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【2019修学旅行】闇夜の肝試し大会!?

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【2019修学旅行】闇夜の肝試し大会!?

リアクション


鳥居前 〜最恐決定〜
 スタート地点である鳥居の前には、ゴールした生徒たちがざわざわとひしめき、口々に肝試しの感想を言い合っていた。
「みなさーん! 無事ゴールした方はこちらでチェック受けてくださーい! 濡れちゃった方には着替えの浴衣とタオルを用意してまーす! 温かいお茶もありますよー!」
 クレアが声を張り上げ、鳥居の脇に机を置いた涼介が、ゴールした生徒たちをチェックしていく。
「おおむね帰ってきたな。けが人も特になし……この辺は、藍澤たちの手柄かな」
 リストを確認して、涼介は満足げに頷いた。
 またひと組、顔を蒼くしながら、カップルがひと組帰ってきた。神童子悠と鳳凰院輝夜のペアだ。
 カルキノス・シュトロエンデが、ゴールした二人に声をかける。
「すまん、ちょっと肝試しの感想を聞かせてもらえるか?」
「え、ああ。いいよ」
 カルキノスが喋りかけたことで、輝夜は悠とつないでいた手をおずおずと離そうとしたが、悠はその手をぎゅっと握って離さなかった。
「今回、一番怖かった脅かし役は誰だった?」
「えー……そりゃ、もう」
 悠は輝夜と顔を見合わせた。輝夜が、なにも言われずともこくこくと頷く。
「えーっと、大池を渡りきったところで落っこちてきた、長襦袢のひと」
「ああ、いきなり落っこちてくる、血まみれの幽霊だな?」
「……血まみれ? いいや、水にぬれてはいたけど、血は出てなかったよ? ほら、抱きつかれたけど、俺の身体に血なんかついてないだろ?」
 カルキノスは怪訝な顔をして、ちらと輝夜のほうを見た。輝夜もこくこくと頷く。
「私も目の前で見たけれど、血なんかついてませんでしたよ? 別の人では?」
「……うーん、それが、大池の幽霊は見る人によってちょっとずつ姿が違ってなあ……」
「え……それって、まさか本物……?」
 さっ、と顔を青ざめさせた輝夜に、カルキノスはいやいやと首を振って見せた。
「いいや、主催者にきちんと確認してある。その幽霊は銀枝深雪、れっきとした参加者だ。……だが、よほど手の込んだ細工でもしているのかな」
 カルキノスは、別のカップルに意見を聞いていたダリル・ガイザックに声をかけた。
「なあ、銀枝・シルヴァンのペア、どんな感想が来てたっけか」
「あの二人か? 人によってまちまちだ。額から血をにじませてしがみついてきたと言うやつもいるし、血だらけでふらふらしながら追いかけられたと言うやつもいる」
 ダリルは、ボードに挟んだメモ用紙をめくりながら言った。
 メモ用紙にはほかに
『小鳥遊美羽へのコメント……ラルフが一番恐ろしいって言ってました。私は、恐ろしくはないけど、撮影できないのがとても悔しかった。羽入勇』
『藤原優梨子へのコメント……もうお化けなんか怖くねーよ。この世で一番怖いのは人間なんだな、思い知った。鈴木周』
 などが書かれていた。
「今のとこ、小鳥遊、藤原、銀枝辺りが横並びだ」
 ダリルの言葉に、カルキノスが頷いた。
「だな、最終的な判断は、ルカたち実地調査組に任せるしか……」
 カルキノスが言ったとき、【肝試し妨害コンテスト勝手に実行委員】実地調査員の、ルカルカ・ルー、五十嵐 理沙、セレスティア・エンジュが、転がるように鎮護の森から抜け出してきた。
「おうルカ! 丁度良かった、脅かし組で一番怖かったのは……」
「主催者! 救急車―――ッ!」
 ルカルカが、カルキノスを跳ね除け、涼介に向かって叫ぶ。
「な、なんだ一体!? 誰かやばいのか!?」
「大池のとこに、真っ赤な襦袢を来た死体がぁ――――っ!」
「何ィ―――――!?」

 その後、参加者総出で助け出された銀枝深雪は、あまりに凄惨な有様で生徒数名を卒倒させたものの、有志の生徒によるヒールのおかげもあって、救急車を呼ぶこともなく、傷一つ残さず回復を遂げた。
「あはは、ちょっと張り切りすぎちゃいました。頭って少し切れただけで、どばどば血が出るんですね」
 意識を取り戻すなり、のんきに笑った深雪は、満場一致で「もっとも参加者を恐怖させた脅かし役(いろんな意味で)」の称号をもらうことになったのだった。

 おしまい。

 

担当マスターより

▼担当マスター

望月 桜

▼マスターコメント

 ほとんどの方、始めまして。
 ほんの一握りの方、お久しぶりです。
 望月 桜です。
 初期の頃に一度マスタリングを担当したきりですのに、覚えていてくださった方が幾人もいらして、感激しました……!
 ありがとうございます!

 ……さて、まず今回のリアクションについて、三点の補足を。

 まず一点目、
 今回、文章量が多いため、一ページ目に、各章に登場するMCとLCをまとめた目次をお付けしました。
 コマ切れに読んでも、とりあえず理解できる仕様になっておりますので、ご興味のあるところだけ抜き出して読むことも可能です。
 よろしければご活用ください。

 二点目に、
「絵馬に書く願い」についてですが、せっかく書いていただいたのに、リアクション中での描写は無いと思います。
 実はこのシナリオには、ご褒美として称号を受け取れる条件があるのですが(おそらく、皆さんがお考えのとおりのことを成したグループに配られています)、絵馬に書く願いは、その称号の内容を決定するためのものです。
 つまり、絵馬に「世界平和」と書いたPCさんが条件を満たすと「ピースメーカー」の称号をもらえる、といった具合です。
 なので、絵馬の願いがリアクション中で明示されていないのは不都合ではございません。
 ご了承ください。

 最後に三点目ですが、
「妨害に注意する方向」についてです。
「妨害に注意する方向」は、トップでゴールする人(グループ)はどこか?
 を判定するためのものですので、リアクション描写内、特に肝試しを楽しみたい人たちにとっては、有利に働くことはあっても不利に働くことはありません。
 よって、リアクション内でカップルたちが「警戒してない方向からの妨害」を切り抜けられているのは不都合ではございません。
 重ねてご了承ください。

 最後に、私のシナリオで活躍する(描写量を増やす)コツを、蛇足ながら書き添えておきます。
 私のシナリオには、明確なオチやお話のあらすじがほとんどありません。
「こういう風に遊んで欲しい」というテーマがついた、場所があるだけです。
 いうなれば、テーマパークのようなものでしょうか。
 皆さんは、その決められたテーマの中で、自由に遊んでいただいて構わないのです。

 ですが裏を返せば「ここへ行けば、物語の本筋へ食い込めるぞ」というような筋も、ほとんど存在しません。
 なのでリアクションでは、かけて頂いたアクションよりも「キャラクター設定」が重要になってきます。
 キャラクターの個性や特徴がきちんとあれば、それにマッチする個性や特徴を持った別のキャラクターや、出来事と、どんどん絡ませます。結果、出演シーンが増えてゆき、描写量も増えます。
 アクション内容は、「どう行動するか」を書くというより、「こういう行動をすることで、キャラのこういう個性を演出します」といった、キャラクター性をアピールすると思って書いていただくくらいが、私のシナリオではちょうどよいです。
 もちろん、シナリオのテーマからは外れない、というルールの中でですが。
 今回のシナリオの中では、桐生円さんや藤原優梨子さんがいい感じでしょうか。
 キャラクターの個性をきちんと設定した上で、その個性を生かすようなアクションをしていただくと、とっても動かしやすいのです。

 そんなこんなで、長々と失礼いたしました。
 また、次のシナリオでお会いできることを祈っております。

※追記
 島村 幸さんのLC、ガートナ・トライストルさんの表記名が間違っておりましたので、訂正させていただきました。島村さん、申し訳ございませんでした。
 キャラクターの関係設定を見落としていたために表記した、不自然な自己紹介シーンを修正いたしました。描写に戸惑われた皆様、申し訳ございませんでした。