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決戦 天沼矛!

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決戦 天沼矛!

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01:第二次防衛ライン構築


「皆に異論がなければこの戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)がこの第二次防衛ラインの指揮をとりたい。異議のあるものは言ってくれ」
 黒のオールバックに茶色い瞳、精悍で知的なシャンバラ教導団の戦部 小次郎がそういうと、賛同の声が次々に上がった。
「俺は異論はない。大岡 永谷(おおおか・とと)の名において承認する」
 黒のショートウェーブと黒の瞳、精悍で真面目そうな大岡 永谷が同調する。
「志方ないですね。志方 綾乃(しかた・あやの)異論ありません」
 薄茶色のロングウェーブと茶色の瞳の胸が大きくて優しそうな志方 綾乃が仕様が無いな、といった調子で同意する。
「東西分裂とか色々ある中、学生同士は協力し合えたらいいなと思います。ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)賛同します」
 百合園女学院の青のロングウェーブと金色の瞳、優しそうで真面目そうなロザリンド・セリナが賛同する。
 他は割愛するが、とくに異論も出なかったので第二次防衛ラインは戦部 小次郎の指揮下で戦うことになった。
「まず2次防衛線の中で接近戦を行う者と遠距離攻撃これは魔法攻撃含むを行う者、回復を専門に行う者とに分けて、接近戦を行う者達が遠距離攻撃を行う者達並びに回復を専門に行う者達の壁になるように、ちょっと前に位置取るように配置する。敵が来たら1撃目は合図を持って遠距離攻撃で斉射し、怯んだ所を接近戦を仕掛けて後は各自で敵を撃退するようにする。これが基本的な戦術だ」
「可能ならば「ここを通らなければ先に進めない」場所に陣取りたいですね」
 綾乃がそう言うと小次郎が
「となるとAブロックとBブロックの境のこの通路が一番いいだろう。Bブロックに侵入するにはこのルートを通らなければならんしな」
「そうね。なんとかやってみる」
「提案。機関銃陣地を作ってはどうだろう」
 黒のショートヘアと同じ色の瞳を持ち、眼つきがわるくて貧乏そうな三船 敬一(みふね・けいいち)が小次郎にそう提案する。
「こういう防衛戦では設置型の重機関銃を効率的に使った方が戦闘を有利に進められるからな。それに陣地があればそこを中心により組織的に防御が出来る点も良い」
「ふむ……承認する。機関銃を天沼矛本部に請求しよう」
「わかった」
 そして土嚢が積まれ機関銃が設置され簡易式ながら機関銃陣地が出来上がる。
 パートナーの白河 淋(しらかわ・りん)も陣地設営を手伝う。
「しかし今回の襲撃は色々と謎がありますね。味方に内通者でも居たのでしょうか? まあ単にレーダーの故障かも知れませんね」
「内通者がいた可能性は否定出来ないな。何しろ寺院だからな」
 小次郎はそうつぶやき作業をすすめる。

「【獅子の盾】のダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)だ。迎撃の本部との連絡ラインを確保したい。それから、同時に重要データの複製と重要物品のパラミタへの一旦避難を依頼する」
 ロングの青髪に同じ色の瞳知的で声がいいダリルがそう告げると天沼矛の兵士たちは敬礼した。
「【獅子の盾】がいらっしゃるとはなんと運がいい。了解した。委細お任せする」
「了解」
 そして重要データと重要物品がエレベーターを通してパラミタに運ばれていく。
「バリ、作って。二次と最終の間に。何個も」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)がその場の学生の指揮をして二次突破=最終とならないように戦線を構築していく。金髪のショートウェーブに金色の瞳で、胸が大きくてかわいいルカルカに指揮されていると何か違った喜びに芽生えそうであった。
 その指揮に従って二次防衛ラインと最終防衛ラインの間にテーブルなどが並べられた簡易の防衛ラインが出来上がっていく。
 その間にも二次防衛ラインに敵が接近しつつあった。
「じゃ私達は二次ラインに……」
 動いてない兵は居ないも同じだからと、そのまま二次線に援軍に行く。
「涼司君、後はお願い」
 ルカルカは、山葉 涼司(やまは・りょうじ)に精一杯の笑顔で言った。
「待て、なんだよ、その死ににいくみたいな爽やかな笑顔は。やめろよ」
「大丈夫。死なないよ」
 ルカルカは微笑んで振り返り、駆けていった。
「まだ大勢居るけど、とりあえず援軍よ!」
 ルカルカは士気に与える影響も考慮して叫ぶ。
「戦部、手薄な箇所はどこだ!」
 黒崎 天音(くろさき・あまね)が叫ぶ。黒の髪を後ろで束ねた緑糸の瞳を持つ、清潔で顔立ちが端正な薔薇学の生徒だ。
「あっちだ。あそこを頼む」
「了解!」
 天音は(単なる見学だったんだけどね……)と考えながらも敵に接近し、<先制攻撃>で<ドラゴンアーツ>を繰り出す。
 それは近くにいた機晶姫に命中するが、かすり傷程度にしかならなかった。
「……お前と出掛けると、どうも厄介事に巻き込まれやすい気がする。のんびり見学とはいかんようだな」
 溜息を吐きつつボサボサの黒髪をした赤い瞳の毛並みがよく精悍なドラゴニュートのブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)が武者人形を展開させる。
 だが武者人形の攻撃は鉢が刺した程度にも敵にダメージを与えられない。機晶ランチャーを打てるレベルの機晶姫やらヴァルキリーやらなのだから当然だが。
 だが隠れていた敵を見つけ出すことには成功した。
「ならば<その身を蝕む妄執>を受けい!」
 それはヴァルキリーの精神を蝕み、大ダメージを与えるとともに麻痺させる。
「くそっ、くらえ!」
 ポニーテールの黒髪、赤い色の瞳、髪が綺麗な一見美少女に見える美少年平等院鳳凰堂 レオ(びょうどういんほうおうどう・れお)が<三連回転式火縄銃>で敵全体を攻撃する。
 それは敵の生命力を一割程度減らすことに成功した。
 黒髪を坊ちゃん刈りにした茶色の瞳の地味で頼りなさそうな少年影野 陽太(かげの・ようた)は<ナゾ究明><防衛計画><ユビキタス>をフルに活用し、確実に仕留める必要のある敵戦力と布陣案を小次郎に進言する。
「どうでしょう?」
「なるほど。理にかなっている。見たところパイロットの方が錬度が低いな。その意味でもパイロットを集中攻撃していくべきだろう」
 陽太はそれを受けて音波銃を銃剣を持っているパイロットらしき敵兵に狙いを定めて放つ。
 その射撃は正確に敵の胴に吸い込まれ爆発した。血糊が周囲に飛び散る。
 陽太はそれからも3発ほど連射して二人を殺し、一人を致命傷ギリギリまで追い込んだ。
(敵地球人の主力は、例によって中東やアフリカ系か……
 奴らは、女王陛下と妹君を蔑ろにしてエリュシオンに介入の隙を与え、自国を崩壊させた、嘗てのシャンバラ人達と同じだ。
 祖国を発展させ守る為に挙国一致で汗を流すよりも、目先の利権や流血に夢中になる姿勢が、先進国に付け入る隙を与えてきたのだ。
 もし、日本人が安易なテロに走る民族だったら、今日の繁栄はなかったろう。
 先進国に全く非が無いとはいわない。だが、鏖殺の連中が真の憂国の徒であるなら、無条件降伏を受け容れた嘗ての焼け野原の日本が豊かになれたのは何故か、考えてほしいよな……)
 そんな事を考えながら戦闘するのは毒針の副作用でなぜか子供の姿になってしまった酒杜 陽一(さかもり・よういち)だった。
 防衛戦を離れて先陣を切って敵に挑み、反撃を受けたら後退する。そして出来たスペースを敵が前進したところで手元にあるリモコンのスイッチを押す。
 ベアリング弾や釘が大量に仕込まれたプラスチック爆弾の罠。それに敵ははまったのだ。
 爆発とその爆発で飛んできたベアリング弾や釘、それは機晶姫やヴァルキリーにすら大ダメージを与える。
 だが、その光景は見も無残な地獄絵図。血まみれのヴァルキリーや機晶姫やパイロットたち。だが怯んでいては負ける。そう考えた防衛戦構築をした生徒たちは攻撃を開始した。
 緋山 政敏(ひやま・まさとし)は<弾幕援護>で援護射撃を行ないつつ、機晶ロケットランチャーを持つものが入ればランチャーの発射口を<スナイプ>で狙い撃ちする。
「前に出てくるんじゃねーよ」
 発射しようとしたランチャーが暴発して大ダメージを受けるヴァルキリー。腕がなくなっている。
「いやあ! いやあああああああ!」
 その悲鳴が耳朶を叩く。
「楽にしてやるぜ」
 黒い瞳を持ち黒髪をオールバックにして眼つきがわるく厳しそうな夢野 久(ゆめの・ひさし)が<幻槍モノケロス>でヴァルキリーの胸を貫く。
「悪く思うなよ」
 事切れるヴァルキリー。
 礼の言葉を聴いたような気がした。
 もちろん敵とてただ一方的にやられているわけではない。魔道銃や機晶ロケットランチャー、小銃で攻撃をしてくる。
 だが、
「<オートガード>、<ディフェンスシフト>」
 永谷が味方の防御力を上昇させる。
「<オートガード>、<ディフェンスシフト>」
 薄茶色のショートヘアに黒い瞳をもった強そうなスウェーデン王の英霊グスタフ・アドルフ(ぐすたふ・あどるふ)も防御力を上昇させる。
「<オートガード>、<ディフェンスシフト>、<護国の聖域>」
 ロザリンドも防御力と魔法防御力を上昇させる。
「パラディンの装甲は対人戦では半端でなく硬いんですよ!」
 ロザリンドが前に出て、機晶ロケットランチャーの攻撃を受ける。
 だが微塵もダメージを受けた様子はない。
 正しく、パラディンの装甲は伊達ではなかった。
 魔法使いが前に進んできて魔道銃を放つ。それは全体に波及し、
「はうぁ」
 空飛ぶこたつである高性能 こたつ(こうせいのう・こたつ)の生命力を半分近く削る。
「くうっ!」
 英霊となる際『ちっちゃくてかわいいつるぺた女の子』になってしまった袁紹 本初(えんしょう・ほんしょ)にいたっては3割近くまで削れる。
「うわああああああああ」
 淋はことさら魔法防御力が極端に低いこともあって生命力を一割以下に削る大ダメージを受ける、
「<リカバリ>」
 永谷のリカバリが飛ぶ。グスタフも<リカバリ>を発動させる。
「こんなところで! <命のうねり>」
 ロザリンドの<命のうねり>が味方を癒す。
 焦茶色のショートヘアと金色の瞳を持ち、毛並みがよく精悍なカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)も<命のうねり>を使用する。
 これだけの回復でようやく全員が回復をした。これで魔道銃が脅威と認定される。防御が魔法に対する防御力に由来するため一般のクラスでは魔法防御力が低い場合もあるのだ。
「厄介だな」
 赤いポニーテールに赤い瞳。精悍な美少女の夏侯 淵(かこう・えん)はそうつぶやくと<ヒロイックアサルト>の<疾風迅雷>を発動させて<隠れ身>も使って接近する。そして<ヒプノシス>で眠らせようと試みる。
 淵程の階位になればいくら機晶ロケットランチャーや魔道銃を使用できる階位のものとて簡単に抵抗することはできない。
 ついでに<毒虫の群れ>も放って<則天去私>で光を放ち隠れる。
 その隙にルカルカが<則天去私>を発動させ、カルキノスも<ブリザード>で氷の嵐を呼び出し敵全体を攻撃する。
 金髪ロングで銀の瞳、色っぽくて妖艶な魔女ルルール・ルルルルル(るるーる・るるるるる)から、回復しきれ無い怪我人にヒールが飛ぶ。
 二回、三回。重症になりかけのものが多くいたのでしっかりと一人ひとりにかける。

 コトン。
 鏖殺寺院の兵士がそのバリケードを移動させた途端小さな音がした。
「!?」
 その方向を見てみる。
 ピンの抜けた手榴弾だった。
 爆発。
 中途半端なダメージで死にきれず苦しんでいる鏖殺寺院兵。
「ごめんね。こっちも必死なんです」
 ロングの金髪と青い目を持つロリ顔のくせにナイスバディなグロリア・クレイン(ぐろりあ・くれいん)が<トラッパー>で仕掛けたブービートラップだった。
「苦しいでしょうから今楽にして差し上げます」
 芋虫のようにビクビク動く機晶姫の機晶石めがけて<栄光の刀>を振るう。それで機晶姫の行動は止まった。
 銀髪でセミロングに同じ色の瞳を持つレイラ・リンジー(れいら・りんじー)が、眠っているパイロットめがけて<轟雷閃>を放つ。
 感電して動けなくなった兵士を捕縛する。
「さて、怪我人はいませんか?」
 金の前髪ぱっつんロングで青い瞳を持ち胸が大きい美少女アンジェリカ・スターク(あんじぇりか・すたーく)が<ヒール>で怪我人を回復させる。
 このようにして前半戦は物量と高レベルの契約者のおかげでなんとか持ちこたえられたが、まだ侵入してくる兵士は絶えないだろうし、現状最前線で戦闘が行われている状況で、予断は許されない。
「あっちも戦こっちも火種、いやはや剣呑剣呑」
 黒のセミロングと同じ色の瞳をした知的で優しそうな佐野 豊実(さの・とよみ)が、久の撃ち漏らした敵を掃除して回る。
 <ソニックブレード>を振るいながら魔法使いの返り血を浴びる。防具で覆われていない腕を切り取ったのだ。
「ぎゃあああああああああ」
「……南無」
「とにかく魔道銃を無力化しろ。あれが一番厄介だ!」
 小次郎が指令をしている。
 彼自身も少なからず被害を受けているが動けなくなる程でもないので回復は重傷者優先にしている。
 後衛に立つものと前衛に立つものの攻撃タイミングを合わせて威力の倍化を図るなど、小次郎の指揮は得てして纏まりに欠ける個人の集まりであるこの集団を効率よく動かしていた。
 そして場面は第一次防衛ラインに切り替わる。