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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

リアクション


リネン・エルフト(りねん・えるふと) ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)

パートナーのフェイミィが殺人事件の容疑者になったの。
彼女が剣舞で使った大剣に血が付着していたんですって。
同性愛者で、ドSで、露出狂で、私がこれまで出会った人の中でも、頭一つ抜けた性的変態の、歩く十八禁のフェイミィだけど、戦場でもないところで、無差別殺人は、行わないと思うわ。
それでも、もし、万が一、シュリンプを殺したのがフェイミィだったら、私は。
「フェイミィが犯人だったら、私……フェイミィと、あのエロ鴉と縁を切るわ。
せいせいするかも。
みんなもフェイミィのことは忘れて」
「な、なんだってぇ!?」
PMRの仲間のミレイユは、私のつぶやきに過剰反応してくれたわ。
「そ、そんなの、冗談だよねー。
ベスティエさんが消息不明で、フェイミィさんも容疑者になっちゃって、リネンさんは混乱してるんだよっ。
ワタシもシェイドと連絡とれなくて、すごく心配なんだ。
悪い方向に考えちゃ、メッなんだよ。
フェイミィさんの剣の血は、シュリンプさんのじゃないかもしれないし、そこらへんを調べてみよう」
「ありがとう。
さっきの言葉は、深く考えずに、ついポロっと本音を言ってしまっただけだから気にしないでね」
「それはそれで問題な気もするけど。
うん。わかった。気にしない」
私とミレイユは、コリィベルのスタッフに頼んで、問題の大剣を調べさせてもらうことにしたの。
「シュリンプさんの死体はチーム新カラスの人たちが持ってちゃったんだよね。
新カラスってハタでみてても危なそうなグループだけど、一員になってるみたいなニコさんや鮪さんは、大丈夫かな。真○里くんは、ロレッタが気絶させて連れ戻してきて、さらにまた膝蹴りを入れて、いまは失神してるけど、あんなに蹴られて脳に異常がでたりしないかな」
ミレイユは、みんなを気にかける優しい子。
私は、真○里は、多少、頭にダメージを与えてやった方がまともになる気がする。
フェイミィの剣についている血は一見しても、それとわからないくらいに、きれいに拭き取られていた。
コリィベルのスタッフが行なったルミノール検査で陽性反応がでなければ、血がついているのは、誰にもわからなかったでしょうね。
「ワタシが聞いた話だと、コリィベルでは囚人の変死事件が起きても、だいたいはたいして調べずに事故として処理しちゃうんだって。
一緒にきた弁護士さんが、家族と国軍から囚人の全権を委任されているにしても、ひどすぎるって言ってた。
シュリンプさんの事件をスタッフが一応、調査してるのは、ワタシたちのような外部の人間がかかわっている可能性があるからかな」
「シュリンプは、他の囚人とは立場の違う特別な存在からだったのかもしれない」
私たちは、二メートル長の剣を隅々まで調べて、特におかしな点がないのを確認した。
「普通にみてもなにもわからないわね。
サイコメトリを使うわ…たいした結果にはならないと思うけど」
剣に手をかざして、意識を集中する。
あれ。
これって。
「黙っちゃってどうしたのかな。
リネンさーん。
二分三十秒経過したよー。
みえてますかぁ。ワタシの声、きこえてるぅ」
私が幻視したのは。
「フェイミィは、ここで、人を殺しているかもしれない」
「えええええええ」
エロ鴉のやつ。
なんで、このことを誰にも話してないの?

□□□□□

私とミレイユに問い詰められて、フェイミィは真相を話してくれたの。
「オレはやつの腕を斬り落としたんだ。
肩口からばっさりとな。
やつは悲鳴もあげず、片手で戦いを続けた。
出血とショック症で死んでもおかしくない重傷だったはずだ。
オレたちの戦いの最中に、黒マントと他の連中も戦いはじめて、気づいたら大乱戦になってたのさ。
オレは、隙をつかれて、ステージ裏に叩き落とされた」
「それで、また、すぐにのぼったのね」
「たいしたダメージはなかったからな。
まだ勝負もついてなかった。
オレが二度めにのぼった時、ここには誰もいなかったんだ。
激しかった戦いの痕跡もなく、きれいに片付いていた」
「だから、幻だと思ったんだね。
うーん。たしかに血痕や壁や床に刀傷はないよねー」
フェイミィの話をきいたミレイユは、天井裏をくまなく歩いて調べてくれたわ。
フェイミィに案内されて、私たちはここにのぼってきたの。
「現場の状況はこんなだけど…あなたの剣にはたしかに人を斬った記憶があったわ。
サイコメトリで私は、それをみた」
「だろ。
とにかく、オレはシュリンプ殺しとは無関係だ。
問題は、黒マントとB・Fなんとかがどこに消えたかだ」
「ええ」
私はテレパシーでフェイミィの記憶の中のイメージを読み取って、ソートグラフィーで写真に起こしてみた。
竜の頭蓋骨をかぶった青いマントの刺客。
フェイミィの言葉通りの姿をしていた。
「ホラー映画の殺人鬼みたいだねッ」
その異様なルックスに、ミレイユは、はしゃいでいる。
「これだけ目立つ格好をしていれば、コリィベル内では案外、有名人なのかも」
「だったら、だったらさ。イレブンさんにみてもらえば、なにかわかるんじゃないのかな」
「そうね。彼は、しばらくここの住人だったのだし」
私たちはPMRのメンバーで、コリィベルの模範囚でもある、イレブン・オーヴィル(いれぶん・おーう゛ぃる)に写真をみせることにしたの。