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●第16章 にせものは街へ


 霧島 玖朔(きりしま・くざく)は鏡に写った自分の姿に目を見張った。

「ちょ…ちょっと待て…自分」
 思わず霧島は呟いた。
 目の前にいる美女は誰だ。

 (12星華の蛇使い座シャムシエルじゃないか。…ンなわけないか…俺か?)

 厳密には似ていない。
 霧島は長くなった髪をちょっと上げてみた。

(お? ……イイ感じ?)

 髪を上げてみればいい感じ。
 コスプレっぽい感じがしないでもないが、霧島は自分の姿が気に入って、街に出かけることを決めた。

(しかし、我ながら良い身体じゃないか、ちょっと自慢したくなってきたな。面白い事も出来そうだしな……フヒヒヒ)

 霧島はほくそ笑んだ。
 伊吹 九十九(いぶき・つくも)は霧島の様子を遠くから眺めていた。
 また、ろくでもないことを考えているんだろうと見当をつける。そして、その考えは正しかった。
 女性化したままの姿でライダースーツを着ると、霧島は軍用バイクに跨って教導団の本拠地ヒラニプラを後にした。
 そして、九十九はそんな霧島の後を呆れつつ追いかけたのであった。