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昼と夜の狭間、黄昏の黄金

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昼と夜の狭間、黄昏の黄金

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第二章 調査

 「わざわざ、すいません」
 申し訳なさそうに海が口を開いた。
「気にしなくて良いよ。環菜も自分の名前がついた街道での怪事件は、気分良くないと思って……あと山葉先輩の依頼でもありますし」
 農作業とは別。御神楽 陽太(みかぐら・ようた)達は原因の調査をしていた。
「ファナさん。此方に碑の様なものは在るんですか?」
「碑ではありませんが、祠なら麦畑にありますよ」
 「祠?」
「ええ、こちらに。大きさとしては小さな物ですが、麦畑を迎える様に建てられています」
 ファナが示す様に麦畑の中に小さな祠が建てられていた。
「これか?」
 ニーア・ストライク(にーあ・すとらいく)が祠を覗き込む。
「何か入ってるぞ?」
「ああ、水晶です。触ってみますか?」
「良いのか?じゃあ、遠慮なく!」
 祠の中には水晶が収められていた。
「海が持っていた水晶に似ているな」
「海、水晶を見せてくれるか?」
「どうぞ」
 海から受け取った水晶と見比べると、ところどころ欠けている部分があるが、ストライクには同一の物の様に見えた。
 スキル『財宝鑑定』で陽太が精査するも、これと言った特徴は見られない。
「水晶が映していた映像も消えているな……」
「はい」
「何か別の要素が必要ってことなのか?」
「ファナさん。他に似たような物はありますか?」
「申し訳ありません。他には無いのです」
「そうですか……」
「この祠は、村の豊穣を願い建てられた物です。年に一度、麦を奉納しています」

  「貴方、環菜街道から麦畑へ行ったって聞いたけど、本当?」
 笹野 朔夜(ささの・さくや)が図書館で宿題をこなしている生徒に話しかけた。中身は、憑依している笹野 桜(ささの・さくら)だったが。
「貴方は?」
「これは失礼」
 丁寧な仕草で桜は腰を折る。
「私は笹野です」
「それで、御用というのは麦畑の事ですか?」
「ええ、少しお話を聞かせて頂きたいのだけど」
 優雅な笑みを崩さないように、桜は微笑む。
「構わないよ。オレも大して向こうに居たわけじゃない」
 生徒は思い出す様に、天井を見上げた。
「空を見上げていたんだ。理由は特に無いよ。ただ、雲の動きを見ていたんだ」
「それで?」
「視線を戻したら、何時の間にか麦畑の中だった。唖然としたよ。知らない世界に取り残されたかと思った」
(確かに空間を移動していますね)
(ええ)
「だけど、2、3歩歩いたら、もうこっちに戻ってた。オレが言えるのはこれだけだよ」
(もう少し詳しい情報が必要ですが、ほとんど同じ話しか聞けそうにありませんね)
(そうみたいですね。私達も向こう側へ行く必要がありそうですね)