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【ろくりんぴっく】貫け! 君の想い!

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【ろくりんぴっく】貫け! 君の想い!

リアクション

 こちらのバトルも熱いヨ!
 猛烈にカヌーを漕いでいるのは遠野 歌菜(とおの・かな)選手だ。
 カヌーの前に居るのはブラッドレイ・チェンバース(ぶらっどれい・ちぇんばーす)選手ヨ。
 歌菜選手は競技開始前にブラッドレイ選手にディフェンスシフト・ファイアプロテクト・アイスプロテクトをしっかりと掛けてるようヨ。
「レイ! しっかり守るから……安心して攻撃してねっ」
「ああ、任せた!」
 歌菜選手達と対峙したのは……ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)選手とコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)選手。
「全力でいかせて頂きます」
 ベアトリーチェ選手、ここで必殺サポート発動!
 歌菜選手達のカヌーは湖面が凍ったことで、身動きが取れない。
 この機会を逃さず、コハク選手が必殺技を使い、素早い連続水鉄砲攻撃。
 攻撃を避ける事が出来ない歌菜選手とブラッドレイ選手!
 沢山の水の矢が当たる……と思いきや、それを歌菜選手が則天去私で薙ぎ払ったヨ。
「うーん……当たると思ったのに」
 コハク選手、悔しそうネ。
 攻撃は当たらなかったが、まだまだ湖面は凍っている。
 歌菜選手達が不利なのは変わらない。
 コハク選手、狙いをしっかりと定めてポイを狙う。
 ブラッドレイ選手も水鉄砲をしっかりと構えた。
 同時に水が飛び出る!
 ポイに当たったのは……ブラッドレイ選手の攻撃ネー!
 凍っていたのが不利と思われていましたが、どうやら凍っていたおかげで照準がぶれる事なく撃てたのが勝因みたいヨ。
「残念ですが、悔いはないですよね」
「うん」
 悔いのない、爽やかな表情でベアトリーチェ選手とコハク選手が退場ヨ。


「2人ともどっちかっていうとインドア派なのに、大丈夫かなぁ……まぁ、俺もなんだけど」
 観客席から心配そうに見つめる和原 樹(なぎはら・いつき)の視線の先にはフォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)選手とショコラッテ・ブラウニー(しょこらって・ぶらうにー)選手が競技に集中している。
「って、俺がなんで実況に!?」
 細かい事は気にしないネ。
 ショコラッテ選手から預かった不思議な白ウサギをもふもふしたり……フォルクス選手の使い魔のカラスを撫でたり……えー……公式マスコットはミー!
 小動物を撫でて可愛さをアピールしたってそれは譲れないネ!
「どこに対抗意識燃やしてるんだよっ!」
 大事な事ヨ!
 えー、冗談は置いといて――
「じょうだ…………もう、いいや……」
 情報によりますと、樹は最初選手として出場する予定だったが、ショコラッテ選手とフォルクス選手に止められたんだとか。
 フォルクス選手達に倒してから行けと言われてしまったそうヨ。
 ショコラッテ選手はイルミン公式水着でポニーテール姿……これは倒せない。
「そうなんだよねぇ。フォルクスはともかく、ショコラちゃんを倒すなんて俺には出来ないっ!」
 では、競技に戻りまして、そのフォルクス選手とショコラッテ選手の様子を見てみましょう。
 バトルがもう始まっている。
 お相手はグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)選手とエリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァ(えりしゅかるつぃあ・にーなはしぇこう゛ぁ)選手だ。
「…………」
 こちらの2選手を黙って客席から双眼鏡で注視しているのはローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)
 エリシュカ選手は、グロリアーナ選手の不規則に右へ左へと動くカヌーに乗りながら、しっかりと狙いを定めている。
 グロリアーナ選手の不規則な動きは上空を飛ぶ妨害者の攻撃が当たらないようにと配慮されているようネ。
「うゅ……意外とやるの」
「油断せぬように! 獅子は兎を狩るときも全力を出す!」
 エリシュカ選手もグロリアーナ選手も気合いが入っているネ。
 グロリアーナ選手にいたっては競技開始直後に
『出撃! 白色艦隊旗、及びZ旗一旒! 王国の興廃、この一戦にあり!』
 と叫んでいるのを確認されているヨ。
 そんな2人の攻撃からフォルクス選手なんとかかわしている!
 ショコラッテ選手も一度に3発撃っては、様子を見るという作戦をとっている。
 そのおかげが未だ水の補給はないようヨ。
「そう……射程距離に伴う水の飛び方をしっかりと覚えた成果が出ているわ」
 自分が仕込んだ射撃のアドバイス通りに動いているエリシュカ選手を見て、ローザマリアは嬉しそうだ。
「こっちの実況は良いから、競技を実況して」
 事前にした綿密な打ち合わせの内容を公表されるのを恐れての言葉でしょうか……若干、機嫌が悪いようなので、戻るヨ。
「なっ……!?」
 さ、戦況としてはお互い譲らない。
 おーっと、しかし、ここでエリシュカ選手の水が切れた。
 それを狙って、ショコラッテ選手がスパートを掛けられるように、フォルクス選手が近くへとカヌーを寄せていく。
「はわ……思うつぼなの」
 なんと!
 エリシュカ選手、水の入っていない水鉄砲を下に置いた。
 諦めたのでしょうか……?
 いや、違った!
 なんと、下から水が充填されている違う水鉄砲を取り出したー!
「フォル兄、いけない」
「ああ、わかっている!」
 ショコラッテが気づいて、すぐにフォルクスに知らせた――が、時すでに遅し!
 カヌーの方向を転換する前にポイを撃ち抜かれてしまったヨ。
「今回は残念」
「そうだな……樹に元気な顔を見せに行くとするか」
「うん」
 ショコラッテ選手とフォルクス選手は他の競技者を避けながら、樹の元へと向かって行ったネ。


 こっちに後ろ向きに進んでいるカヌーがいるヨ!
 そんなカヌーに乗っているのはルイ・フリード(るい・ふりーど)選手と、エメリヤン・ロッソー(えめりやん・ろっそー)選手ネ。
「はははは、やっとこっちにカメラと実況の目が向きましたね」
 ルイ選手のスマイルは煌めく歯が眩しいヨ。
「……」
 エメリヤン選手は無言だが、わくわくした表情で頷いた。
 これで意思の疎通が出来るのかー!
「大丈夫ですよ! ちゃんと分かりますから」
 おーっと、またも歯を煌めかせたー。
 それに、エメリヤン選手も頷いているヨ。
 この2人のカヌーを援護するように動いているのはリア・リム(りあ・りむ)選手とシュリュズベリィ著・セラエノ断章(しゅりゅずべりぃちょ・せらえのだんしょう)選手ネ。
「セラ、ご褒美の為に頑張るよ! ルイの頭、なでなでさせてもらうんだ」
「その気合いのまま頑張れ。でも、無理はするなよ」
「うん!」
 セラエノ断章選手とリア選手は仲が良さそうヨ。
 さあ、ここでルイ選手が近づくカヌーがある。
 後退しながらの突撃……果たして成功なるか!
 近くにいたカヌーは無限 大吾(むげん・だいご)選手とセイル・ウィルテンバーグ(せいる・うぃるてんばーぐ)選手ヨ!
 だが、妨害者に気を取られてまだルイ選手達に気が付いていないー!
 このまま奇襲が成功してしまうのか。
 セイル選手は普通に漕いでいるし、大吾選手は妨害者の方ばかり向いている。
 もう少しで接触――と、大吾選手、なんとルイ選手達を見ずに水鉄砲を発射!
 情報によると、どうやら必殺技だったようです。
 不意をつかれた形になったのはルイ・エメリヤン選手の方だった。
 この攻撃はすぐに反応したセラエノ断章選手のファイアストームにより、水鉄砲の水が蒸発、なんとか事なきを得た。
「やはり一筋縄ではいかないな」
 大吾選手、今度はちゃんと敵を見た。
「アハハハハ! 楽しいのはここからだぜ、無限大吾! ちょっと不利だがな!」
 セイル選手は情報によると、普段はもう少し丁寧な口調のようだけど……戦闘になると変わるようネ。
「ちょっとじゃなく不利だよ!」
 大吾選手、叫びながらも、リア選手から攻撃が来ていたのを、カヌーを無理矢理揺らし、回避ー!
「助太刀するぜー!」
「一緒に戦いましょう」
 おっと!
 ここで大吾選手とセイル選手に援軍ヨ!
 三船 敬一(みふね・けいいち)選手と白河 淋(しらかわ・りん)選手の到着ネ。
「これで形勢逆転だよ」
「イレインちゃん、これでこっちの勝利は疑いないね!」
 なんと!
 もう1つカヌーが到着したー!
 大吾選手達と同じ西チームのイレイン・ハースト(いれいん・はーすと)選手と近衛 涼子(このえ・りょうこ)選手ヨ。
 しかも、このカヌーも後進してきたネ。
 エメリヤン選手が敬一選手と淋選手のカヌーに先制攻撃を仕掛ける。
 が、必殺防御『サイキックシールド』発動!
 見えない何かに水鉄砲の攻撃を跳ね返された。
「今度はこっちの出番だよな!」
 敬一選手、鋭い目つきでリア選手を睨むと必殺技『精密射撃』で攻撃!
 一撃必殺の射撃、これは避けることが出来ず、リア選手とセラエノ断章選手はここで脱落だー!
「また次がある……かもしれないな」
「セラのご褒美なしかなぁ……」
 この2人は大人しく退場だー!
 攻撃しているところを狙って、エメリヤン選手がイレイン選手と涼子選手のポイに向かって攻撃だ。
 しかし、波が邪魔してうまく当たらない。
 イレイン選手と涼子選手は言葉を交わしていないが、攻撃と操作に無駄がない。
 精神感応を使用しているようだ。
「だって、無駄じゃない!」
 イレイン選手からのお言葉ヨ。
「こっちの攻撃も受けてよね!」
 涼子選手、ルイ選手の方へと水鉄砲を撃ったー!
 が、これも波が邪魔をして、当たったのはルイ選手の光る頭だった。
「ははは! 今日も暑いですからね、丁度良いですよ!」
 やはり、普通の水だからなんともないネ。
「援護のリアとセラもいませんし……ここはあの作戦でいきますよ」
「……」
 ルイ選手の言葉にエメリヤン選手頷いた。
 作戦とは一体なんなんだ。
 カヌーの向きを変えると、そのまま猛スピードでカヌーを漕いで行く。
 なんと突っ込む気なのか!
 ルイ・エメリヤン選手のカヌーにセイル選手が必死に漕ぎ、イレイン選手達のカヌーとの間に入れた。
 ルイ選手達のカヌーが近づく。
 セイル選手、なんとオールを使ってルイ選手に水をぶっかけた。
 これには少し怯……まないー!
 ここで、間に入って来たのは敬一選手と淋選手のカヌーだ。
 いつの間にか、寄って来ていた!
 どうやら必殺技を発動させるみたいですが一体、どんな技なのか!?
 と、そのままルイ選手達のカヌーに突っ込んだー!
 必殺技『最後の悪あがき』、なんと自分のカヌーをぶつけて道連れにするという技だったヨ!
 これは猛スピードで漕いでいたルイ選手、かわすことが出来ない。
 敬一・淋選手、ルイ・エメリヤン選手のカヌーが互いにぶつかりあい、転覆。
 おっと!
 これに巻き込まれて、大吾・セイル選手のカヌーも転覆となった。
 3つのカヌーは壊れ、これでは競技を続けることが出来ない。
 6人一気に敗者となったネ!
 ここの戦いに勝ったのはイレイン選手と涼子選手のカヌーとなったヨ!