First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
「ハル、どうしてこんなことを……」
ハルに抱えられたまま、疑問を口にする。
(仮面の所為とはいえ、それが引き出した悪意はどんな気持ちから出たのか解らない)
「そんなの、あなたを離さないでいる為ですよ」
ハルの言葉は未散をさらに混乱させただけだった。
「本当にこんな所にいるんですぅ?」
ハルを探すためにヒラニプラの裏路地を探索中。
隠れ身で気配を消していた神崎 瑠奈(かんざき・るな)は、なかなか見つからない相手に痺れを切らし、疑問を口にする。
「場所、移動してみた方が良いんじゃありませんか?」
同じくメモリープロジェクターで隠れ身をしていた一瀬 瑞樹(いちのせ・みずき)も同意するように答えた。
「ここ、もう何時間も探索してるしね。もう少し向こうに行ったほうが良いんじゃないかな?」
電灯代わりに光の翼を出していたシエル・セアーズ(しえる・せあーず)が提案する。
パートナーたちの提案に、神崎 輝(かんざき・ひかる)は思案した。
「そうですね。こうして延々見つからない場所を探してはハルさんも助けられないでしょう。あっちに……」
輝が後ろを振り返る。
それと同時にシエルの声が鋭く響いた。
「来たよ!」
その先には未散を抱えたハルの姿。
左右を見渡し、他に道がないと知るとハルの顔が悔しげに歪んだ。
「行き止まりでございますか。ならば、強行突破をするまで!」
ハルはそのまま突き進もうとする。
当然、輝とシエルはそれを阻むように立つ。
「邪魔です、どいてください!」
「そう簡単に通しますか!」
体当たりで通ろうとしたハルに、逆にぶつかろうとする輝とシエル。
ハルは上手くいかないと判断し、後方に飛び退った。
「やはり、邪魔でございますね。こうなったら無理矢理にでも道を作らせていただきます」
「ハル……?」
ハルは未散を降ろし、対峙し直す。
ハルの見せたことのない嗜虐的な表情に、未散はさらに動けなくなった。
「さて、わたくしと未散くんの邪魔をする方は、排除させていただきますよ」
飛びかかると同時に乱撃ソニックブレードを放つハル。
「マスターに攻撃するだなんていい度胸だな!」
輝に攻撃しようとしたハルに反応し、瑞樹は死角から機晶キャノンを打ち込んだ。
「っ!」
ハルは避ける。
「はあっ!」
輝が剣を振り、ハルの仮面に斬りかかる。
「我は射す光の閃光!」
その横からシエルは光の刃を振り下ろすが、ハルはそれらを受太刀で防ぎ、後方へ飛んで距離を取った。
「取ったにゃー!」
暗闇に潜んでいた瑠奈が仮面に手を伸ばす。
しかし、ぎりぎりでハルはそれを払い、瑠奈は勢いに押されて後ろに転んだ。
「まったく、なぜ皆してわたくしと未散くんの邪魔をするのでございましょうか」
「ハル……?」
未散はハルの言葉に、ハッと我に返る。
「何が邪魔をするですか。あなたはどう見ても未散さんに無理強いしているようにしか見えません、よ!」
輝はまた剣を振りかぶる。
それは受け流され、勢いのまま転びそうになるのを抑え、輝は体勢を整えた。
「無理強い? ただ未散くんに傍にいて欲しいと思うことのどこが悪いのですか!」
「思うだけなら迷惑じゃないですが、それを実行するのが問題なんです!」
「じゃあ、未散くんがどこかに行ってしまうというこの不安は、どうすれば良いと言うんですか!?」
その言葉に、未散の体は自然と動いた。
暗かった路地に光術による光が溢れ、その場にいた全員の目が眩む。
その隙に絆の糸を使い、未散はハルを捕らえた。
「え、未散、くん……」
薄目を開いたハルの瞳には、淡く微笑んだ未散の姿。
「ハル……。私はおまえが一番大事だ、それは絶対に変わらない。それに、私もお前と同じ不安を持ってる」
「……え?」
予想外の言葉か、呆けるハル。
その隙に未散はハルの仮面を取った。
「ん、何が起こったの〜? 目がすっごくチカチカするですぅ」
瑠奈は目を擦りながら、なんとか視界を取り戻そうとする。
「あー! ハルさんの仮面取れてるよ!」
先に気付いたのはシエルだった。
「マスター、良かったですね」
瑞樹は輝の元に駆け寄る。
「そうですね。ハルさんも見たところ大きな怪我はないみたいで。結構やりあった気もしますが結果的に良かったです」
輝は元に戻った友人たちを見つめ、ホッと一安心した。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last