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節分に鬼っ娘退治!?

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節分に鬼っ娘退治!?

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競走?馬の本能を呼び覚ませ


 蒼空学園でアテナから連絡を受けた影野 陽太(かげの・ようた)は、即座にツァンダの街で大量の福豆を購入し、小型飛空挺アルバトロスにパートナーたちを同乗させ、急ぎ現場に向かった。

「これだけあれば、豆を非持参の方にもお分け出来ますしね」

陽太にはまた、別の目論見もあった。相手が奈落人なら、現在行方をくらましている奈落人ガルーダの情報が手に入るかも、と考えたのだ。


 鬼崎 朔(きざき・さく)花琳・アーティフ・アル・ムンタキム(かりんあーてぃふ・あるむんたきむ)は、丁度豆撒き用の豆を買っており、鬼崎がアテナから電話を受けたのだった。

「え? 何、アテナ……瑛菜と美緒が体をのっとられた? 福豆をぶつけて鬼を追い出す?? え、私は関わりたくな……」

 花琳はキリッっと姿勢を正した。友人で師匠のアテナの頼みである。友人の危機だ。何とかせねば……。そう、こんなときこそは……

「お姉ちゃん助けてあげて!」
「……え、ちょっと待って。か、花琳?」

鬼崎は仕方なさそうに花琳を見やった。

「……しょうがない。お姉ちゃんが何とかしよう。……わかった、アテナ。今から行く」

(私はあまり関係ないのだが…妹の頼みとあらば、断るわけにはいかないな…カッコいい姉の姿を見せたいし)

取り急ぎ買った豆を持つと、二人はペガサスに相乗りして遺跡に直行したのであった。花琳は胸のうちでつぶやいた。

(私よりお姉ちゃんが動いた方が成功率高そうだもん)

 リリィ・クロウ(りりぃ・くろう)も、アテナから連絡を受け、遺跡に直行した。福豆を買おうというリリィに、マリィ・ファナ・ホームグロウ(まりぃ・ふぁなほーむぐろう)が言う。

「福豆? 鬼にぶつけて魔を祓う、ねぇ……それ、豆でなくても構わないんじゃないの? 餅のほうが痛いわよ。きっと。お正月に買ったお雑煮用の丸餅がカッチカチになってるから。そっちを持っていきましょうよ」
「……えっ?お餅で?」
「どっちもめでたいんだから!」

リリィはマリィの提案を考えてみた。なんだか餅でも構わない気もする。確かにめでたいし、厄落としに餅を投げるお祭りだってある。そして何よりカチカチの丸餅は小石並だ。当たったら痛いだろう。

「ではお餅に、あらかじめパワーブレスを施しておきましょう」

 道明寺 玲(どうみょうじ・れい)と、レオポルディナ・フラウィウス(れおぽるでぃな・ふらうぃうす)はアテナから連絡を受けて現場にやってきていた。

「鬼に憑依されたとは大変ですね。わたくしも頑張るぞーなのです」

玲が小首をかしげる。

「憑依されている方に悪いので、豆を思いっきりぶつけるというのはやめておくべきだろうな。しかし……豆をぶつけられるとは大変だな。……あれだけ可愛い鬼であれば需要がありそうな気はするが」

 師王 アスカ(しおう・あすか)は、たまたまツァンダの街で節分用の福豆を買っていた折にアテナから連絡を受けた。

「へ〜〜、面白そうな事になってるじゃない」

そっと心の中でつぶやく。

(……豆を鴉にぶつけようと思ったけど、これは予定変更ね〜)

 セクシーなボディラインが十二分に強調された純白のビキニアーマーをまとい、鬼っ娘と化した美緒は、普段絶対取らないような大胆なポーズで戦っている。元気な美少女瑛菜のセーラー服は所々破れ、やや色気に欠ける体格を、変な意味でカバーしている。

「う〜ん、二人ともセクシーですね〜」

ルーツ・アトマイス(るーつ・あとまいす)が牛頭、馬頭を見ながらぼやく。

「節分なんてしたことないから楽しみにしてたのだが……まさか本物の鬼を相手にする事になるとは」

蒼灯 鴉(そうひ・からす)はひっそりと思っていた。

(……やっぱりな。こんなことだろうと思った。こいつは己の絵の欲望にはとことん素直だからな)

「ルーツ、鴉、私のデッサンを邪魔されないよう守ってねぇ〜。さあ、行け! 金鬼・青鬼!」

そういってアスカが輝くような鬼畜スマイルを浮かべる。
鴉がわめく。

「しゃあねえ、手伝うか。さっさと済ませるぞ…って誰が青鬼だ!? 俺はマホロバ人だ!!」

ルーツが怒鳴る。

「行くぞ、鴉! ……って誰が金鬼だ! 我は吸血鬼だ!!」
「おう。……正直面倒だが、自分に豆をぶつけられるのは勘弁だからな……とりあえず行ってみるか」

二人はそろって馬頭のほうへ移動した。

「……すばしこく逃げ回られるほうが、力任せに殴られるよりよりはな……」

二人の胸のうちを、こんな思いがよぎった。