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鳥居前 〜ゴール〜
だんっ、とエレミアは本郷の目の前に、絵馬を叩きつけた。
「はあっ……はあっ……はあっ……」
そのままくたっ、とエレミアはへたり込む。
セトや茜もほとんど似たような状態で、ティエリーティアにいたっては、野外なのにも関わらず寝転がってしまっている。
「……はい、オッケー。絵馬は本物と確認されました。お疲れ様、ゴールです」
「じゅっ……順位はっ? 順位は……どうなのじゃっ……?」
すがりつくように、エレミアは本郷に聞いて、
「おつかれさまっ!」
ペットボトルの温かい緑茶を手渡してきた遠野歌菜の笑顔を目にして、エレミアはすべてを悟った。
「一位が、遠野さん率いる【ナイトinナイト】、エレミアさんの【お化け怖いPT】が、それから三十二秒遅れて、二位でゴールイン、だな」
「まっ……」
ぽてっ、とエレミアも地面の上に倒れ伏した。
「負けた……のじゃ……」
「よーしよしよしっ、よくがんばったねっ!」
「わんっ! わんわんわんっ!!」
歌菜は輝くような笑顔でエルを見上げ、金色の髪を両手でわしゃわしゃなでまわす。
「これで、またパラミタ一の有名人に一歩近づいたよっ!」
「わんわんっ!!」
「イケメンにもモッテモテになれるよっ!!」
「わんわ……イケメンにはあまりモテないで欲しいな……」
「今日は付き合ってくれてあんがとねっ、エルさんっ!」
歌菜はエルの首に腕を回して、ぎゅっ、と抱きついた。
「わっ……わお―――んっ!!」
「ほーらレイ、カリカリしないの。せっかく歌菜ちゃんが喜んでるんだから」
ラムゼーは端正な顔をほころばせて、ブラッドレイの肩を叩いた。
「しかしっ……いくらなんでもエルとくっつき過ぎだろう……?」
「そーゆーイベントでしょ? 妬かない妬かない」
そうだ、と言って、ラムゼーはブラッドレイの頭を両手で撫で回し始めた。
「……なんだよ、リヒャルト」
「歌菜ちゃんの代わりに褒めてあげよう。……よしよし、頑張ったね」
「……やめろよ、髪がめちゃくちゃになる」
不機嫌そうに言いつつ、ブラッドレイはラムゼーの手を振り払おうとはしなかった。
「くそう……悔やんでも悔やみきれん……」
鳥居におでこを押し付けて顔を伏せたまま、エレミアはぼやいた。
「まあまあ、ミアと駆け回れて、俺は結構楽しかったよ? 元気出して、こっち向いて?」
ぽん、と優しく肩を叩かれて、エレミアはふと振り向いた。
「まあ……そうじゃな……。セトやシュルツや茜と思いっきり遊べただけでもふぎゃあっ!?」
振り向いた先にあった、懐中電灯で下から照らされたセトの顔を見て、エレミアは悲鳴を上げた。
「どう? 驚いぐはっ!?」
鼻面に正拳突きを叩き込まれて、セトはふらりともんどりうった。
振りぬいたエレミアの拳が、ふるふると小刻みに震える。
「よりにもよってわらわを脅かすとはいい度胸じゃのう……?」
かっ、と目を見開いて、セトの胸倉を引っつかみ、エレミアはあらん限りの声で叫ぶ。
「元はと言えばお前が肝試しなんぞに誘うから、こんなひどい目に遭ったのじゃぞ! 分かっておるのか、こンの……ッ、馬鹿たれがぁぁぁぁ―――!!」
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