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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

リアクション


クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)

地球の中東某国の元国会議員トム・メイフィールド氏の依頼を受けて、私は特別移動刑務所コリィベルへむかった。
目的は、メイフィールド氏の母国の戦争犯罪者ヨン・ウェズリーの身柄の確保だ。
生死は問わないと言われたが、私は軍人ではあっても、殺人を請け負い稼業を個人でしているわけではないので、基本的には、彼を殺害するつもりはない。
抵抗されて、こちらに危害を加えてくるようなら別だが、でなければ、話し合いで決着のつく問題だと考えている。
コリィベルまでは、某国の同郷会が小型の飛行艇で送ってくれた。
「失礼かもしれぬが、居場所がわかっているのならば、部外者の私に依頼しなくても、あなたたち自身で彼を確保できるのではないか」
「いいえ。メイフィールド氏ならともかく、同郷会の他のメンバーは、誰もヨンには手をだしません」
「不敗の悪魔を恐れているのか。
彼は知将ではあるが、一個人としては白兵戦や格闘に秀でているとは思えぬ。
彼がいかに策を弄したとしても、コリィベルは敵地なのだし、人海戦術で捕らえられる気がするが」
クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)大尉。
ヨン・ウェズリーは、我々、庶民の英雄です。
実のところ、現在の祖国の腐敗した軍事政権を倒すには、多くの国民が彼の力が必要だと思っているのです。
メイフィールド氏は、現政権下での自らの立場を強化するために、ヨンを利用したいのです」
「そして、あなたは、仕事では現政権に従わなければならない、と。
複雑な心境のようだな。
言い難いことを話させてすまなかった。
私はいわば傭兵のような立場で、依頼を受けているわけだが、実行している最中に、任務に不当性が感じられたのならば、ロイヤルガードの一員として、処断させてもらう。
教導団は、あなたの祖国から多額の寄付を受けているらしいが、それとこれとは話が別だ。
国軍の一員としての任務と、ロイヤルガードとしての任務に齟齬が生じた場合は、ロイヤルガードの任務が優先される。
私は、ヨン・ウェズリー本人からも話を聞き、よく考えてから行動しようと思う」
「ありがとうございます。大尉。
お気をつけて」
「ここまで送っていただいて感謝する。では」
飛行艇から降りた私が敬礼をすると、コックピットに座ったままの彼も敬礼を返してきた。
二十代そこそこにみえる彼は、祖国では軍人としてヨンと共に戦っていたのかもしれないな。