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インテリ空賊団を叩け!

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インテリ空賊団を叩け!
インテリ空賊団を叩け! インテリ空賊団を叩け!

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〜 5th phase 【作戦当日4時間前・緊張】〜



 「おお〜!いますわねぇ〜例の連中もタシガンのお嬢様の船も♪」

タシガン空峡の大空を望む崖の頂に楽しげに遠くを眺める人影があった
【キャプテン・フォークナー】ことセシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)である
魔法で強化された望遠鏡を下ろし、足元の新聞を拾い上げる

 「一般船を極力普通に、かつ被害のない領域に進路変更させながら
  最低限の護衛で警戒の際どさを演出…偽情報もバッチリだし、いい仕事してますわね」

非常に上機嫌な様子で取り出したのは【空飛ぶ箒シュヴァルべ】
調子を確認しながら彼女の独白は続く

 「下種な手口で略奪を行なう連中は私も気に入らないのですが
  生憎私は海賊、別のシマを誰かと手を組んで荒らすと後々面倒ですしね
  それに……私は一人でいつも通りにやりたい放題が性にあってますの」

そう言いながら頭の【コルセアキャプテンハット】を指で押し上げ、彼女は箒に跨る

 「賊には賊、略奪には略奪の流儀で私は自由にやらせてもらいますわ
  もちろん、邪魔はいたしません。なのでそちらも邪魔をしないでくださいね
  お互い群れに属さないもの同士、ここは堂々とお宝を目指し合いましょう
  ではごきげんよう、賞金稼ぎざん☆」

そう言うや否や、セシルは空に飛び立っていった

暫くして、誰もいない様に見えた背後の木の影から一人の男が姿をみせる
バウンティーハンター十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)である

 「……行ったか。まぁ海賊と共闘なんてできるとは思ってないけどな」

彼の隣でヨルディア・スカーレット(よるでぃあ・すかーれっと)が心配そうに声をかけた

 「大して会話もできませんでしたけど、大丈夫なんですか?宵一様」
 「お互いあそこにいる連中と違い、自由に動く身だからな
  余計な誤認で戦わないように存在を主張するのが目的だったんだ
  今位で十分だろう?俺達は空賊退治、向こうと目的は違うから出会う確立も低い」
 「大掛かりな作戦らしいですわね」
 「ああ……だからこそやりがいがある」

そう言って宵一は後ろで休んでいた花妖精に声をかける

 「俺達も準備開始だ。あと数時間であの商船が空賊と接触する。
  火の手が上がれば電光石火で動かないといけない
  俺は先に近くまで行くから、気取られないようヨルディアと来てくれ。頼んだぞ。リイム」
 「わかりましたでふ!がんばるでふ!」

レッサーフォトンドラゴンに乗り、飛び立つ宵一を見送りながら
花妖精リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)は元気に答えるのだった


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海と違う空と言えど、波のように風は流れる
港に完全に設置する船舶ならともかく、沖合いで停泊している船が波に揺られるように
接舷した飛空艇も船体を固定できる場所に移動しない限り、その身はある程度流され続ける

商船を止め、停泊から接舷に至るまでは相手も周囲を警戒するのは当然だが
その僅かな流れるルートを計算したうえで待ち伏せを行えば、警戒の穴をつける
ましてや向こうは偽とはいえ【私掠船免状】を看板に掲げているのである
交渉直後は、絶対に周りが手を出す事ができないという余裕から隙ができる、そこをついて襲撃と護衛を同時に展開する

それが歴戦の義賊フリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)が考え出した作戦だった

そしてその待ち伏せのポイントにてフリューネと共に待機している影があった
月美 あゆみ(つきみ・あゆみ)そして騎沙良 詩穂(きさら・しほ)である
幸せそうにフリューネの天馬【エネフ】を撫でている詩穂にあゆみが声をかけた

 「港の黒崎さんから連絡。レティーシアさんの船が1時間前に出たって
  先行組からも周囲の船に動きがあるみたい……いよいよ出てくるかもねっ☆」
 「ありがとあゆみちゃん。作戦開始まであと4時間か」
 「こちらの行動開始までは2時間といった所だわ。準備は大丈夫?二人とも」

フリューネの言葉にあゆみ、詩穂共に元気に頷く
やや性格が元気すぎて待ち伏せには不向きな気もするが、今はそこはそれ程重要ではない
自分達に課せられるのは外側からの強襲力
念のために別方向からの班も個性豊かな戦力を用意したので問題ないとフリューネは判断する

それに護衛の方にも、ふさわしい面々がそろっているはずだ
まもなく遠くに見えるであろう、頼もしき連中の乗っているもう一つの偽装商船を待つ
そこへ自分の乗る【ワイルドペガサス】の手入れを終えた火村 加夜(ひむら・かや)がやってきた

 「フリューネさん。間もなく美羽さん達の船が見えます!」
 「いよいよ行動開始ね、みんな……よろしく!」

彼女らしい、活気あふれた闘志と共にフリューネは天馬に跨った


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 「……あの崖のあたりにフリューネ達がいるんだよね?コハク」
 「ええ、強襲班はあともう一組この先にいます」
 「後は予定通りに獲物がかかってくれればいいんだけど……大丈夫なのかしら?
  流した情報どおりに、こちらを本命だと思って狙ってこなければいいけど……」

一方こちらはフリューネ達の居場所を遠くに望む加夜が見つけた大型商船
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が乗り
こちらはこちらでフリューネ達を案じているようだ
甲板から二人と共にフリューネ達のいる場所を望みながら宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)が呟く
そこに背後から声をかける者がいた。ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)である

 「大丈夫です3人とも
  確かに偽で流した情報を鵜呑みにすれば、航行手続きをぼやかしたこちらの船を狙うでしょうが
  私掠船という知能的な手段を取る連中ですから、情報のあからさま具合を見て裏を狙うでしょう」
 「……まして、噂の腕利きが私達一団なら尚更警戒するでしょうしね
  よって予定通り護衛の薄い大型交易船を狙ったほうがいい……というわけ」

ガードルートに続いて話すのリネン・エルフト(りねん・えるふと)
ヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)率いる【『シャーウッドの森』空賊団】リーダーである

 「もちろん、私達が囮だとしても戦力は戦力
  戦力を分断するために、こちらにも相当の戦力で壁を作るでしょうね
  まぁ、だからこそ私の船を偽装したんだけど」

大型商船に偽装してはいるが
今みんなが乗っているのはリネンの船【アイランド・イーリ】れっきとした戦闘対応型である
少し離れた先にはリネン達【『シャーウッドの森』空賊団】の本船も控えて飛んでいる
もちろんそこには団長のヘイリーだけでなくユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)
他に長原 淳二(ながはら・じゅんじ)ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)等の仲間が乗っている

ぱっと見は数日前に【密楽酒家】で流した噂

  『あからさまに無理この上ない怪しい交易船の護衛と謎の船
   破格の額で護衛の求人とは別に、こっそりと雇われた腕利き』

……という一団の出で立ちである
だが、元から噂を流した時点でこちらを囮にする事など狙ってはいない
なぜなら【旨い話には裏がある】事は連中も十分熟知しているからだ

本命は最初からの大型商船にある
もちろん、それを見越してレティーシア・クロカス(れてぃーしあ・くろかす)もそちらに乗船している
だがいくらそのカラクリがわかっていても、船が複数あれば警戒をかねて戦力を分断せざるを得ない
その用心棒が、噂に名高い【『シャーウッドの森』空賊団】なら尚更警戒は必要になる
そこを狙って分断された戦力を引きつけて殲滅し、別方向からのレティーシア達の護衛を行う
それがリネン達の目的なのである

そして、狙い通り空賊達も動き出したようだ
空賊側の情報をキャッチしてリネン達に伝えるべく
仲間のフェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)が甲板に現れる

 「リネン!例のアイドル海賊から暗号伝達があった
  敵は予想通り、お嬢の船を狙って動き出したってよ。1時間位で接触するかも……だと」
 「了解!ガートルード、貴方の先生と、仲間達に連絡よろしく
  それでは全員警戒態勢に入りましょうか……武装のチェックを忘れないで!」

リネンの声でそれぞれが役割を果たす前に動き出した


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そして、一方のフリューネとは別の強襲班も準備を開始する
こちらは彼女達と違い母船に乗り込む事も一部目的にしている為、誰よりも航路に近い場所に隠れている
間もなく自分達の頭上を通ろうとしているレティーシアの交易船を見上げ
葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が周囲の面々に連絡する

 「間もなく、例の空賊船とコンタクトが始まります。
  戦闘配置につき、いつでも出られるようにしてくださいね!」

彼女の言葉に
鬼院 尋人(きいん・ひろと)呀 雷號(が・らいごう)そして高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)が頷いた…