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「暗き森のラビリンス」毒草に捕らわれし妖精

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「暗き森のラビリンス」毒草に捕らわれし妖精

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第6章 闇から闇へと・・・

「(闇世界の廃校舎と廃病棟で、姚天君と行動してたのよね?)」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は思い切って聞いてみようと話しかける。
「ジューレ・・・闇世界でラビアン・クイーン・・・えっとつまり、姚天君と一緒に行動してたわよね」
「あ・・・えぇ、そうですけど」
「どこで会ったの?」
「あいつ・・・ルフナに、勝手にオカルトサークル作ったとか言われて、廃病棟に連れて行かれたんです。そこで会ったあの女に、ルフナが声をかけて仲間に入れてしまったんです」
「最初は知らなかったの。姚天君だってことが」
 彼女が十天君の仲間だとまったく知らなかったのかどうか眉を潜める。
「名前は・・・あの野郎に無理やり自己紹介させられ・・・いや、自己紹介したときに知りました。最初はあんな目的があるとは知りませんでした」
「そう・・・ルフナもしらなかったのね」
「ただ・・・・・・」
「―・・・ただ?」
「ルフナが廃病棟へあのバ・・・姚天君が、1人で何かやっていることに気づいたみたいです。もしかしたら最初からそう思って、あいつから近づいたのかもしれませんが」
「なるほどね・・・。彼女の計画を知って阻止しようとしたのかしら」
 美羽の問いかけにジューレが頷く。
「姚天君の性格ってどんな感じだったの?」
「性格ですか・・・。―・・・・・・・・・あの女か・・・馴れ馴れしいクソババァだったな」
「えっ?」
 物静かな雰囲気から一変し、黒い呟きが聞こえた。
「―・・・あ、なんか・・・いきなり友達になろうとか思ってきましたね」
「なっ、なるほね・・・。うーん・・・あっ、姚天君のラビアンって偽名よね?」
「そうですよ。あの場所ではメンバー以外に、本名を名乗らないようにしようって姚天君が言ってきたんです」
「どうして・・・それは何時頃?」
「去年の秋頃ですね。たぶんその頃にあなたたちと会ったかと」
「私たちが廃校舎に行った頃ね・・・。計画を知られて阻止されないように、わざと偽名を使ったのかしら」
 丁度、美羽たちが廃校舎に来た頃、自分たちの存在を知っていたのではと考え込む。
「ピンポンパンポーン♪お知らせしまぁーす」
「なっ、何!?」
 突然のアナウンスに驚き、美羽はキョロキョロと辺りを見回す。
「邪魔者のルフナ・ロード・・・乱暴者4人集の長男、礼青のパートナー・・・ジューレ・ジャック、本城 雪吾さん。そして姚天君の敵、小鳥遊美羽さんとベアトリーチェ・アイブリンガーさん。あなたたちは大変危険人物ですので、毒草たちがぶっ殺しに参ります〜。ピンポンパンポーン♪」
 アナウンスが終了すると同時に、ザワザワッと葉が掠れ合う音が聞こえてくる。
「私たちを・・・!?自分たちにとって不都合な存在は、どうあっても消したいようですね・・・」
 ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)は苛立ちのあまり、歯ギリリッと噛み締める。
「どこ・・・どこからくるの!」
 周囲を警戒し美羽はブライトマシンガンの銃口を地面や壁へ向ける。
「そこね!」
 ベアトリーチェを狙う灰色の毒草に向かって銃弾を放つ。
 ズガガガッ。
 べちゃっと汚らしく潰れてしまい、魔法攻撃といえど彼女の前ではひとたまりもない。
「はぁ・・・なんとなく予想はしていたが、やっぱりこうなるわけか」
 雪吾は懐から2丁の拳銃を取り出し、必要にベアトリーチェを狙う蔓を撃ち落とす。
「酷いわね、本気で私たちを!」
 パートナーの身体を抱えて美羽は草の上へ転び、天井から襲いかかる黄色の毒草を撃ち抜く。
「闇世界であの女のやり方を見てれば、予想出来ることだけどな・・・」
 片方の銃を咥え、噛み砕こうとする毒草を氷術で凍てつかせ、もう片方で銃弾を撃ち粉々に砕く。
「え?・・・何?」
「・・・いえ、まぁ同じ部類のやつは、同じようなことを仕掛けてくるってことです」
「そうね、あまりそう考えたくなかったけど。この状況じゃあそうかもね!」
 鋭く言い放ち美羽は、マシンガンで残りの数十匹を一掃する。
「片付いたわね。ベア・・・今、煎じたやつを飲ませてあげるからね」
 倒した毒草を煎じ、ベアトリーチェに飲ませる。
「少し良くなった?」
「ありがとうございます美羽さん」
「歩ける?」
「はい・・・」
 ベアトリーチェは差し出された手を握り立ち上がり、石版部屋へ向かう。


「この部屋・・・、何かあると思うんだけどな」
 3階の空き部屋にいる椎名 真(しいな・まこと)は、博識やトレジャーセンスなどのスキルで床や天井を調べている。
「壁も変わったことろないみたいだしな」
 手で触れながら怪しいところがないか見る。
「なぎこさん、大丈夫かな・・・。何も関係ない実験とかされていなければいいけど」
「何か見つけましたか?」
 この部屋の真下のフロア、石版部屋で謎解きをしていた橘 綾音(たちばな・あやね)が見に来た。
「小さな丸い穴・・・これ、もしかしてこの下の階の石版の謎と関係あるのかな?」
「穴ですか?」
 綾音が覗いてみると、真下にある石版部屋が僅かに見える。
「下に何か落とすんでしょうか」
 覗きながら穴から下のフロアに何をすればいいのか考え込む。
「落とす?」
「えぇ、ただ空いてるだけとは思えません」
「何かを・・・か。陣さんは何か分かったかな。ここじゃ携帯がつながらないし、穴に向かって大声で話しかけたら敵がくるかもしれないよな。石版部屋へ行ってくるか」
「今のところ敵はいないようですから、ここで待ってますね」
 綾音を残し仲間が起動してくれた装置に乗り、陣がいるフロアへ降りる。
「たしか・・・この装置の隣だったよな」
 真は部屋の扉を開け、陣に何か分かったか聞きに行く。
「私も気になったんで来てしまいました」
 3階で待っていた綾音も石版部屋へやってきた。
「オレなりに考えてみたんだけどな。まず穴の空いた玉をくぼみに入れて・・・、そんでその両隣のくぼみに小さな玉を入れるっと」
「次はどうなるんですか?」
「くぼみある丸い玉を・・・くぼみを下にして。小さな玉の上に被せるように乗せると、こんな感じでフィットすると思うんや」
 首を傾げて問う綾に、説明を続ける。
「残ったくぼみに黒牌を入れてる感じやね。最後に3階の空き部屋に、小さな穴にくぼみのない玉を入れて、墨蝋を溝に入れて水を黒く濁らせると完了!」
「うーん・・・」
 綾音と真が微妙そうな顔をする。
「たぶんだけど小さな子は、小さな玉のことじゃないかな?くぼみのある丸い玉が、大きい子だと思うんだ」
 石版を見ながらリーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)が言う。
「それでくぼみのない玉が、まん丸お月様。星は円の溝のことかな?他はちょっと分からない・・・」
「リーズ様、夜明けの太陽は穴の空いた玉では?」
 小尾田 真奈(おびた・まな)は指で石版の文字をなぞりながら説明する。
「真奈さん他は?」
「そうですね・・・夜の欠片は黒牌。星、黒く染まった・・・という言葉は、溝に墨蝋を入れて水を濁らせることかもしれません」
「ほとんどそれで正解だと思いますけど・・・」
「っていうと?」
 陣が綾音に聞き返す。
「大きな子が小さな子を潰しちゃっている感じがしますね」
「わぁー、陣くんプレスだね♪ちょこんていうかデンッだよね」
 リーズが冗談交じりに言う。
「やかましいっ、石版にそう書いてあるからそう思ったんだっつーの。謎々を作ったやつらの性格がそのまま出てるんじゃないか」
 彼女のいぢりに、陣はムッとした顔をする。
「黒蝋はくぼみのない玉・・・、まん丸お月様の間を挟んだ、残りの2箇所のところだと思います。星と星の間、つまり大きな子と小さな子・・・もう一つの大きな子と小さな子のことかと」
 綾音は2つのくぼみから、溝を流れる水の方へ視線を移して説明する。
「夜明けの太陽の言葉は、真奈の説明で合ってると思うから、たぶんこのフロアの真上に置くんやね」
「くぼみがあったからそこに置くんだろうな」
 真たちは天井の穴を見上げて確認する。
「とりあえず並べてみっか。リーズそのちっこい玉こっちに持ってきてくれ」
「これだね」
「そんでそれをそこに置いてくれ」
「こうかな?」
「んでちょっと片側持ってくれないか?」
 真とくぼみのある大きな玉を運び、小さな玉の上に乗せる。
「置いたよ」
 もう片側にリーズが置いた小さな玉の上に、綾音と真奈が大きな玉を運び、その上へ乗せた。
「くぼみのない玉を中央に」
「少し見上げる感じになるんですね」
 綾音は中央にまん丸お月様にあたるくぼみない玉を運び、小さな玉の位置を見て石版と同じような感じか確認する。
「穴の空いた玉を3階に置いてきたし。あとは皆を待つだけか」
 真たちは黒蝋と黒牌を持ってくる生徒たちを石版部屋で待つ。



「陣さんたちがいるところはここでしょうか」
 遙遠たちは扉を開けて石版部屋へ入る。
「おっ、セティングは終わったから、あとはヨウくんたちが持ってきてくれたやつを試すだけだ」
「謎が解けたんですね」
「5人でかるーく解いたっつーの」
「かるーくね・・・」
 リーズが傍らでぼそりと言う。
「これでなんとか他の階に行けるのかな」
 リアトリスの肩を貸り、エルは3階の空き部屋へ行く。
 黒蝋を持ってきた生徒たちは石版部屋へ、黒牌を持っている生徒たちは装置に乗り3階へ移動する。
「ふぅ、ようやくついたわ」
「途中で襲撃されたけど、やっとここまで来れたわね」
 泡と美羽たちも石版部屋へ入る。
「あら40分くらいで気化するのね」
 ハールカリッツァに持たせていた薬が、どれくらい持つか試していたローザマリアが気化した瞬間、作った時間からどれくらい経ったか計る。
「毒草のお茶、飲んでみない?一応薬として効くとおもうけど」
 来る途中に作っておいたお茶を、月実が剣の花嫁たちに手渡す。
「効果が持続するか飲んでみるといいわ」
 ローザマリアはハールカリッツァに飲むように言う。
「そうですね、あれから1時間経ちそうですから・・・。続けて飲んだ分のみしか効果がなさそうですけど」
「うぐっ、もの凄く濃い紫蘇の味が!」
 自分で入れたお茶を月実も一口飲んでみると、凄まじい味がした。
「これならなんとか飲めなくもないね」
 リズリットはお茶に、はちみつを入れる。
「私もはちみつを入れてみてもいいですか?」
「どーぞ」
 はちみつを受け取り、陽子もお茶を飲み能力が一時的に少し戻った。
「それじゃあ皆そろったところだし、黒蝋と黒牌を使って試してみるか」
 陣は黒蝋を遙遠から受け取る。
「陽太ちゃんさっき渡した黒蝋をあげて」
「はいどうぞ」
 透乃が陽太に綾音へ渡すように言う。
「皆さんありがとうござました」
 受け取った彼女はにっこりと笑う。
 2人は星に当たる場所に黒蝋を置く。
「蝋はまだ溶けないですね」
「みんなでいってみっか」
 陣たちは夜明けの太陽にあたる玉を置いた部屋へ行く。
「はい、見つけてきたよ」
「落として割ったりしないでくださいよ」
「何が起こるかどきどきするねっ」
 北都と歌菜、りをが陣に黒牌を渡す。
「この穴の上に置けばいいのか?」
 墨蝋を置くとじわりと溶け、そこからお月様の上へ流れ落ちる。
「何か下の部屋に変化があったのかな?」
「私も見てこよう、行こうサバト兄ぃ」
 石版部屋の様子が変わったかどうか見てこようと、北都たちが下の階へ行く。
「さっきまで明るかったけど、少し暗くなったね」
 部屋の中がどうなったか見に来た北都が辺りを見回す。
「見て!黒蝋が溶け始めてる!」
 りをの声に天井から黒蝋へ視線を移すと、墨牌が溶けた液がそれを溶かし始めている。
 陣がもう1つ墨牌を置き、ボタボタとお月様の上に流れ落ちると、部屋はさらにだんだんと暗くなる。
 最後の1つを置いて溶かすと部屋は真っ暗になる。
 それは部屋の中に闇が溶けて染み込んでいくような光景だ。
 ギギギィッ・・・。
 まん丸お月様の真上に真っ黒な、大きな扉が現れゆっくりと開く。
 扉の片側の扉は天使の柄、もう片方は獲物を狙う悪魔の絵柄だ。
「七枷陣・・・エル・ウィンド・・・十六夜泡、メイベル・ポーター・・・。姚天君さんがもっとも敵視する小鳥遊美羽とベアトリーチェ・アイブリンガー」
「影野陽太や緋桜遙遠と清泉北都もいますよ。孤島で邪魔をしてくたラルク・クローディスも・・・。くふふっ、モルモットのお友達の椎名真もいますね」
 趙天君と張天君の2人は、姚天君から渡されたデータを確認する。
「あら、彼らのパートナや、お仲間もいらっしゃるようですよ。アウラネルクを助けに来た見慣れない方たちもいらっしゃいます。データにとってかないといけませんね」
「さぁ・・・いらっしゃい。子羊さんたち・・・」
 彼らが足を踏み入れるのを、今か・・・今か・・・と待っている。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

えーっとシナリオ内では、午後くらいでしょうかね。
こんにちは、按条境一です。
せっかく午後なのに太陽の下・・・ではないですね、また屋内です。
屋内だらけで屋外出せ!と思われているような気がしないでもないですが、気のせいですね・・・きっと。
データは・・・いらっしゃる度、十天君たちに随時とられていると思われます。
しかも唐突でいろいろばらされたようですね。
やつの酷いカミングアウトと、乱暴者の4兄弟の長男ですか・・・。
種族・・・さぁ、なんでしょうね。

黒牌が位牌の形だったのはー・・・彼女たちなりのユーモアだったのかもしれません。
何の意味かですって?
さぁー・・・何でしょうね。

笑いなシーンが多々あるかもしれませんが、ストーリーの結果はシビアです。(おそらく・・・)

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。

【2010.5.21:修正させていだきました】
誤字の修正をいたしました。