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蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

リアクション公開中!

蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!
蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!! 蒼空ヒーロー大戦・魔法少女DX!!

リアクション

  
〜 STEP 4 ヒーロー・スタンバイ! 〜


 イベント当日 会場直後・イベント会場 客席入り口 


 「はいは〜い!入場は押さないで!ちびっ子のみんなは迷子にならないようにしっかり大人と手をつないでな!」
 「入り口にてお子様にお菓子をお配りしておりま〜す!受け取るお子様を前にしてお並びくださ〜い!」

いよいよ本番当日

満を持して客席入り口のゲートが開場され、並んでいた親子の列が中に入場いていく
ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が入場後の案内
アルジェンシア・レーリエル(あるじぇんしあ・れーりえる)が入場列の案内をしている中
お菓子を配布しているカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)の様子を見に来た人影があった

 「やっほ〜☆どぉ?仕事の塩梅は?」
 「ルカ!?大丈夫なのかこんなところにいて!」
 「もうリハーサルも終わったし、本番まで1時間あるんだよ。様子ぐらい見に行くって……で、やれてる?」
 「あ、うん……それがなぁ〜」

ルカルカ・ルー(るかるか・るー)の問いかけに言葉を濁すカルキノス
その傍を小さな兄弟が通り過ぎたので、あわてて二人の前にお菓子を差し出す
しかし、その風貌に子ども達はビクッと止まり弟のほうがボソッと呟いた

 「あ……かい…じゅう?」
 「ちげぇよ!」

思わず突っ込みを入れるカルキノスだが、言われた方はますます身を固めて目に涙を溢れさせていく

 「ああ〜怖がんなくていいぜ!なんもしねぇよ。
  でも怪獣じゃねぇ、ドラコニュートって種族だぞ。ほら、菓子やるから泣くな」

お菓子を受け取り、客席に見える親の元へ走っていく兄弟にダメ押しの言葉を投げるドラコニュート

 「言っとくが怪人でも怪獣でもねえから、な?帰りにまたびびるなよ!」

頭を掻きながら見送るカルキノスの背後でくっくっくと笑いをかみ殺すルカルカ・ルー
向こうで馴れない動きながら、臨時でお菓子配布をしているテスラ・マグメル(てすら・まぐめる)の籠のお菓子の方が
何となく減っている辺り、受け取ってもらえてるかどうか明白である

 「はい、一人一つずつですよ。ちゃんともらえるから喧嘩しないで下さいね」

見れば笑顔でお菓子を配るだけでなく
どうやら時折音楽家として変身音や魔法効果音のボイスパフォーマンスもしている模様で
気がつけば、先程泣いていた兄弟も珍しげに引き返して楽しげにその様子を眺めている

 「今日のショーはこれに負けない位色々なモノが出てくるかもしれませんよ?
  私も始まったらヒーローの応援で一緒に戦うので、協力してくださいね」

テスラの言葉には〜いと答える子ども達、先程のカルキノスの様子とは正反対である
比較的表情が読み取り難いドラゴニュートだが、どう見ても凹んでいる表情でぼそりと呟く某ドラゴニュート

 「なぁ………俺って、そんな怖ぇ?」
 「竜族としてはイケメンなんだけどねぇ〜」
 「同族の話したってなぐさめにゃなんねぇよ。で、怖いかどうか聞いてんだけど?」
 「あ〜!コハクどれどれそのカメラ見せて〜!」

カルキノスの真摯な問いに、ぴゅ〜と向こうのコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)に話しかけていくルカルカであった



見渡せば、コワモテで苦戦している面々は他にもいる様子

 「ピーピー泣くんじゃねぇ!あっ、違う、だから……あーもう
  お菓子やるから泣き止めって!後で一緒に親探してやっから、な?」

客席から外れたトイレスペースの一角ではシン・クーリッジ(しん・くーりっじ)が迷子相手に苦戦している様子だった
外見たがわず、基がぶっきらぼうな彼に子供はなかなか馴染めないで泣き止まずにいる

(「ったく、オレが子供の世話かよ……きつい冗談だぜ
  世話するような事態にならないよう、きっちりやるけどよぉ」)

ブツブツと文句を小さい声で言いながら、それでも、しっかり付き合っている辺りは
パートナー九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)をして【言葉は乱暴だが、良い子】なのだが
そんな苦労と葛藤は本人ばかり、ようやくお菓子を受け取り泣き止んだ子供にひと安心したところ
子供の姿を見つけベファーナ・ディ・カルボーネ(べふぁーな・でぃかるぼーね)
そしてパートナーの雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)がやってきた

 「ああ、いたいた!その子よ、ステージまで迷子の連絡があった子!良かった見つかって!」
 「ボク、怖かったでしょう?お父さんがステージ前で待ってます、送ってあげますから一緒に行きましょう
  リナも一緒に行きますか、お父さん結構イケメンでしたけど?」
 「パス、自分の仕事に戻るわ。私妻子ある人には興味ないの
  それに余計な事に気を回すと、台詞忘れて噛んじゃいそうだし、任せるわ」

先に手を振ってステージに戻るリナリエッタ
さも理解不能と言った様子でそれを見送るベファーナである

 「リナは勿体無いですね。妻子ある身でありながらこっちの道に走る男性とか
  凄く背徳的でいいじゃないですか。家族サービスを怠らない男性を落せたら実に楽しいでしょうに」
 「当の子供のいる前でしゃあしゃあと話してんじゃねぇよ……」

思わず突っ込みを入れるシンの言葉に、ベファーナは驚いたと言うオーバーアクションで返答し、子供の手を取る

 「いやいや、これは失敬。まぁ3歳のお子ちゃまには難しい世界ですよ
  では参りましょう、お父さんの下へ連れて行ってあげましょう」
 「任せた……ていうか、ちょっとはこっちにご苦労様位言えよな、ずっと相手していたんだから」

ステージ前の親の許へ子供を連れて行くベファーナに文句つきでシンは見送る
返答など期待していなかったが、彼女の変わりに子供が彼のほうを向いて涙の跡の残る顔で笑いかける

 「じゃあね、おにいちゃん!おかしありがとー!」
 「……………………………おう」

立ち去る子供の背中を程ほどに見送り、仕事に戻るべくシンは踵を返す
ぶっきらぼうな言葉と共に歩く彼の後姿であるが、その耳は完全に真っ赤であった



 『本日はご来場ありがとうございます!場内には販売ブースやフードコートもありますので
  会場までの1時間、そちらを楽しんでくださってかまいません、尚その際貴重品を無くさない様……』
 「あはは、喋ってる喋ってる!でもたどたどしいなぁ〜緊張してるのかしら?」

客席にてパートナー長原 淳二(ながはら・じゅんじ)の喋っている放送を聴きながら
ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)はお菓子片手に客席に一足先にのんびりと座っていた
そんな彼女を見つけ秦野 萌黄(はだの・もえぎ)がやってきた

 「あれ?確か淳二さんとこの……お客さんなの?」
 「ええ、頑張るパートナーの応援って所です」

お菓子をぽりぽりと齧りながら萌黄の言葉に返答するミーナ
今回パートナーと込みで参加の者が比較的多いのだが
淳二がとりたてて手伝ってくれとも言ってなかったので、自然と観客として現在ここにいる彼女である
まぁ応援をしたり感想を言うのも大事な仕事なので、無関係と言うわけでもなく彼女なりのやる気を持ってはいるのだが

 「そっちは?見た限りスタッフって感じでもなさそうですけど?」
 「うん、応援係やってくれって!率先して声出して応援を促してくれって言われたんだ!」

それはいわゆる【サクラ】と言うのでは……という言葉をミーナは飲み込む事にする
確かに萌黄の容姿は観客の子供とそうそう大差ないから、うってつけと言えばうってつけだ
まぁこんな仕事を頼むあたり、子供の反応を真面目に気にしている面々も多いのかもしれない
当然、そんな思惑など気にもせず、萌黄は客席を一望した後、自然体でミーナの隣に座った

 「うわ、お客さん沢山だねっ!?
  こんな大きなイベントのステージになっちゃんは出るんだね…。
  知らない人の中でこういうのをするのって何だか凄く不安になるけど、なっちゃんの為にも頑張らなくちゃ!」
 「えっと……奈津さんはヒーロー役でしたっけ?っていうかヒーローやってますよね?確か……」
 「うん!プロレスヒーロー【バーニングドラゴン】!今回もそれで参加だよ!」

誇らしげに我が事のように胸を張る萌黄
今回の参加では、この時だけに新しい役を作り名前を名乗った者もいるが
通常ヒーロー然として活動している者はその名前のままに参加している者も少なくない
その中でも知名度の高い者の名をラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)が宣伝に使ったと言うのも
この初の試みでありつつ、現段階でほぼ満席の集客である理由かもしれない

そんな知人の活躍を期待する縁者二人の傍で、純粋な客として来ている面々もその賑わいに驚いていた

 「いやぁ楽しみで来てみたけど、予想以上の人ですね、大丈夫ですか?カルテ」
 「だいじょうぶだよ、でもなんかインベイシアのほうがたいくつそうだよ?だいじょうぶ?」

白星 切札(しらほし・きりふだ)の気遣いを受け、ジュースを飲みながら答える白星 カルテ(しらほし・かるて)
彼女の言う通り、10歳のカルテより隣のインベイシア・ラストカード(いんべいしあ・らすとかーど)の方が退屈そうな様子で
腕を後ろに組みながら眠そうにカルテの問いに返答する

 「別に嫌じゃねぇけどさ、退屈で死にそうだよ
  ヒーローショーなんて子どもの余興だろ?派手に参加するならまだしも何で客でなんか……」
 「子どものショーだからお客で見に来たんです!参加なんかしたらカルテが楽しめないでしょう!」
 「わぁかってるよ〜。おまえがそう言うのも知ってるからこうやって付き合ってるんだろ?
  まぁ何だかんだ言っても見るのは初めてだからさ、見ててこう……面白くなる事に期待してるよ、ホントさ」

猛然と反論する切札を軽く受け流し、再び眠そうにアクビをするインベイシア
話の通り、ヒーローショー事体が初めての彼女達だが、それゆえ一つだけ知らない事実がある
ショー中盤には、必ず観客を人質に取ったり、ゲームに参加させるようなイベントがある事を………