なし

リアクション

「来たなロリババァ！　デモ、今日のワタシは負けナイノデース！　何故なら仲間を呼んだかるぁ！」
「どうでもいいから人質返せ」
「ねぇ、話聞いて？　ワタシの話ヲ――」
「はやくしないさいよー」
「わらわの必殺技をくらうかえ？」
「モウイイヤ！　カモーン、戦闘インっ！」
　怪人サンマグロもとい、ルイの言葉により、戦闘員扮する学生と、何故かセイニィが混ざっていた。
「何であたしがこの配役なのよ！」
「セイニィ、文句は後で舞台裏で聞くから。ね？」
　学生の一人に宥められた彼女は、仕方なく戦闘員をやることにした。
「そんなん出てきても怖くないし。わしらちょー強いし！　てか負けないし！」
「むー！　減らず口を叩キマスネ！　ソレガ負け惜しみにならない事を祈るがイイデスガネッ！」
　言い終わるや、ルイがセイニィに「はい、これあげる」と言って優しく鳳明を渡した。
「あんたも災難な役回り、ね」
「それは言わないでよ………うぅ」
　ルイを筆頭に、戦闘員がロリババァに向かい走っていった。そして衝突――鮮やかな殺陣でもって戦闘員が次々にやられていく。
「おぉ！！　なんかロリババァかっけー！！！！！　やれーロリババァ！」
　虚雲がのりのりになって応援する。
「デューイパパ！　ロリババァが、ロリババァがっ！」
「ほう、あの殺陣………なかなか――」
　その様子を見ていたのは、何も観客だけではない。舞台袖、何故か共に手にあせ握っているのは博季、テスラ、ウルスと、演技指導をした巽。
「弟子たちよ――貴様らの活躍、しかとこの目に焼き付けているぞっ！」
　舞台上では、既に粗方の戦闘員が倒され、残っているのは怪人サンマグロと、『戦闘イン』セイニィの二人だけ。
「止まれ、ロリババァ！　この人質がどうなってもいいの！？」
　怪人サンマグロの前に躍り出たセイニィが、抱えている鳳明の首もとに手にする凶器を突き立てた。
「お、おのれ…………卑怯な！」
「そんな、そんなものを子供に向けるなんて――鬼、悪魔！　ちっぱい！」
「そこ関係ないからぁ！」
「それにして――そなた何処からそんな凶悪な…………凶悪なピーマンをっ！」
「ピーマン！　これの何処がピーマンに――に見えたー！！！　っていうよりこれピーマンじゃん！」
　この様子を、客席で一人悪い笑顔を浮かべている託が見ていた。
「困ってる困ってる。まさか武器がピーマンになってるなんて、絶対思いもしないでしょ」
　彼の悪戯で、セイニィの持っているはずの武器は、ピーマンになっていた。
「兎に角……………今だよ、怪人サンマグロっ！」
「うほーい、食らえ！　サンマグロヒッサーツっ！　ヒラメブレードっ！」
「そこ秋刀魚でも鮪でもないのっ？！」
　一番近くにいた朱里がツッコミを入れながら彼のヒラメブレードを回避した。
「大丈夫なのかブラック！！」
　レッド、ことカレンが朱里に叫ぶ。
「わしなら大丈夫っ！」
「セラなんもしてなーい！」
「ちげーよ」
　満面の笑みでカレンにさむあっぷの二人に、カレンが即刻ツッコミを入れる。
「うっほほほーい！　ハイ、ドーン。ヒラメ、ドーン！　ブレー、ドーん！」
　朱里ブラックに襲い掛かる攻撃。やはり何処からでたのか出所の知れない、ただのヒラメの振り回すルイの攻撃を巧み避ける彼女だが、偶然にも自らの頬にヒラメが当たる。
「オウ？　………… 今『ペチっ』て。『ペチっ』って音が聞コエタヨウナ……………？」
「い、いやぁ！！！！　感触がキモい！　そんなやつ、そんなやつなんか――ブッタギッテヤルワヨっ！」
「ノー！！！！！　ヒラメさぁーん！！！！　マイフレーンドゥ！！！！」
　彼の持つヒラメが朱里の頬にヒットし、ちょっとイラっとした彼女がそのヒラメを綺麗に三枚におろしてしまったのだ。
「モウイイモンママニイッチャウモン！！！　ままーん！」
　若干キャラ崩壊を起こしつつ、サンマグロが舞台袖めがけて叫んだ。すると今度は、何とも際どい衣装に身を包んだティセラが、顔を真っ赤にして現れる。本人としては、恥ずかしくて立っているのも限界なのだろう。持っている武器で極力体を隠していた。
「わ………………わら、妾の名はド女王！　うちのサンマグロがおせ、お世話になった、ザマス……………………」
「「………………ティセラちゃーん！！！！！！」」
　健全男子一同の叫び声が体育館に響き渡った。
「我が名は悪魔男爵だみあん。此処を貴様らの墓所としっふぇや……かんだいーたーいー」
「むぅ…………新手かのぅ。噛んでるし」
　グリーンがたじろぎながら身構え、レッドが突撃の体勢を取る。
「親玉が出たなら好都合だ！　一気に燃やしてやんぜぇ！！！」
「ま、待つのだレッド！」
「単身突撃は無謀すぎるよ！」
「………お前らおんなじ色だから呼びづらい。えぇい！　当たって砕けろじゃ！　ていやー！」
「甘いザマス！　そんな攻撃は効かないです――じゃなかった、ザマスよ！」
　ティセラがカレンの攻撃を防ぎ、持っている剣で彼女をもといた場所に吹き飛ばした。
「今度は此方の番ザマスよ！　だみあん、サンマグロ、いくザマス！」
「ままーん！　武器が、武器がないザマス！」
「がっはっはぁー！　我の力をみるぎゃいー………また噛んだザマス！」
「『ザマス』は妾の台詞………ザマス。それより、後で新しいヒラメを買ってあげるからいくザマス！」
「やったぁ！　わーい！」
「我はそれよりキャンディ希望ね」
　三人でロリババァに攻撃を仕掛けた。三人の圧倒的（かは知らないが）な攻撃に、ロリババァがやられていく。
「お、おのれ……ド女王め………」
「サンマグロも……ぐっ、お忘れなく……！」
　力なく倒れるロリババァに、高笑いをするサンマグロ、ド女王、だみあんこと、ルイとティセラ、ダミアン。見ていた鳳明、衿栖が苦笑している。
「何かノリノリだよね。みんな何だかんだ言ってたけど」
「きっと、文化祭の空気に耐えきれなかったんでようね。色々な意味で」
　と、此処で観客席の方から違う高笑いが聞こえる。
「誰ザマス！」
「もう噛まない様にちょっと待機だ！」
「ままーん、上を見るのデース！！」