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年越しとお正月にやること…アーデルハイト&ラズィーヤ編

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年越しとお正月にやること…アーデルハイト&ラズィーヤ編

リアクション

 初詣に訪れ、まずこれをやらねば! と運試しにおみくじ売り場に特攻したウィルネスト・アーカイヴスは、その結果に身体を震わせていた。
「おかしい、何故この俺様が…!」
「すごいな、最凶とは…」
「ヨヤ、お前はどうなんだよ…って大差ねえ! 大凶!」
「ひっどぉーい、シルヴィットが超凶なんて!」
 その中で、一人悠然と小吉をせしめたミーツェさんである。
「ねえ、これって食べられるモノ?」
「まあ、運試しもなにも、今年1年どうなるかは分かっているんだがな…」
 ヨヤは3人を眺めながら、今年もまた苦労しそうだという思いを確信していた。
 
「うっは、凶や」
「ご主人様、おみくじというものは確立の問題ですから、気にされない方が」
 おみくじに大げさに嘆く七枷 陣に、小尾田 真奈は気休めを言う。
「わかってんやけどなあ、これに一喜一憂するのが日本人の国民性やからなあ…」
 まあええわ、と陣はおみくじをさっさと枝に結び付けてしまった。
「ちゃっちゃと参拝して、帰ってあったかい布団にもぐりこもーっと」
 
「ブレイロック、ブレイロック!」
「どうした?」
「おみくじが、吉と書いてありました!」
「俺は…凶だぜ…」
 ごつい身体を縮めて、小さな紙切れに憂うブレイロックに、ころころとハーレックは笑った。
「先ほど聞いてきましたが、よくない結果が出たおみくじは、神木に結びつけるとよいそうです。利き手でないほうで結べば、困難を達成するとかでよい意味に転じるとか、縁を結ぶということにもなるとか」
「いくつあるんだ、ひとつにせんかい」
 ぼやきながら、楽しそうなハーレックを見るのも彼は楽しいのだ。
 
 木のうろで一夜を明かした幸とガートナは、空京の神社に訪れてゆっくりと散策していた。
 カップルや夫婦も多く、なんとなくいつもより自分達もくっついてデートも楽しむ。
 おみくじは凶だったが、ガートナがそれを引き取って木に結び付けてしまった。
 その後はがらがらと鈴を鳴らす音に引かれて、参拝もした。
「ずっと貴方と一緒にいられますように…」
「君の一年が名通りに幸多きものでありますように…」
 手を合わせて一年のことを祈る。つぶやいたセリフに二人とも顔を見合わせた。
「お互いのことしか祈っていませんな」
「それこそお互い様だ、幸せにしてくれるんでしょう?」
 あなたが言ったみたいに。と幸は笑った。
 
「んー、まだがんがんいってる気がする」
 りんご飴を買ってもらいながら、彼方 蒼はちょっとぐらぐらしていた。流石に除夜の鐘からずっとつき合わせて初詣に来たのは、子供の蒼には厳しかったようだ。おんぶをしてやるという左之にいちゃんの申し出を無邪気にことわって、真に負ぶさっていた。
 おんぶしてもらっているうちに、蒼は真の背中で眠り込んでしまう。
「真、おみくじ引こうぜ」
「うん。………………………………………………………………………ナニコレ?」
 おみくじには、超最大凶、とあった。二人は思わず青ざめた。
「蒼には内緒だ、吉くらいっていっとけ。にーちゃんのため、とかいって超最大吉とやらが出るまで引きまくりかねん」
「う、うんそうする…兄さんは引かないの?」
「まあ、運命共同体ってこった、ちったあ厄落としになんだろ」
 
 
 がらがらと鈴を鳴らして、ルカルカと真一郎は抜からず初詣参拝をする。これをしないと、ちゃんと一年が始まった気がしない。
「(どうかこのまま幸せでありますように。世界が平和になりますように。戦争がなくなりますように)」
 いろいろなことを、立て続けにお願いをしてみる。ふと真面目な顔で手を合わせている真一郎を見上げた。
「何をお祈りしたの?」
「まあ普通に、今年もお願いしますとだけですよ。ルカルカは何を?」
「ルカルカ? えっとねーそれはぁ。秘密っ☆」
 あはははは、と笑ってごまかした。いくつかの願いにまぎれていても、照れくさいものは照れくさい。
 おみくじは、ルカルカが末吉、真一郎が中吉だった。
「可もなく不可もなく、かな?」
 しかし二人でいられるなら、おみくじの結果がどうあろうと、二人には多分関係はないのだった。
 
「なんだかこうしてると…親子みたいだねぇ。それに…手、暖かいね!」
 遠野 歌菜と譲葉 大和の間で二人と手をつないでいるラキはごきげんだった。これならばまいごにもならないし、一石二鳥だ。
「そうだね、楽しいね!」
「それはよかったです、ずっとこうしていきましょうね」
 参拝でも、歌菜はこの幸せが続くように祈り、大和も二人の幸せを願い、ラキもまたこの幸せをずっとと思うのだ。
 おみくじを引くと、二人とも中吉と出た。
「おそろいだね!」
 にこにこと満面の笑みを浮かべるラキに、二人もまた幸せをもらうのだった。
 
「すごい、超最大吉だ!」
 おみくじをひらひらさせて喜ぶミレイユ・グリシャムを、保護者二人が出迎える。
「よかったですね、私達もおみくじをひきましょうか」
 ミレイユはそれを止める。
「いや、ひいちゃダメです、下手に引いて凶とか出ちゃったらいやだもの。このすごい吉を分けましょう」
「それもいいですね、ではミレイユにあやかるとしましょうか」
 うむ、とデューイもうなずいた。
 
「畜生、凶だったか」
 余計ににんまりした紅に、いやな予感のする鈴倉 虚雲である。
「僕はまあ、吉です。だから、僕といれば大丈夫ですよ、いろんな意味で」
「だからお断りだっつってんだ!」
 もし結果が逆だったとしても、べったりと張り付いてくる予感がひしひしとするのだった。

「(…胸が大きくなりますように…)」
「今年1年面白ぇことがありますよーに」
「(玲奈が少しでもおとなしくなってくれればな…)」
「皆怪我なく過ごせますように」
 仲良く並んで、心の中で祈ったり、普通に口に出して祈ったり、如月 玲奈達はさまざまに手を合わせて1年の無事を祈る。
「おみくじもひいたらどうだ?」
「うん。………って……大凶!? …うわあんおねえちゃん!」
「だ、大丈夫よ! 気にしなくていいのよ!」
 葵は泣きついてきた玲奈を抱きしめた
「…葵おま、胸で玲奈が窒息してる」
 ジャックが冷静に突っ込む。なにか賭けていたのかも知らないが、いいことは気にしても、悪いことは気にしなければいいのに。
 
 エヴァルト・マルトリッツはかなり多めに賽銭を入れて、ちゃんと2礼2拍手1礼で手を合わせた。
 ミュリエルも同じように手を合わせて参拝する。ロートラウトとデーゲンハルトは彼らの見よう見まねで、ものすごく横を見ながら手を合わせ、礼をする。真似をすることだけを考えて、とくに望みは考えていない適当さだ。
「(お兄ちゃんのお嫁さんになれますように)」
 エヴァルトは無難にみんなの健康息災を願っているが、ミュリエルはきっちりそれに自分の望みも追加している。
 彼女なりに一生懸命なのである。エヴァルトはぎゅっと目をつぶって、じっと祈ったままのミュリエルに声をかけた。
「いええ、なんでもありませんっ」
 顔を真っ赤にして隠す彼女に、エヴァルトは笑った、悪人顔で。
 そしてその悪人顔に、ミュリエルはぽうっとなるのである。
「おみくじは、俺は吉か」
「ボクは…うわあ、なんかすごいよ。超最大凶だって、めっずらしー」
「我は、超凶とな」
 ミュリエルは、自分のおみくじをみつめて固まっている。
「ミュリエルちゃん? ありゃ、最凶。気にしちゃだめだよー」
 そのおみくじを貰い受けて、エヴァルトは木の枝に結びつけた。
「これでよし、だ」
 
「うひゃ、やりぃ。超最大吉、だってさ!」
 紗月はおみくじを見て思わずはしゃいだ。
「わあ、すごいね! 私こんなの初めて見るよ!」
「まあいろいろ吹っ飛ばされたり叩きつけられたりしたけどな、これで1年オッケーな気がしてきた!」
「おみくじがよくてもな…」
 アヤメが冷静に突っ込み、凪沙に反論をくらう。
「夢見るぐらいいいじゃないの」
「そうだそうだ!」
 生まれついてからまともに夢なんかもてなかったアヤメは、そんな二人にふと、微笑を浮かべているのを感じた。
 
 葉月 ショウは参拝で力いっぱい祈っていた。下心含みだが、まじりっけなしの本気の願いである。
「気兼ねなく思いっきり冒険ができますように。いろんな意味で」
 アクアとガッシュも、下心こそないが、ショウに負けない本気の願いである。
「今年三人怪我なく過ごせますように」
「友達がいっぱいできますように」
「さて、おみくじをひくぞ」
「中吉だね、お兄ちゃん、きっと願いはかなうよ」
 
 大福が入った袋を提げ、手にも持ってかじりつきながら、ケイラと響子は参拝をしていた。
 ケイラのおみくじは末吉だった、悪いわけではないけれど、気を引き締めようと念入りに手を合わせている。
「…自分の周りの人が幸せでありますように、…楽しい学校生活が送れますように」
 響子のおみくじは吉だったがあまり気にかけない、そんなもので1年が決まるわけではないかと思うのだ。
「ケイラがしあわせでありますように」
 まだしばらく祈り続けているケイラも、やがて気が済んだのか顔を上げた。
「二人分の願いは、もういいの?」
「うん、今年も1年よろしくね」
 
「吉でござる! きっとこれは巫女服を思う様所望してよいという神のお告げでござるよ!」
「わたくしにも着ろと仰るのかしら? いっぺん死んで見ますか? その吉を大凶としか読めなくして差し上げますわ!」
 はしゃぐ坂下 鹿次郎を雪が容赦なくボコボコにしているのを横目に、鹿之助は手を合わせて参拝をする。
「…我に七難八苦を与えたまえ…」
 1年の頭くらい、もっと楽しいことを祈ればいいのに、本当に世渡りの下手な武将ですこと。
 そう思いながら雪もまた祈る。おいしいものが食べられますように。
 しかしきっちり『BAKAはくたばりますように』と祈っているあたり、彼女も苦労しているのだ。
 
 
 広場には片付けの手伝いをするものや掃除に専念するものなど、何人かが残って動き回っていた。
 その中に、掃除ではなく相棒の機嫌をとるために駆け回っているエル・ウィンドがいた。
「ホワイト、機嫌を直してくれないかな、ごめんってば」
 うっかり心の中で『白い悪魔』って呼んでしまったのがばれたんだろうか?
 なんにも答えてくれない彼女に、エルは自問して心当たりを探る。
 反省すべき所…うーん、正直いっぱい心当たりがあった。ここはもうひたすら謝り倒すしかないのか!?
 そうして追いかけているうちに、目の前にいきなり神社が現れたのだ。
「なんでこんなところに神社?」
「こんにちわ、いやあなんとなく盛り上げようかと思って、作ってみました。ご利益は多分ないです、気持ちだけです」
 神社は3Dだった。ヒパティアが巫女服で、フューラーも神官服、にゃんこのピート君まで招き猫としてお目見えし、おみくじをどうですかと差し出された。あとでプリントアウトしてくれるらしい。
「ほんとうにランダムですから、何が出ても恨まないでくださいね」
「ねえホワイト、おみくじを引いてみようよ」
 いい結果を引いて、機嫌を直してくれることを期待してエルはとにかくくじを薦めた。
 ホワイトは吉を出した。しかしエルが引いたものは超最大凶なるとんでもないくじだった。
 がーん、と正月早々へこみっぱなしのエルに、とうとうホワイトは笑いを浮かべた。
 もう、十分反省したでしょうか、と思ったのだ。女癖の悪さやお馬鹿なところは、反省したって治りそうにはないでしょうけど。
「あなたには私に言えない事がたくさんあると思います。でも私にもいつか、何をしているのか教えてくださいね」
 
「わー! 初詣に行ったのに、うっかりおみくじを引き忘れてきました…!」
「すまん、そんなに引きたがっていたとは気づかなかった…」
 朱宮 満夜は初詣からイルミンスールに戻って、初めて自分の失態に気がついた。徹夜で見張りから初詣に向かったのは、いくらなん
 でも強行軍だったようだ。
「さすがに今から戻るのは無理だな…」
 しかし諦めて戻ってきた広場に、3Dの神社ができているのを発見した。
「こ、これは何!?」
「ようこそ、バーチャル神社へ」
「霊験あらたかではまったくありませんが、気持ちだけでもおみくじをどうぞ」
「ありがとうございます」
 喜び勇んでくじを引くが、満夜はすぐにぴたりと停止した。
「…でも、大凶…」
「………新年早々、オチがついたか」
 
 武神 牙竜たちは四方天 唯乃たちと共に、広間の片づけをしていた。力仕事を率先して引き受けてくれた彼らに感謝して、彼女はこたつを出してきて一息入れようとしていた。
「大体終わりましたわね」
「そうだな、立つ鳥跡を濁さずでなければ」
 女性陣は泊まったが、男性陣は締め出された部屋をもきちんと片付けた。老君のほうは、ここにおなごが集まっておったか、と鼻の下を伸ばしていたとかいないとか。
「だからこのエロジジィ! せっかく掃除した部屋で書初めなんかすんな! 墨がとんだらどうすんだ!」
「うるさいの、1年の計は元旦にありじゃ。これをせずして始まった気がせんわ」
「ちゃんと新聞紙をひいていただければ大丈夫だと思いますよ、ところで何を書かれるのですか?」
「…ろくでもないことですよ! エロジジィ喋るな!」
「ふふふお嬢さん、『煩悩大散華!!(エロス・ビッグバン!!)』じゃ!」
「…このジジィ、さいってー」
 暖かな眼差しから一転、絶対零度の氷の視線を老君に突き刺す唯乃である。
 
 
 徐々に人の減っていく会場を見渡しながら、フューラーはヒパティアと話している。
「今回も面白かったねえ」
「そうね、一つの目標にあれほど一生懸命になる人々は初めて見ました」
「さ、僕らもおみくじ、ひいてみようか」
 彼女が取り出したボックスに手を突っ込んで、おみくじを一枚つかみ出す。
「私も、どうかしら」
 ヒパティアも取り出したおみくじを覗き込んでえへへ、と照れ笑いした。そんな表情は一体誰から学んだのだろう?
「大吉だわ、多分いいことばかり書いてあります。完全にランダムにしたのに、私にも運があるのかしら」
 フューラーもつられて笑った。彼がぴらりと取り出した紙切れも、彼女はその結果を知らないものだ。
「ぼくも大吉だ、しあわせだね。年の初めにいいことがあると、1年いい気持ちってのは嘘じゃないね」
「そうよ、ずっと大吉を更新しつづけられる気持ちなの。毎日どころじゃないわ、毎分毎秒、ナノセカンドで」
 AIである彼女も、神を信じている、信じられる。
 カオス理論とランダム制御とことばを作ったかみさまたちが、彼女にずっと不揮発性の幸せをくれているからだ。

担当マスターより

▼担当マスター

比良沙衛

▼マスターコメント

 今年もよろしくお願いいたします。
 大幅遅刻申し訳ありません、その節に関しまして、多方面にご迷惑をおかけいたしました。
 二月に差し掛かってしまいました、旧正月…。
 
 おみくじは、掲示板に書き込んでいただいた方を全て取り上げることができませんでした。アクションにおみくじ、もしくはそれに類することが書かれていた方、掲示板におみくじ目的で書かれたと明確に判断できる方のみ採用しています。
 なので、おみくじ目的で掲示板に書き込んだのに、取り上げられていないよという方、申し訳ありません。
 自分の判定は非常に甘い方だと感じています、おもしろそうなら可能な限り採用したいと思うからです。
 こういった雑談などは、できる限り書いていきたいのですが、本筋とは外れた、無くてもかまわない部分というでもあるので難しい所ですね。
 お正月競技に関しまして、ちょっと参加人数に偏りがあり、なんとかしようとやってみた挙句一部どうしてこうなった感が…。
 考えないで下さい、感じてください…