ、ウィリアム・リリーが持っているあの麻袋! あれにドラゴニュートの赤ちゃんが入れられてるんだ! あ!ヤバい! 奴ら気がついたみたいだ!」
 リリーたちの部下が由香たちの気配に気がついたらしい。由香たちに向かって銃を向けてくる。
「迎え撃つわよ、るーくん!」
「オッケー! 由香!」
 由香とルークがドラゴンアーツで迎え撃つと、その間にリリーたちは慌てて逃げ出してしまう。
「おい、待て!」
 慌てるルークだったが、部下たちの数が思った以上に多く、足止めを食らってしまう。
 そこに、蒼空学園本部からの情報を得て、禁猟区を使い、ウィリアム・リリーたちを見つけ出した清泉 北都と、クナイ・アヤシが到着する。
「既に戦闘が開始されているようです」
「僕らはウィリアム・リリーたちの方を追いかけよう。見失うわけにはいかないからねぇ。クナイ、本部に連絡を入れてくれ。すぐに増援がやってくるはずだ」
 ドラゴニュートの赤ちゃんを捜していたカーマル・クロスフィールドとデンカ・クロスフィールドが由香とルークを助けに入る。
「えぇい……邪魔だ!」
 カーマルがドラゴンアーツ、デンカが火術を使って応戦する。
「大丈夫でしゅか、ルークおにいちゃん!」
「問題ない! 早く片付けてリリーを追いかけるんだ!」
「由香、大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ! ドラゴニュートのオチビさんがパートナー同士、負けるわけにはいかないわね!」
「もちろん!」
 由香とカーマルは意気投合したのか、自然と二人一組になって攻撃を開始しはじめる。


☆  ☆  ☆


 由香たちが戦闘を開始していることは、無線によって全生徒に通達されることとなった。ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)はその連絡を受けて、由香たちの増援に駆けつけた一人だった。さっそく、由香やカーマルにディフェンスシフトをかけ、防御の態勢を作り上げる。
「白百合団の必殺技、ランスチャージ!」
 巨大ランスの胴にリリーたちの部下に押し当て、吹き飛ばしてしまう。次々へと前進し、由香たちが進める道を作り上げようとしていた。
「みなさん、早く進んでください!」
「ロザリンド! 芳樹! あなたたちも…」
「僕らのことはいいから、早く進むんだ!」
 高月 芳樹(たかつき・よしき)も増援として駆けつけると、ソニックブレードで鏖殺寺院の連中を蹴散らし、由香やカーマルたちを先に進ませようとする。

 だが、リリーの一人が由香たちめがけて、背後から飛び込んでくる。
「危ない!」
 とっさによけようとするが、間に合わない。カーマルやデンカがこれまでか、と腕で身体を覆ったとき、その部下がはじけ飛んでしまった。
「ぐわ!」
「…油断するな」
レーゼマン・グリーンフィール(れーぜまん・ぐりーんふぃーる)!!」
 シャープシューターで一撃必殺。敵を牽制するために行動していたレーゼマンだったが、仲間の窮地を見捨てるわけにいかなかった。
「教導団として…軍人として、お前たちを逃がすわけにはいかんのだよ」
 リリーたちの部下に銃を向けると、由香たちが部下を縛り上げる。芳樹やロザリンドが捕縛した部下の見張りにつく。
「ここは私たちに任せてください」
 ロザリンドがにっこりと微笑むと、芳樹もぐっと親指を立てる。
「さあ、リリーを追いかけるぞ」
 レーゼマンがきびすを返し、リリーたちの後を追うと由香やカーマルはそれに付き従った。



☆  ☆  ☆


 ウィリアム・リリーと紀たちは次第に沼地の方へ追い詰められていく。
「こらー!! ドラゴニュートの赤ちゃんを返せ〜!!」
 あーる華野 筐子(あーるはなの・こばこ)がリリーたちを光学迷彩で追いかけていた。段ボールロボの筐子のボディには疾走する勇壮なバジリスクが描かれている。
「学園の平和は、この『学園NO.1怪人物』こと、華麗にローグ転身した段ボールロボにお任せよぉ!」
 パートナーのアイリス・ウォーカー(あいりす・うぉーかー)が、トミーガンで逃げるリリーや紀、そしてついている部下数名を背後から足元を狙って撃っていたのだ。
「リリー、私はもうついて行けません…」
 やせぎすなのに、身体にフィットしないマントを着た顔色の悪い自称天才策士の紀は、ゼエゼエと既に息を上げている。
「おっさん、何言うてるねん! こんなところであいつらに掴まったりしたら、季保姐さんにどんな目に遭わされるか、わかっとるんやろなあ! それでなくても、ワシら、教導団の訓練では失敗しとるんや! おい、お前、そのおっさんを抱えてやれ!」
 リリーは部下に振り返って命令する。
 アイリスの肩に乗っていた一瞬 防師(いっしゅん・ぼうし)が叫ぶ。
「アイリス殿、今だ! 拙者をあ奴の顔面に投げつけるんじゃ!『五寸釘キック』をお見舞いしてやる」
「判りましたわ!」
 アイリスが一瞬 防師を振り返ったリリーに投げつけ、一瞬 防師が目潰し攻撃に出るが、それを察した紀がマントで風を起こし、防師は振り払われてしまう。
「うわあ〜」
「お、お師匠様!」
 慌てて一瞬 防師を助ける筐子と、アイリス。