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来訪者と襲撃者と通りがかりのあの人と

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来訪者と襲撃者と通りがかりのあの人と

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終章 


「どうもすみませんでしたぁ〜〜〜〜〜」
 皆は頭を下げた。
「払っていただけるものはね、払ってくださればいいですよ。ええ、ホントにね。スーパーバイザーにね、連絡する苦痛は店長ですから、仕方ありませんけどねっ!」
 グチグチと店長は文句を言った。当然だろう。
 一同は店長に詫びを入れ、倒れた裸族一名を残し、皆で店内を掃除する。
 壊れたものはショーウィンドウのガラス数枚とカウンター。あとは、テーブル数個と凍った床ぐらいだろうか。負傷者の三分の一は産業スパイの一味とわかった。結構な人数だ。包囲網を作って攫うつもりだったのだろう。
 残りの殴られた人間の保証はそいつらの会社にやらせるとして、今はこの店舗を掃除するしか皆にはできなかった。会社同士のやりとりは、ルシェールの父親の部下辺りがやるだろう。
 しかし、レンは自分の手で被害総額の計算をしておいた。
「契約者だからと言って特別ではない。自分のやったことには責任を持つ。それが当然のことだ」
「そうだ! 死ぬかと思ったぞ」
 如月はソルヴェーグの気配が堪えたようで、ルシェールをじっと睨んだ。
「これだけはやらせてもらう……ソルヴェーグさんとやら、邪魔しないでくれよ」
「あぁ、ご自由に」
 ソルヴェーグは薄く笑った。
 如月はルシェールのズボンを引き下ろすと、お尻をペンペンした。
「いたぁい!」
「それだけのことはしたんだぞ」
「……ぁっ! ひぁっ!」
 お尻を叩かれて、るシェールは声を上げた。
 開放されると涙をぐしぐしと拭いた。
「まあ、今回の騒動に巻き込まれても、なお入学の意思を失わないその意志や、よし!」
 ヴァルは言った。
 大事はなくて良かったとヴァルは笑う。
「ルシェール、これからお前は、お前とパートナーのたった二人という財閥の主となるのだ。まずお前が学ばねばならぬことは、相手を頼ることだ。相手を頼ることを知らぬ者は、誰からも頼られないのだ。ここにいるお前のパートナーは、お前よりもこの世界に詳しい。だからまず、お前はこのソルウェーグに頼ることを覚えろ」
「うん。俺ね、ソルヴェーグのこと、とっても好きだよ?」
「そうか」
「もっと、何かできるように頑張るの。えへへ♪」
「ああ、頑張れ。一人でなんとかしようとすることは、それはそれでいい。だが一人でできることなど、限られているのだ。買い物も、誰かと行った方が新しい視点で物を見つけられる。そんなもんだ」
 ヴァルは続けて「俺はお前を一人前の男として扱う」と言った。
 ルシェールはこくりと頷いた。
 キリカはルシェールにチョコレートを渡した。
「恐そうに見えますけど、心配してるんですよ」
「うん。ライオンおにいちゃん好きだよ?」
「そうですか、それは良かった」
 クールビューティーなキリカは優しく微笑む。
 ルシェールは雪解けの春が来たような気持ちになった。
「なあ、ルシェール。自分の身くらい自分で守れるようにしないとな、薔薇学ってアブナイ奴もいるからな……あいつみたいな」
 そういって、椿は変熊を指差した。
「気をつけろよ? あっ、そんな人ばかりじゃないぞ。頼りになる人いるからな。それよりさ、ツーショットしようぜ」
「え?」
「だって、遊びに行こうとしてもさ、薔薇学にあたしは入れないしさぁ。会えないから、写真欲しいんだよ」
「うん! いいよ。また会おうね。空京だったら、大丈夫かなあ」
 ルシェールは笑顔で言った。
 その笑顔を見ると、椿は不安になった。

(しっかし、薔薇学って男同士が……な学校だし、大丈夫なのかな? 可愛い子だし、心配だぜ。つーか、うちのやつが喜んで同人誌作りそうだ)

 椿はそのことを言わないことにした。不安がらせてはいけない。
「あのね、ご飯たべたい」
「お腹空いたんですかぁ?」
 メイベルは言った。
 そこにいたメイド衆は掃除を担当していたのだ。当然、メイベルも手伝っている。
「うん……それもあるけど。みんなで食べたいんだ。ご迷惑をかけたお詫びもしてないし。お礼もまだだよぅ」
 手ごろなレストランで食事をとルシェールは誘う。
「美味しいものを食べたいと思うのは、人としてごく普通のことですから。今回の事件はしかたなかったと思いますしねぇ。その誘惑にはあがらいがたいですから……と言う訳で、わたくしもご一緒させていただきますわ」
 フィリッパは笑った。
 セシリアはレシピを知りたくてこの店に来たようだ。しかし、教えてもらえるわけでもないので、今度店が再開されたらもう一回食べて研究しようと思っていた。
「いいですねぇ。これが終わったらにするですよ。手伝ってくださいですぅ」
「うん、手伝うよ」
「まあ、食事はいいけど。おじゃんになった、あたしのアイス一年分はどうしてくれるのよ?」
 横からヴェルチェが口を出した。
「え? そうなの?」
「そうよ。あたし、食わせなきゃいけない子、いっぱいいるのよね」
「うーんとね、うーんとね。俺のおこずかいで買えるかな。足りるかなぁ? ママンに頼んでみようかな」
 しばらく悩んでいたが、自分のやったことだからと納得して頷いた。
「わかった、俺、弁償するよ」
「約束しなさいよ」
「うん!」
「さて、私も帰るとしようかの。今日は大変な一日じゃったし」
「アーデルハイト様、なーんにもしてなかったですぉ」
 真綾は言った。
「小さなことを気にしていたら、大きくはなれないのじゃぞ?」
「ちっちゃなアーデルハイト様に言われるとは、心外ですぉ」
 真綾に言われ、アーデルハイトはいつかこやつに無理難題を押し付けてやろうと考えていた。
「早く帰って、エリザベートちゃんのおやつを届けたいですぅ」
 神代明日香はエリザベートのおやつを抱えて言った。
「さて、帰るかの」
「「はーい♪」」
 アーデルハイトにくっついて、明日香と真綾はイルミンスールに帰っていった。

 かくして、ルシェールは幾ばくかの知人・友人と、奇妙な縁とを得たのであった。

担当マスターより

▼担当マスター

黒織肖

▼マスターコメント

 ご参加いただき誠にありがとうございます、黒織肖(くろしき・あやか)です。
 アクションを開けた瞬間、みなさまのキャラが元気よく飛び出してきた気がしました。
 書いている間中、楽しくて楽しくて、あっという間に終わってしまった執筆でした。
 あんなことや、こんなこと。
 私の中の【腐】のエネルギーが、皆様のアクションで燃え上がりました。
 これからも、三角魔境とか、短パンとか、ニーソとか、チラリズムとか、筋肉とか、桃とか、桃とか、桃とか!!
 腐の追求をしていきたいと思います(あれぇ?)
 夏も近いですしね☆ 
 またのお越しをお待ち申し上げております。本当です。また会いたいですよ☆
 では、また!