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インテリ空賊団を叩け!

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インテリ空賊団を叩け!
インテリ空賊団を叩け! インテリ空賊団を叩け!

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〜 7th phase【開戦・突入】 〜



 「信号弾を交渉船から確認!いくわよみんな!!」

魔力で強化された望遠鏡で予定ポイントを監視していたフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)
共にいた待機組に向かって叫んだ
作戦ポイントを通過するのとほぼ同時に、赤色の信号弾が放たれるその正確さに感心しながら
騎沙良 詩穂(きさら・しほ)火村 加夜(ひむら・かや)が天馬に跨る
天馬を持たない月美 あゆみ(つきみ・あゆみ)は詩穂の天馬に同乗する

 「それぞれの矜持のもとに派手に暴れていいわ!戦闘開始!!」

フリューネの合図で華麗に3頭の天馬がレティーシアの船と空賊母船の間に突入した
当然、増援として空賊母船から交易船に向けて飛んできた無数の空賊の小型飛空艇は足を止めざるをえない
何故なら、その一人はこの空峡に名が轟く強敵、フリューネ・ロスヴァイセであるからだ

そんな彼女の横で騎沙良 詩穂が
そして彼女の天馬から飛び降り【強化光翼】で飛行を開始した月美 あゆみが高らかに名乗りを上げる

 「6首長家のふたつ、ツァンダ家とタシガン家の印を無断借用した私掠船免状の偽造品!
  それを悪用するとは許し難き行為。シャンバラ王国の治安を護るロイヤルガードとして
  そして唯一のシャンバラ女王アイシャ直属の騎士として、騎沙良詩穂が逮捕させて頂きます!」
 「そしてご存知!!銀河パトロール隊の独立レンズマン、あゆみ
  宇宙海賊から空賊まで、平和を乱す悪いコは
  この愛のピンクレンズマンがおしおきよっ!」

朗々と響き渡るそれぞれの名乗りに、空賊は束の間あっけにとられるが、直ぐに戦闘を開始と動き出す

だがその隙を見逃さず、下方からの攻撃が彼らの飛空艇の心臓部を狙って繰り出され
うち数隻が命中し、見事機動性を奪われ空賊に動揺が走る
下方の谷間から上空を狙って放たれたスナイパー葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)の狙撃である

 『ヒット確認!続けてどうぞ!!』
 「了解!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

そして彼女の通信を受け、フリューネ達と相対する空賊達の死角から凄まじい火柱とともに
巨大ロボ……もといコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)が飛び立った

 「蒼空戦士ハァァァァァァァティオンッ!参る!」

集中線がほとばしる様な迫力で名乗りを上げたハーティオンの傍で【氷雪比翼】を発動させた少年
那由他 行人(なゆた・ゆきと)が頼もしそうに彼に声をかける

 「行こう、ハーティオン!悪いやつらを懲らしめないと!
  悪いことをする空賊たち!このブレイブセイバーとハーティオンが相手だっ!」
 「ユキト、君も随分と強くなったとは言え無理をしては駄目…」
 「はあああああああああああ!」
 「む…行ってしまったか。ならば私はユキトの背後を守ろう!
  くらえ!アンガァァァァド・バンカァァァァ!!」
 「あゆみも負けないよ!怒りを発憤☆ハープーンショット!」
 「私もこれ以上好きにはさせません!火村加夜、行きます」

誰よりも早く、体勢を乱した飛空艇に切り込んでいく行人とハーティオン
それに負けじとあゆみ達も戦闘を開始
加夜の【歴戦の魔術】が広範囲の空賊の小型飛空艇のダメージに追い打ちをかける

 「何か予想以上に派手に目立っちゃってるけど……ま、いっか」

珍しく自分がが霞むような個性溢れる戦いを目の当たりにし、フリューネが苦笑する
だがこれで予定通り、全ての注意と意識は目の前の戦闘に
そして別でも起こっているであろう【『シャーウッドの森』空賊団】一行に向けられている筈だ

纏まりを持って行われる戦闘の元、狙いの別動隊を死角から母船に突入させる
それこそがフィリューネの狙いなのだから

 「突入のフォロー任せたわよ。吹雪!」


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 『目標母船が上空を通過!突入班は各自行動に入ってください!!』
 「了解した!いくぞ雷號」

下方から狙撃で敵を誘導し、突入ルートを作りながら吹雪は再び通信を送る
それを受け、すでに下方を愛竜【ブランド】に乗り低空飛行していた鬼院 尋人(きいん・ひろと)
後続の呀 雷號(が・らいごう)高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)の乗る
それぞれの飛空艇に呼びかける

 「黒崎の依頼、遂行するぞ!手筈通り俺達が搖動をかける!
  高崎!お前は死角から侵入……よろしく頼む!」
 「はいよ、まかされた」

言いながら尋人と雷號が旋回をして、母船のデッキ前にその身を上昇させる
下方からの襲来に戸惑うデッキ上の空賊船員を無視し、降り立った尋人が剣を抜いて叫んだ

 「この鬼院 尋人!タシガン空峡でお前たちの好き勝手にはさせない!」



 「……先行して母船に侵入した奴がいるみたいだ。俺達も行こう、和輝」

吹雪の合図を受け、別ルートから侵入ルートを探していた十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)
乗っている【レッサーフォトンドラゴン】を母船に近づける
仲間のヨルディア・スカーレット(よるでぃあ・すかーれっと)リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)
【熾天使の比翼】と【小型飛空艇ヴォルケーノ】を駆使して後に続く中
【迷彩塗装】でカモフラージュさせた二人乗りの小型飛行艇に乗って
佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)も母船を目指していく

 「俺が突入したらアニスはすぐに離脱して待機しててくれ、これからもっと乱戦になるから」
 「精神感応を常に展開させるから、脱出の時はすぐ迎えに行けるよ!
  中がどうなってるかわからないから気を付けて!あとこれ!」

突入する和輝に代わって操縦しているアニスがあるものを手渡す
白いぬいぐるみを見て和輝が目を白黒させた

 「……ナニコレ?」
 「【キュゥべえのぬいぐるみ】持ってると魔法攻撃力が上がるよ!
  式神化させとくから勝手についてきてくれる、使い潰しても魔女にならないから大丈夫☆」
 「…………わけがわからないよ?」

ま、いっか……と毎度の彼女の事だと納得させ、和輝は身を乗り出す
船底スレスレを高速で飛ぶ小型飛空艇は攻撃を受けてはいない
先行する宵一達の方向で爆炎が上がるのを見る、恐らく突入のため壁を攻撃したのだろう

案の定、大型船のデッキ後方に穴が開いていた
そこが突入口……宵一達もすでに投入済みのようだ

 「行ってくる!こいつでHANASIAIにね!」

【曙光銃エルドリッジ】を掲げ、小型飛空艇から和輝は突入口へ思い切りダイブした



 「……どうやら他の連中も突入に成功したみたいだな」

場所は変わって、母船後方の排気用ダクト
そこが最小限に破壊され、複数の人間が降り立つ
その中の一人猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)が周囲の様子を探りながら呟いた
隣で、ともに潜入した永井 託(ながい・たく)が隣の高天原 鈿女(たかまがはら・うずめ)に声をかける

 「鈿女さん、行人とコアさんの様子は」
 「問題ないわ、事前のチェックはできてるもの。二人とも絶好調よ」
 「あれだけ目立ってるんだから当然か。じゃあ、行人のことはコアさんに任せていいかな」
 「託!鈿女!あそこに入力パネルがあるよ!」

我先に中の様子を見ていたラブ・リトル(らぶ・りとる)が二人の元にやってくる

 「こちらに対応してる端末ね……これならハッキングできるわ、ちょっと待ってて」

ノートパソコンを強引にパネル端末に接続し、鈿女は船内の情報を抜き出す
その間に託と勇平は、続けて侵入に成功したウルスラグナ・ワルフラーン(うるすらぐな・わるふらーん)と共に
手早く武装チェックを済ませる、それぞれの作業をしながら勇平が口を開いた

 「とにかくこれからの再確認だ、俺とウルスラグナは操舵室を狙い、指揮&操縦系統を抑える
  陽動も兼ねるから遠慮はいらない」
 「その間に僕達は他の面々と共に船長室を狙うわけだね」
 「ああ、ただ他の突入組の目的はまちまちだから、託達は様子を見て行動を判断してくれ
  目当てが情報なのか逮捕なのか、偽の印章の証拠探しなのか……たぶんそれぞれ僅かに違うはずだ」
 「……まぁそこら辺は先に潜入していた連中と合流しながら考えるよ、派手なのは勇平に任せた」

そんな彼らの前に、ハッキングを終え、情報をノートPCに写し終えた鈿女がやってくる

 「船の内部は把握したわ、これから情報を転送します
  メインコンピューターは予想通り船長室ね、作戦通り託君と一緒に私も移動します
  念の為潜入組にこちらの位置も伝えといたわ、その方が得だから」
 「んじゃあたしは【銃型HC】使って味方の船との連絡役してあげるね」
 「無駄ね、ラブ。そんなの予定された突入タイム通りに行動すれば把握できるわよ」
 「じ、じゃあタイムキーパーしてあげる♪そうすれば撤退タイミングを……」
 「損です、自分でできます」
 「じゃー、あたしやる事無いじゃん!」

ぶー!と鈿女に文句を言うラブにまぁまぁ、と託がたしなめる

 「どのみち船長室では探し物も必要なんだから、その時手伝ってね
  ……それじゃあ僕たちもがんばろうねぇ」

託の合図とともに、ウルスラグナが派手に廊下への扉を吹き飛ばす
何事かと廊下にいた数人の空賊が煙を払いながら集まるところに勇平ともども先行して飛び出した

 「ソードオブオーダー、抜剣!!
  いくぜ、悪いけど、お前ら全員御用させてもうらう!!」
 「行くぞ勇平
  我の溜まりに溜まった鬱憤、ここで晴らさせてもらおうか!!」

そんな彼等の言葉が引き金なのか、偶然の産物なのか
派手な音とともに近くの一角で大きな衝撃音がした、廊下に大きく開いた穴の中から
ルイ・フリード(るい・ふりーど)が意気揚々と躍り出た

 「人間大砲!成功です!我ながら何とも豪快で……心躍る!!!
  今回は囮役として、遠慮せず全力で派手に叩きのめして確保させて貰いますよぉぉぉ!」
 「囮って言っちゃってるし……なんだかだんだん無茶込みのお祭りになってきたなぁ……」

その様を呆れながら呟くと、託達も行動を開始した