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【ニルヴァーナへの道】泣き叫ぶ子犬たち

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【ニルヴァーナへの道】泣き叫ぶ子犬たち

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第十三章 勝利へ! 絆の力が悪を討つ! 1

<月への港・1F>

「ほらほら! こっちよ、こっち!!」
 明子が強化光翼とローラーダッシュを活かした超高速で走り回りながら、真空波で着実にデヘペロにダメージを与えていく。
「捕まりさえしなければ、このくらい!」
 ディミーアとエクスの二人も高速で飛び回って相手をかく乱し、隙をみてディミーアが魔法の投げ矢……もとい、魔法のジャベリンでちくちくと削っていく。
 エクスの方も、先ほどのようなムチャな攻撃はせず、浅くとも確実に当てられ、また確実に離脱できる程度の攻撃を心がけていく。
「ルナルナ! いくよっ!!」
 あゆみも強化光翼を使った一撃離脱戦法でちょくちょく死角から斬りつけ、また時には後頭部に飛び膝蹴りを叩き込んだりして、いろんな意味でダメージを与えていく。
 そのスピードと小回りを活かした連携攻撃の前に、デヘペロ弟はほとんど反撃らしい反撃もできず、また反撃したところでそれらは全て空を切っている。
 一連の攻撃は、デヘペロ弟に肉体的なダメージ以上の精神的ダメージを与えていた。

「それじゃ……そろそろ、決めちゃいましょうか!」
 いつの間にかリーダー格になっていた明子の指示で、四人が集中砲火の構えに移る。
「行くわよ、デデ、デペペ……ああ、もう発音しにくいわね!!」
 謎の怒りを上乗せしつつ突撃して、明子がサンダークラップでデヘペロ弟の動きを止める。
「今よ!」
 その合図で、ネフィリム三姉妹が一斉に対神像ロケットランチャーを発射した。
「トライアングル・シュート!!」
 さらに、そこにあゆみがビームレンズからのビームを重ねる。
「ムーン☆レンズマイトっ!!」
 その全てが命中し、辺りは白煙に包まれ……。

「ペロロロロロウゥ!! お、覚えてやがれえェ!!」
 煙が晴れるのを待たずに、そんな声が響き渡り。
 視界がはっきりした時には、すでにデヘペロ弟の姿はどこにもなかった。

「銀河をひとつに、クリアエーテル!!」
 勝利の決めポーズをとるあゆみを、一同は苦笑しつつ見守るのであった。





<月への港・B4F>

「これでっ!」
 封印の巫女 白花(ふういんのみこ・びゃっか)が、「崩落する空」でデヘペロ弟を攻撃しようとする。
 しかしながら、ここは思いっきり屋内。
 空ではなくて天井にヒビが入って、なにやらビルトイン型のエアコンみたいなものが降ってきたが……まあ、一応打撃にはなったので結果オーライである。

「ナイス……なのかな?」
 予想外の効果に苦笑しつつ、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)がラスターハンドガンでデヘペロ弟を狙い撃つ。
 さすがに効きがいいとは言えないが、デヘペロ弟の注意を引き、またいら立たせる役には十二分に立っている。

 そうして二人が作った隙をつくのは、綾乃とラグナ、そして樹月 刀真(きづき・とうま)の役目だ。

 死角となる斜め後ろから、ラグナが跳ぶ。
 狙うは、デヘペロ弟の後頭部。
「これで……死ねっ!!」
 ヴァルキリーの脚刀を、延髄切りの要領で思い切り振り抜く。
 さすがに首が落ちるようなことはないが、少なからずダメージはあった様子である。

「そこだっ!」
 刀真が放ったワイヤークローが、狙い過たずデヘペロ弟の首に巻きつく。
 そのワイヤーを頼りに、刀真は一気にデヘペロ弟の身体を駆け上った。
「これで終わりだ!!」
 まずは左手の「白の剣」を振るい、次いで右手に光条兵器の「黒の剣」を発現させて、さらにもう一撃。
 しかし、それでもなおデヘペロ弟は倒れない。
 自らの身体に取りついた邪魔者を叩き落とそうと振るわれる拳をかろうじて避け、刀真が再び床に降り立つ。
 そこへ、綾乃の声が響いた。
「下がってっ!!」
 とっさに刀真が飛び退くのと、綾乃がヴァルザドーンを振り下ろしたのはほぼ同時だった。
 後ろに注意が向いていたところに、真っ正面から切り込まれたのだからたまらない。
「つ、次はねぇからなアァ!!」
 深手を負ったデヘペロ弟は、這々の体で逃げ帰っていったのだった。

「まだ逃げる力があるのか。とんだ化け物だな」
 呆れたように言う刀真に、綾乃は何でもないことのように笑った。
「まあ、去る者は追わず、です。それよりまずは残りを何とかしましょう」