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【EATER×EATER】進撃! キメラーメン!

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【EATER×EATER】進撃! キメラーメン!

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第十五章:獅子神 玲&飛騨 直斗
 
 同日 某時刻 海京内海浜公園
 
 獅子神 玲(ししがみ・あきら)は神速の箸使いでキメラーメンの麺を次々と口に運んでいた。
 食欲魔人と呼ばれる和服美人。自前の箸を使った神速の箸使いでの早食い大食いとして知られる彼女は、キメラーメンを前にしても、その食欲に衰えを微塵も見せなかった。
「これが先ほど出会ったメガネの女性の言っていた、キメラーメンという動くラーメンのようですね」
 襲ってきたのを返り討ちにしたキメラーメンを全て食べ終え、玲がふと顔を上げると、キメラーメンの群れに襲われている少年の姿が目に飛び込んでくる。
「人が襲われてる……?」
 それに気付いた玲は、少年を助けるべく、立ち上がると一目散に駆け出した。
 
 同日 某時刻 海京内海浜公園
 
 名目上は事故とはいえ、姉を死に追いやった玲に姉の仇討ちをする為、探していた飛騨 直斗(ひだ・なおと)は海沿いの公園を歩きながら、決意を新たにしていた。
「玲さんを探しに来たものの無一文なしで腹空かせた俺。そんな俺にラーメン(実里みそ)を作ってくれた救世主、実里さん!
くっ、こんな美味しいラーメンを作る人を困らせる鬼滅羅麺(キメラーメンの事)っていうラーメン屋(勘違い)許さねぇ!」
 直斗が拳を握り、一人熱弁を振るっていると、まるで彼の言葉に呼応したかのように、無数のキメラーメンからなる群れが彼の眼前に現れた。
「…って、まんま、ラーメン!? ちょ……しかも、こんなに沢山」
 予想以上の物量で群れを作っていたキメラーメンを目の当たりにした直斗が泡を喰って怯んだ瞬間、まるでその隙を逃さぬとばかりにキメラーメンの群れが一斉に麺を伸ばしてきたのだ。
 伸ばされた麺は一本たりとも狙いを外すことなく、全てが直斗の身体に巻きつき、締め上げる。
「てか、なんで俺の体に纏わりついて!? 嫌だー!触手プレイなんて嫌だー!」
 あまつさえ懐のメロンパンを狙われたせいで服の中を何本もの触手にまさぐられ、しかも、みそ能力で強化されたスタミナと精神力で気絶できないという地獄を味わいながら、直斗は情けない声で絶叫し続けた。
 しかし、しばらく直斗が絶叫していると、突如として締め付けられている感触が消える。
「大丈夫ですか?」
 直斗を助けたのは一人の少女だ。彼がその少女に礼を言おうと口を開きかけた時だった。
「……もしかして「直くん」?」
 その少女は彼の顔を見た途端にそう呟くと、急に血相を変えて逃げ出したのだ。
「えっ!? もしかして……玲さん!?」
 直斗の方も自分を助けてくれた少女が玲であることに気付き、慌てて追いかける。しかし、彼女を追いかけている途中で迷子になり、彼は玲を見失ってしまう。何を隠そう、彼は壊滅的な方向音痴だったのだ。
「玲さん……待ってくれぇ!」
 
 数日後
 
 うっそうと生い茂るジャングルの奥地、シダ植物の蔦が絡みついた石造りの古代遺跡の前で、直斗は泣きそうな声で誰にともなく呟いた。
「ここ……どこ?」
 結局、玲を探すことだけに集中しすぎた結果、彼は壊滅的な方向音痴ぶりを発揮し、地球ともパラミタとも知れないどこかへと迷い込んでいたのだった。
 ちなみに、この時より少しの時間を経た後、直斗は玲と契約することになるのだが、それはまた別の話。