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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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第10章 冷たい牢獄

「水竜の他にも誰か捕らわれているのかもしれないわね」
 施設の外で陽動をしている生徒たちにの協力を得て、光学迷彩で潜入したアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は地下の牢獄へ向かっている。
「それにしても薄暗いわ・・・」
 目を凝らして進んでいると、背後に何者かの気配を感じた。
「(誰かつけてきているわね・・・・・・)」
 ピタッと足を止めて振り返ると誰もいない。
「変ね・・・たしかに誰かいると思ったんだけど」
 前へ向き直ろうとした瞬間、後頭部に鉄の塊がごりっと当てられた。
「―・・・貴様、そこで何をしている」
 侵入者を捕縛しようと、ゴースト兵が機関銃の銃口をセレスティの頭に向けている。
「何で追ってこれたの・・・」
「水路に姿が丸見えだ」
 セレスティの姿が水に映し出されていたため気づかれてしまったのだった。
「そう・・・それは気づかなかったわ!」
 振り向き様に高周波ブレードの切っ先を向け、轟雷閃の雷の気を纏わせ亡者の首を斬り飛ばそうとする。
 刃を素手で受け止め、雷撃で身体を焦がしながら相手がニッと不気味に笑う。
「何がおかしいの」
「水場でそんな技を使うとはな」
「―・・・水・・・きゃぁああっ!」
 水路の激流で水浸しになっている場で雷系の技を使ってしまい、少女自身も感電してしまった。
「くぅ・・・」
 痛みに耐えながら立ち上がると、いつの間にかゴースト兵たちに囲まれていた。
 セレスティを見つけた兵が無線機を使い、仲間を呼び寄せたのだった。
「もう貴方たちには負けない!負けてたまるもんですかー!!」
 剣を無茶苦茶に振り回し、襲いかかる亡者たちを倒そうとする。
「はぐぅっ!」
 轟雷閃で傷を負わせた兵とは別のやつに腹部を銃口で殴りつけられ、血を吐き出してしまいそうになる。
「はぁ、はぁ・・・・・・まだ・・・・・・」
 髪を掴まれ拘束されそうになったセレスティは服に忍ばせておいた紙ドラゴンを展開し、逃れようと抵抗しようとするが、ドラゴンを手の平に乗せている片手をダガーで貫かれてしまう。
「ぅう・・・ぁああ、あぁあああ゛ーー!!」
 悲痛な悲鳴が地下内に響き渡る。
「お前のような無謀な輩がこの前も潜入してきたぞ」
「え・・・」
「無謀にも十天君のお1人であるあの方を捕まえようと、ここへ追ってきた警察が消し炭にされたんだよ!」
「酷い、何も罪もない人を・・・」
「あぁそうそう、貴様が来たら復讐しようと企んでいるだろうから警戒しろとおっしゃっていた。この剣以外にもどこかに武器を隠してないか調べろとな!」
「やっ・・・・・・触らないでっ!あぁ・・・・・・いやぁ・・・・・・」
 服をビリビリに破かれ、隠し持っていないか兵たちに調べられる。
「高周波ブレードだけか。こいつを簀巻きにして牢へ放り込んでしまえ!」
 目隠しをされ簀巻きにされた少女は地下の牢獄へ放り込まれてしまった。



「わぁー、待って待って!僕、抵抗しないから叩かないで!」
 兵に見つかったニコ・オールドワンド(にこ・おーるどわんど)は両手を挙げて降参のポーズをとる。
「(何かあったら怨みますよぉニコさぁん)」
 一緒に来たユーノ・アルクィン(ゆーの・あるくぃん)も共に捕まった。
「武器は?」
「この通り何も持っていないよー!」
 ニコはどこかに武器を隠し持っていないか兵に調べられた。
「何だこの本は?」
「ただの本だよ。それがないと夜眠れないんだよ、返してくれない?」
 一般書籍のカバーの本を奪われ、返してと頼む。
「さぁどうしようかな」
「いじわる・・・泣いちゃうよ?」
「知るか」
 無視され本を懐にしまわれてしまう。
「あぁっ!」
「今度は何だ?」
 兵が思い出したように大きな声を上げるユーノの方を振り向いた。
「えーっとですね・・・ニコさん、その本がないと夜も眠れないんですよ」
「それがどうしたというんだ・・・」
「しかも・・・ものすごーく夜泣きが酷いんです。施設内中に響いて皆さんの安眠を妨害するかもしれませんよ。上層部の方に怒られても知りませんよ?」
「う・・・」
 とっさについたユーノの嘘に兵は考え込んでしまう。
「(夜泣きなんてしないのに・・・)」
 ニコは一瞬ムッとした顔をする。
「仕方ない、これだけだぞ」
「わぁい、ありがとう♪」
 本を返してもらったニコはわざとらしいく大喜びした。
「え・・・そんなに縛るの?」
 ロープと鎖で簀巻きにされ、術が使えないように両手もぐるぐる巻きに拘束される。
「当然だ」
「(うぁあん、ニコさん!まずい、絶対にまずい状況ですってばこれ!)」
 心の中で叫びながら、ユーノは泣き出しそうな気持ちでいっぱいになった。



 捕まった生徒たちの牢獄に、今日1日の食事が運ばれてきた。
「ふむ、無駄な抵抗はしないでおこう・・・それにしても少しましな食糧は出ないのか・・・まぁ、これも貴重な体験ではあるがな」
 簀巻きにされたままの輪廻が、カエルの丸焼きにかぶりつく。
「なんだ、このいい香りは・・・」
 捕らわれた一部の生徒は、ただのカエルの丸焼きではなく、弥十郎によって調理されたつくねスープやハンバーグを食べていた。
 材料がなくなってしまったため、丸焼きを食べるはめになっていまった。
「カエルの丸焼きか・・・」
 運悪くカエルの丸焼きを与えられた真はため息をつく。
「椎名くん、俺のと交換する?」
 同じ牢屋の中に放り込まれているカガチがスープと交換してあげようと声をかける。
「いや、いいよこれで」
「遠慮しなくていいってば」
「そうか・・・じゃあ・・・・・・半分ずつ分けよう」
 与えられた料理を真とカガチは半分ずつ分け合った。
「どうして私だけこんな厳重なんですか!」
 何重にも鎖で巻かれている幸がギャァギャァと喚き散らす。
「あぁっ!?」
 暴れると電撃が流れる仕組みになっている。
「これじゃあ食べられないじゃですか・・・」
 しょんぼりと涙を流し、メガネを曇らせた。