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リアクション
、――――なわけねぇだろう。
アリサの周りに力場の渦ができる。アリサの体を中心に、《カタリズム》の嵐が吹き荒れた。
彼女の周りに居たモノ、全てが好き飛ぶ。
「なんだよ! 説得に成功じゃないのか!?」
皆の説得を途中から見ていたシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が、そう喚く。
「せっかく、の感動が台なしだよねシリウス! キミ泣いちゃうくらいだったのに」
サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)を茶化す。「茶化している場合か!」とシリウスが反論する。
「すまない遅れた。これはどうしたんだ!?」
グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)とアウレウス・アルゲンテウス(あうれうす・あるげんてうす)が遅れて、【小型飛行船ヘリファルテ】から下りてきた。状況が分からない。
「なんか、暴走したって感じだわ」
伏見 明子(ふしみ・めいこ)が現れて、冷静に解釈する。
「やっと、追いついた! 状況はどうなっている!?」
エヴァルトが現場にようやく駆けつける。
「わからない! 説得に応じたと思ったら、こうなったんだ!」
とレリウスが答えると、「やっぱ殺すべきだったんだ」と透乃が言った。
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)、葛葉 杏(くずのは・あん)、橘 早苗(たちばな・さなえ)もこの場に到着した。惨状を見て美羽が「クライマックス……」と呟いた。
アリスの周りには尚も力場が吹き乱れる。中のアリスは目を見開いて、涙を流しながらカタカタ、と呪詛を垂れる。
「説得が通じなかったのですか……」とメティスが呟くが「そんなことはない!」とレオが否定した。
「確かに、アリスは私たちを信用してくれたわ! 《精神感応》であの子の心が流れてきたもの!」
渚がカイに支えられて、そう云う。
「じゃあ、どうしてこんなことになっているんです? 杏さん」
早苗の問いに、「しらないよ」と答えようとしたとき、杏の携帯が鳴った。校長室に居る孝明からだった。
《よかった! 《精神感応》じゃつながらなかった、こっちはどうなるかと思ったよ》
「孝明! 今はそれどころじゃないんだ。切るよ!」
無遠慮に杏はが携帯を切ろうとするのを孝明が《待って》と止めた。
《もしかして、アリサが暴走してるのか!?》
「知っているのか!」
《ああ、研究者から聞いた。アリサは暴走する前に、酷い頭痛を訴えていたって。それに感情に歯止めがかからなくなったせいで、暴走したんじゃないかって、言っていた。今回も似たケースじゃないか?》
杏は知らないが、確かにそうだ。
ここに来るまでに、彼女は何度も頭痛に襲われていた。そして、説得により今まで溜め込んでいた感情を爆発させた。
それはまさに、研究所で起きた悲劇の再現だ。
「それよりも、コレを止める方法はないの?」
こうなってしまった原因よりも、アリサを止める手立てが知りたい杏だった。
《ある! それは――》
「《オープンユアハート▽》ッッッ! ダメか!」
シリウスが歯噛みする。暴走しているなら『精神状態を元に戻す』これならと思ったが、効果がなかった。
「皆聞いて! アリサを止める方法がわかったわ!」
杏が皆に向かって、叫ぶ。アリサとアリスを再び説得しようと声を張る者たちも、一旦黙って彼女へと向いた。
「アリサは頭に埋め込まれたチップによって能力を強化されているって! だから、彼女に埋め込まれたチップを破壊すれば、彼女は普通の強化人間に戻るわ!」
「普通の強化人間なら、研究者さんたちは興味を示さない! そいうことですね。でもどうやってそれを……」
助けるのだからアリサの脳を開くわけにもいかない。そんなヒマも、状況にもない。ベアトリーチェがその方法に悩む。彼女自身がその解決方法だと言うのに。
「私に任せて!」
美羽がチップを破壊する役目を買って出る。
「私が《光条兵器》でアリサのチップだけを破壊するよ! こんな目立つ役目は私の為にあるんだからね!」
「なるほどなるほど、それは面白いわ。よし、行きがかり上手貸すわよ! アリサの力を抑える役目は私がするわ!」
明子が息巻く。しかし、彼女の役目が最も危険だ。
「俺も協力する。あの力場から彼女を出さなければ、まともに剣を振るえないだろう」
エヴァルトもここがヒーローの見せ場だと、名乗りを上げた。
さらに、状況が悪くなる。アリスが暴走する前にこちらに呼び寄せていた『機晶姫』と『剣の花嫁』が大勢、ここへと向かってきた。
それを見て早苗が「わわわ」と慌てる。
大群で押し寄せる彼女たち、と暴走するアリサ。しかも、ここは天沼矛の近くだ。もし、天沼矛をアリサたちが破壊したなら、被害は海京だけではなく、天沼矛に支えられた空京も落ちる。2つの都市を失えば、あらゆるものに、影響が出る。
「そうこう言ってられないわね――」
杏たちはすぐに、作戦を決行することにした。そして杏は宣言する。アリサを助ける誓いを。
「命を助けてやるから、今日からお前は私のファンね!」
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