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なし

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インテリ空賊団を叩け!

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インテリ空賊団を叩け!
インテリ空賊団を叩け! インテリ空賊団を叩け!

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〜 2rd phase【6日前・集結】 〜


山葉 涼司(やまは・りょうじ)の名の元に多くの親しい人間が集い、件の作戦が決起された翌日
蒼空学園の領地の一角、人目につかない森にフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)はいた

彼女の役目は件の空賊との接触役を務める者達の護衛
その為の十分な戦力の強化を計る為に、協力してくれる仲間に声をかけたのである
再び校長室を話し合いの場にしていい、という涼司の提案はやんわりと断った

例え悪きを挫く行いだとしても自分は空賊、しかもそれなりに名は通ってしまっている
行いの是非はともかく、空賊そのものを良しとしない者も学園内にはいるわけで
流石にそんな中、何日も堂々と歩いてはいられないからだ

それには協力者達も同意しているわけで……

 「偽物には偽物とは良く考えたわね。もっとも、その中身は一皮向けば正真正銘の本物ってわけだけど
  で、あなたは私達にそれを守れ……といいたい訳ね?フリューネ」

フリューネの話を一通り聞き、真っ先に口を開いたのはヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)
フリューネの様にタシガンの空に【天空騎士】の二つ名を轟かす古参の義賊団【シャーウッドの森空賊団】
彼女はその長であり、故に誰よりも縁が深い人物である

 「わざわざこんな所まで呼びつけて何の話かと思えば、そんな話?
  あたしは自由、誰の指図も受けないって事、良くわかってるはずよね?一匹狼さん」
 「わかってるわヘイリー。だからこれは協力ではなくて誘ってるの
  私達の空にのさばるうっとおしい連中を派手に一掃出来るお祭りのね。楽しそうって思わない?」
 「そんな言葉であたしを懐柔できると思わないことね
  とはいえ、その空賊の話はあたし達もどうしようかって思ってたのよね
  ……いいわ、乗ってあげる。あなたもいいわよね、フェイミィ?」
 「オレはリネンの言葉に従うだけだ。
  それに、お前だけにカッコいい真似なんかさせたくないからな、フリューネ」

ヘイリーの言葉に、隣で黙って聞いていたフェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)は仏頂面で
リーダーの言葉に同意した。その返答にフリューネは笑顔で礼を言う

 「ありがと、ヘイリー、フェイミィ」
 「べ、べつにフリューネの為じゃないんだからね、あそこでもじもじしてる仲間の為だからっ!」

ツンデレ?と喉元まで出た言葉を飲み込み、ヘイリーの指した方向をフリューネが見ると
副長のリネン・エルフト(りねん・えるふと)が奥ゆかしく手を振って頷いている
旧知の仲なのに彼女らしくないその態度に首を傾げていたフリューネの隣で
リネンのパートナーであるユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)がおかしそうに囁いた

 「照れてるんですよ彼女
  ほら、あなたにこんな風にちゃんと協力をお願いされる事って滅多にないでしょう?
  それに、殺伐としてないこの様なのんびりした場所で私達が会う事も普段ないですから」
 「あたしは全力でだぁ〜い好きなフリューネさんの協力をするよ!」
 「はいはい、ありがと。助かるわ未沙」

ユーベルとの会話に割って入ったのは朝野 未沙(あさの・みさ)
【機晶姫の修理屋】の店主でありながらクラスは同業の空賊
そしてフリューネを慕うあまり、いの一番で協力を買って出てくれた、色々と頼もしい仲間である

とにかく、これで馴染みの同業との協力は仰ぐことが出来た
ほっと胸を撫で下ろすフリューネの様子を見て、事の成り行きを見守っていた男が口を開く
自ら帝王を名乗る男ヴァル・ゴライオン(う゛ぁる・ごらいおん)である

 「これで山葉 涼司と縁のある者達、そして同業の協力は取り付けたわけだが
  迎撃だけでなく、捕獲と逮捕が最終の目的ならもう少し人手は必要ではないのか?
  鎮圧には徹底した力が必要だぞ?フリューネ・ロスヴァイセ」
 「そうね。けれど表向きの協力は今とりつけた範囲でギリギリなの
  これ以上は逆に警戒されるわ。護衛が多くてもそうだし、他の空賊が必要以上に動いても警戒される
  それが、この件に直接かかわりが無いように見えたとしてもね?」
 「フリューネもあたし達も名が広がりすぎているのよ、僅かな動きも警戒されかねない」

ヴァルの問いにフリューネとヘイリーが答える
それを目をつぶり口の端を歪めて楽しそうに聞いているヴァルの姿をみて隣の仲間が不安そうに口を開いた
シグノー イグゼーベン(しぐのー・いぐぜーべん)である

 「なんか楽しそうな事、考えてないっスか?ヴァル?」
 「……対抗する仲間を作り出せないなら、敵対する仲間を作り出せばいいのだろう?」
 「は?……まさか?」
                                                                                                    
シグノーの問いに閉じた目を見開き、ヴァルがフリューネに話し始める

 「古参が動けぬのなら、新参の賊ならいいのであろう?
  それも相手に事前に取り入って仲間を装えば、前線で逆転の切り札にもなるし防衛も出来る
  俺達がその役を務めよう、仲間をかき集めれば一空賊団クラス位集められる」
 「……正気?仮に一団を作っても取り入るには時間と手間が必要になるわよ」
 「かまわぬ、それ位出来なくて何が帝王か
  それに、彼がいれば空賊らしい空賊を作る事位わけはない。そうだろう?レン オズワルド」
 「勝手に人を巻き込むな、帝王」

ヴァルに肩を叩かれレン・オズワルド(れん・おずわるど)が文句を言う
だがそれに動じず、帝王の勧誘は続く

 「何を言う、かの天馬を駆る女空賊と共闘したいと言っていたのはお主であろう?
  何だかんだと機会に恵まれなかったのだ、ここに来たのもそのまたとない好機だからではないのか?」
 「確かにな……まぁいいだろう。冒険者ギルドの連中に声をかけてみよう
  だが直接の指揮と取りまとめはお前がやるといい、俺やノアは名前が知れすぎているからな」
 「承知した」 
 「……どうやら反対しても無理みたいね」 

帝王を名乗る男と冒険屋ギルドの創設者の会話をいまさら止めることは無理と判断し
フリューネはこの提案を受け入れる事にする
そんな彼女の気苦労など意に介さず
帝王の快諾を受け、レンはノア・セイブレム(のあ・せいぶれむ)に声をかけた

 「ノア、メティスや他の連中に連絡だ。大型船の用意も頼む
  あと、作戦に必要なものはあるか?帝王」
 「戦力は任せよう。あとは個性が必要だからな。船長には背負うべき立派な看板が必要だな
  だが俺もいささか目立ちすぎる……ならばいっそのこと真逆に責めるとしようか」
 「……言っていることが図りかねるのですが……誰を船長にする気ですか」

ノアの言葉に帝王はニヤリと笑って答えた

 「アイドルとかはどうだ?ちょうど相応しい相手を知っているのだが……」